高速ビジョンが創る未来~高速画像処理の可能性
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
高速画像処理が人工知能で動く機械や自動車を支えている
第2話へ進む
アナリシスからシンセシスへ「ゼロから生み出す必要性」
高速ビジョンが創る未来~高速画像処理の可能性(1)シンセシスの科学技術
科学と技術
石川正俊(東京理科大学学長/東京大学名誉教授)
「これから重要なのは、新しい価値を創る“シンセシス”の科学技術だ」と語るのは、東京大学大学院情報理工学系研究科教授・石川正俊氏だ。その科学技術とはいったいどのようなものか。シンセシスとはどのような意味か。(全7話中第1話)
時間:7分07秒
収録日:2016年1月7日
追加日:2016年7月9日
≪全文≫

●今後、シンセシスの科学技術が重要になる


 東京大学の石川正俊です。今日はまず、「新しい科学技術」の構造についてお話ししたいと思います。これまでは、何かを極めて、掘り下げ、真理を探究する科学技術が主流でした。大学でも小・中・高の教育でも、現象を突き詰めて、何らかの原理に結び付けていく科学技術が一般的でしたし、ノーベル賞の相当部分はそうした科学技術でした。しかし、これから先はもう一つ、他の構造の科学が必要になるのです。

 それは、何もないところからものを創り出す科学技術です。「アナリシス」ではなく、「シンセシス」です。例えば、ネットワークやコンピューターなどは、単に解析して出来上がってきたのではなく、こういったものがあるといいというイメージの下、創り上げた上で、解析して出来上がってきたものです。この「創り上げる」ことが、将来の科学技術の基本になると私は思っています。

 創り上げるときには、何らかの仮説を持ち、その仮説を実証し、実証したものを社会に受け入れてもらうというプロセスが重要となります。ですから、大学や国立の研究機関、あるいは企業の研究機関の人たちは、何かものを試作したときに、社会がどのように反応するかを見る必要があります。そういった反応を見る仕組みが、産学連携やマーケティングであり、均質の評価もその中にあります。科学者が、そのプロセスに乗るようなものを創っていく「新しい価値を創る構造」が出来上がってきました。これから先、日本の研究者や科学社会は、新しい価値を創る科学技術を大きくしていく必要があります。


●IT技術やモノづくりにシンセシスが必要


 この新しい科学技術は、簡単ではありません。何もないところから新しいものを創るには「独創性」が必要になるからです。その辺りにあるものを単にキャッチアップしただけでは、独創的なものはできません。特に大学教育は、今までに分かったことを教えることがベースになっています。現在は、分かったことを教えて、そこから新しいものを創りなさいという流れになっていますが、分かったことを理解するのは独創性ではありません。このことを教員や学生がよく理解した上で、新しいモノづくりに結び付けていく必要があると思います。

 別の言葉でいうと、今までの科学技術は「何かが分かる」喜びを重視するものでしたが、これからは「何かを創り、そ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
知能と進化(1)知性と身体性
AI、ディープラーニングとは…知能と身体性は不可分か?
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎

人気の講義ランキングTOP10
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
松尾睦
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(1)各国の財政と国民負担
日本と各国の比較…税負担は低いが社会保障の負担は高い
養田功一郎
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
小原雅博
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
「アカデメイア」から考える学びの意義(2)プラトンの学園アカデメイア
プラトン「アカデメイア」の本質は自由な議論と哲学的探究
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(4)百年後の日本人のために
百年後の日本人のために、共に玉砕する仲間たちのために
門田隆将
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子