高速ビジョンが創る未来~高速画像処理の可能性
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「高速ビジョン」の実現の鍵は「知能化されたビジョン」
高速ビジョンが創る未来~高速画像処理の可能性(3)知能化されたビジョン
石川正俊(東京理科大学学長/東京大学名誉教授)
「1秒間に1000枚の絵を撮影する画像処理を目標にしている」と、東京大学大学院情報理工学系研究科教授・石川正俊氏は語る。いったいそれをどのように実現するのか。なぜ実現できるようになってきたのか。(全7話中第3話)
時間:9分29秒
収録日:2016年1月7日
追加日:2016年7月22日
≪全文≫

●「知能化されたビジョン」を創る


 今回は、高速ビジョンを創る「アーキテクチャ」はどうあるべきかをお話ししたいと思います。

 今までのビジョンは、フォトディテクタ(光を感じる素子)が二次元に並んでいました。このフォトディテクタの端から順番にデータを撮っていくのです。これをスキャニング操作といいます。端から順番に撮っていくので、画素数が大きくなると、それだけ時間がかかります。これまでは30分の1秒で1枚の絵を撮っていくのが一般的でした。それを速くするには、スキャニングを速くする必要がありますが、一つ一つのディテクタのスイッチングスピードには限界がありますから、それ以上に速くはできません。

 そうすると、次にビデオ信号という1本の線で出力していること自体が、そもそもアーキテクチャとしてあまりよくありません。改善するには、この線を複数にする必要があります。複数の線で最も太い容量を持った結合にするとき、一つのフォトディテクタから一つのプロセッサにつなげるのが一番速いわけですが、そうなると、画素数の分だけ配線が必要になってしまいます。それはできませんから、フォトディテクタからコンピュータに入れる線にボトルネックを生じず、なおかつできるだけ少ない本数で済むアーキテクチャが理想となります。そのアーキテクチャは、フォトディテクタと処理回路を何らかの形で一体化したものになります。こうした一体化システムを、われわれは「知能化されたビジョン」と呼んでいます。

 知能化されたビジョンは、イメージャーのすぐ脇に処理回路があって、この処理回路で処理した結果がコンピュータに送られます。今までは、コンピュータの遅さをカバーするために、高速処理回路をコンピュータの前に置いていたのですが、これだとイメージャーと高速処理システムの間が細すぎて、大量のデータが流れません。そこで、この高速処理システムをイメージャー側に付けて並列接続することで、通信のボトルネックをなくすアーキテクチャが必要になります。


●100万並列のプロセッサが1チップの中に入る時代になってきた


 われわれの研究室では、20年間、そうしたアーキテクチャを研究し、さまざまな形のアーキテクチャを開発してきました。なぜさまざまな形が必要かというと、一つのフォトディテクタが一つのプロセッサにつながるのが理想ですが、配線やア...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
巨大地震予知の現在地と私たちにできること(1)地震予知研究と前兆すべり
地震予知に挑む!確かな前兆現象を捉える画期的手法とは
梅野健
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
性はなぜあるのか~進化生物学から見たLGBT(1)有性生殖と無性生殖
なぜ雄と雌の2つの性別があるのか…「性」の謎とLGBT
長谷川眞理子
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方
布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方
西野精治
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
プロジェクトマネジメントの基本(1)国際標準とプロジェクトの定義
プロジェクトマネジメントとは?国際標準から考える特性
大塚有希子
定年後の人生を設計する(1)定年後の不安と「黄金の15年」
不安な定年後を人生の「黄金の15年」に変えるポイント
楠木新
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール
日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール
島田晴雄