ダイナミック・ケイパビリティ~組織の戦略変化
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ポジショニングアプローチと資源アプローチの考え方とは
ダイナミック・ケイパビリティ~組織の戦略変化(3)ビジョンと戦略経営
経営ビジネス
谷口和弘(慶應義塾大学商学部教授/南開大学中国コーポレート・ガバナンス研究院招聘教授)
戦略的な経営に必要なのは、自己と他者について知り、目指すべきビジョンを示すことだ。かつてマイケル・ポーターは競争の場の選択が重要(ポジショニングアプローチ)だとし、ジェイ・バーニーは良質な資源を育てることが競争に勝つ要因(資源アプローチ)だとした。慶應義塾大学商学部教授・谷口和弘氏が、これまでの議論を振り返りながら、次なる時代の経営論を探る。(2016年6月23日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ダイナミック・ケイパビリティと戦略経営」より、全7話中第3話)
時間:11分41秒
収録日:2016年6月23日
追加日:2016年9月13日
≪全文≫

●戦略経営に必要なのは、自己と他者を知りビジョンを示すことだ


 次に、「戦略経営のフレームワーク」という話に移りましょう。戦略経営とはいったい何でしょうか。戦略経営を考える上で大切なのは、まず自己を知り、他者を知ることです。自分のことを知らなければいけないし、さらに自分を取り巻いている周りのことも知らなければいけない。これが基本になります。自分はいったいどんな強みと弱みを持っているのだろうか。自分の中には、どんなリソースがあるのだろうか。こういうことを知らないといけないと思います。これが内部環境です。

 さらに、先ほど出てきたようなライバルのことも知らなければいけない。自分を取り巻いている周りや市場には、どんな問題があるのか。サツマイモを洗って泥を詰まらせているという問題を抱えている農民がいるかもしれない。どんなニーズがあるのか。そういったことに敏感でなければいけない。重要なのは、これら内部環境と外部環境を把握し、両者をうまく適合させることです。チャンスを見つけて、そこに自分の持っている強いリソースを投げられるかどうかです。

 そのためにはやはり、ビジョンが大事だと思います。企業として何をしたいのか。どうなりたいのか。社会に対してどう貢献したいのか。そういうものがないと、なかなかうまくいかない。先ほど競争優位であるとか持続的競争優位であるとか、あるいはレントに関する話をしましたが、レントというのは目的ではなくて、結果です。大切なのはやはり、いかにしてビジョンを実現していくかということではないか。そしてビジョン追求の結果、良好なパフォーマンスが得られればいいのです。


●二つの戦略経営論


 こうしたことを考える上で、必要な戦略経営のフレームワーク(眼鏡)があります。代表的な眼鏡は二つです。一つは、マイケル・ポーターが提唱したものです。皆さんの部屋にも、もしかしたら彼の本が蔵書としてあるかもしれません。ポーターは「ポジショニング・アプローチ」という考え方を唱えます。それは「自分の周りを特に知りましょう」という考え方です。それに対してジェイ・バーニーは、「リソースが大事だ」と言います。自分や自分の所属する会社にどんなリソースがあるかということが大事だということを、バーニーは言います。これが、「資源ベース論」という考え方です。いずれにしても戦略というのは...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
部下を育てるには、まず佐藤一斎に学べ!
田口佳史
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(1)ルーズベルトに与ふる書
奇跡の史実…硫黄島の戦いと「ルーズベルトに与ふる書」
門田隆将
第2の人生を明るくする労働市場改革(2)前提が崩れた日本的雇用慣行
日本人全員ではない…日本的雇用慣行のターゲットは誰?
宮本弘曉
キケロ『老年について』を読む(1)キケロの評価と「老年の心構え」
老年が惨めと思われる4つの理由とは…キケロの論駁に学べ
本村凌二
50代からの親の介護~その課題と準備(1)突然やってくる介護の問題
「親の介護」の問題…優しさだけでは続かない
太田差惠子