「TPP」か「一帯一路」か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
ASEAN統合の鍵は、インドネシアにあり!
「TPP」か「一帯一路」か(4)ASEAN統合への影響
白石隆(熊本県立大学特別栄誉教授)
大筋合意したTPPの交渉過程や内容は、日本にとって大きな意義を持っていた。では東南アジア諸国にはどんな影響があるのか。政策研究大学院大学(GRIPS)学長・白石隆氏が注目するのは、インドネシアの出方だ。インドネシアがTPPに加盟するか否かは、やがてASEAN統合へも大きな影響を与えるだろうと指摘する。(全5話中第4話)
時間:11分02秒
収録日:2016年3月9日
追加日:2016年5月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●オールジャパンで取り組んだTPP交渉


 2番目のご質問の、TPPに戻りましょう。日本にとってTPPは、まさにオバマ政権のリバランシングに応えるものでした。これによって、この地域におけるアメリカのステーク(利害)を単に高めただけではありません。日本が交渉に入ることで、アメリカだけで他の国と交渉していたら、おそらくアメリカに取られていたようなさまざまな問題についても、日本がそれなりにバランスを取って、他の多くの参加国にとっても利益になるような交渉にしました。その意味で私は、TPPは非常に良かったと思います。

 同時に、それ以前のFTA(Free Trade Agreement、自由貿易協定)交渉と決定的に違うのは、官邸にTPP本部が設置され、初めてオールジャパンで交渉したことです。あれはすごく大事ですね。例えば、私は、日・ASEANのFTAの時に、交渉の場を何度か見せてもらったのですが、経済産業省の人と農林水産省の人が全然違うことを言っていて、「これは何なのだ」と思った記憶があります。

 しかし、TPPは全くそうではなく、あくまでも日本政府として交渉しているというスタンスでした。あれはものすごく良かったし、ああいうことが一度できたことで、これから日本の対外経済政策は、一本筋の通ったものになるのではないかと思います。そういう意味で、私は最初からTPPの交渉参加に賛成でしたし、結果的にも良かったと思います。国民の間にはずいぶん懸念があったと思いますが、結局その懸念のほとんどは根拠のないものでした。実際、今になってみると誰も何も言わないという感じですね。


●「踊り場」段階にあるASEAN経済共同体


 ではこれが、東南アジアにとってはどういう意味があるか。ご承知の通り、昨年(2015年)末にASEAN共同体ができています。これは日本では、経済共同体のことしかほとんど伝えられないのですが、実は安全保障共同体、社会文化共同体、そして経済共同体の三つがあるのですね。

 社会文化共同体というのはリップサービスで、ほとんど資金もないですし、大して何もやっていません。安全保障共同体は、南シナ海の問題を扱うもので、ほぼ最低限の合意です。ということは要するに、南シナ海における行動規範の策定以上のことは今、何もできませんし、それ以上の合意をつくろうとすると、中国が介入して...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
国際地域研究へのいざない(1)地域研究の意味とイスラエル研究
なぜ経済学で軽視されてきた「地域研究」が最高の学問なのか
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(9)「トランプ大統領」の視点・論点
【テンミニッツで考える】「トランプ大統領」をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
万葉集の秘密~日本文化と中国文化(1)万葉集の歌と中国の影響
『万葉集』はいかなる歌集か…日本のルーツと中国の影響
上野誠
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(6)日本人の当たり前と山本七平の違和感
日本の異様さ…フィリピンから復員した山本七平が驚いたこと
與那覇潤
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
第二次世界大戦とソ連の真実(1)レーニンの思想的特徴
レーニン演説…革命のため帝国主義の3つの対立を利用せよ
福井義高
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(3)「現場の熱」こそ多角化の要点
新規事業を成功させるリーダーとは…上意下達はなぜダメか
水野道訓