「TPP」か「一帯一路」か
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
課題は、高齢化しているタイの政治的エリート層の世代交代
「TPP」か「一帯一路」か(5)タイと台湾の情勢
白石隆(熊本県立大学特別栄誉教授)
軍事クーデターが続くタイと、2016年に政権交代を実現した台湾の情勢について、政策研究大学院大学(GRIPS)学長・白石隆氏が分析する。タイは、高齢化した指導者層の世代交代が望まれるが、そこでは王位継承の動向が鍵となるだろう。台湾は、進み過ぎた中台関係を引き戻した点では政治的に評価できるが、経済的には人材流出という問題を抱えている。(全5話中最終話)
時間:11分57秒
収録日:2016年3月9日
追加日:2016年5月30日
カテゴリー:
≪全文≫

●タイが抱える政治的問題


 タイに関しては、私は辛抱するしかないと思います。「辛抱する」というのは、タイの人たちではなく、われわれです。われわれが温かく見守るしかないのではないかと私は思っています。

 基本的な問題は、1人当たりの国民所得で見ると、バンコクとその周辺の東北の地方では、1対8ないし1対9ぐらいの差があるはずです。これがほとんど良くなっていません。

 ところが、予算を見ると、バンコクの方に7割以上を使っています。日本の政治と比較して考えると、想像を絶するようなバンコク偏重です。「これで同じ国民なのか」という感じがします。

 これはタクシン・チナワット首相の在任時、つまり13~4年ほど前から分かっていたことです。それがずっと続いているのです。おそらく国際環境が非常に不利な国であれば、これほど悠長に内輪もめなどできなかったと思います。ひょっとしたら、本当に国が滅びるかもしれない事態なのですから。

 ところが、タイの国際環境はものすごく良いのです。中国との紛争はありませんし、アメリカの同盟国です。日本にとっては、なんといってもあの国の産業集積は重要だし、皇室と王室の関係もあります。ということで、大変有利な国際戦略環境の中で、安心して内輪もめできるというのが、タイを取り巻く条件だと私は思います。


●相当に高齢化しているタイの政治的エリート層


 ただ、タイの政治エリートの年齢や世代から見ると、正直言って、10年前に世代交代があってしかるべきところです。

 ところが、プラユット・ジャンオーチャー現首相も今は60代ですし、皆さん大体私と同じ世代です。タイの基準からいうと、確実に歳を取っているのです。私がなんとなく日本の感覚で、まだ10年ぐらいあるというような話をすると、「とんでもない」と言われます。「うちの平均寿命はまだ70歳そこそこだ」という話なのです。

 ですから、その意味でいうと、タイの支配エリート、政治エリートの人たちは、かなり歳を取っているということです。日本の感覚でいえば、おそらく70代の後半から80代の人が首相や大臣をやっているということだろうと思います。

 ということは逆にいうと、それほど遠くない将来に、指導者の交代をやらざるを得ないということなのです。ところが今、なぜそういったことができないかというと、その条件は二つあ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文

人気の講義ランキングTOP10
ソニー流「人的資本経営と新規事業」成功論(1)人を真に活かす人事評価とは
ソニー流の「人材論」「新規ビジネス論」を具体的に語ろう
水野道訓
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
こどもと学ぶ戦争と平和(2)「本当の平和」とは何か
「平和」には2つある…今の日本は本当に平和なのか?
小原雅博
プロジェクトマネジメントの基本(10)大脳生理学によるモチベーション理論
論理的?計画的?社交的?冒険的?利き脳による4タイプ
大塚有希子
いま夏目漱石の前期三部作を読む(8)『門』の世界観と日本の近代化
伊藤博文暗殺…日本近代化で本当にいいことがあったのか
與那覇潤
平和の追求~哲学者たちの構想(6)EU批判とアメリカの現状
理想を具現化した国連やEUへの批判がなぜ高まっているのか
川出良枝
おもしろき『法華経』の世界(9)「如来寿量品」と三身論
仏の寿命は無量で久遠に実在する…「如来寿量品」の神秘
鎌田東二
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(5)共存・共生のための理性
共生への道…ジョン・ロールズが説く「合理性と道理性」
齋藤純一
印象派とは~画家たちの関係性から技法まで(7)マネのトリックと印象派の表現方法
印象派の画家たちによる最先端の表現方法「筆触分割」とは
安井裕雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ