ダイナミック・ケイパビリティ~組織の戦略変化
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ダイナミック・ケイパビリティは戦略的経営者に必要な力
ダイナミック・ケイパビリティ~組織の戦略変化(4)ケイパビリティとは何か
谷口和弘(慶應義塾大学商学部教授/南開大学中国コーポレート・ガバナンス研究院招聘教授)
慶應義塾大学商学部教授・谷口和弘氏は、ポーターやバーニーが前提とする市場の安定性は、もはや通用しないと考える。そこで新たに提示されるのが、ダイナミック・ケイパビリティだ。これは、戦略的に組織を変えるための能力や知識を指す。しかし、その変化の中にも、ベースとすべき不変の部分があることも忘れてはならない。(2016年6月23日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ダイナミック・ケイパビリティと戦略経営」より、全7話中第4話)
時間:8分46秒
収録日:2016年6月23日
追加日:2016年9月20日
≪全文≫

●21世紀に求められる、イノベーション重視の経営論


 しかし結局、これまで紹介してきたポーターによるポジショニングの戦略、あるいはバーニーによる資源の戦略は、現在では通用しなくなっているのではないか。先ほど述べたように、われわれを取り巻いている環境は日々激動しています。実はポーターやバーニーらが言っている戦略には、前提があります。まずポーターの発想は、「環境は安定している」「市場は相対的に安定している」というものです。さらにバーニーの資源ベース論が置いている前提は、「資源はいったん確立してしまえば、有効性が続くだろう」というものです。

 ところがわれわれは、激動の時代を迎えてしまった。例えばAIが出てくるから、それと戦わなければいけない時代です。あるいは新興国の企業と戦わなければいけない時代です。そういう中で、安定に重きを置いている時代ではありません。

 われわれが対処すべき環境とは、シュンペーター型であると言えると思います。シュンペーターというのは1930年代の経済学者です。彼の論じたもので、イノベーションや起業家精神と言えば、皆さんも聞いたことがあるかと思います。環境の不確実性が非常に高くなってくる。消費者のニーズも、がらがら変わってくる。技術進歩も速い。先ほどお話ししたようなムーアの法則によって、いろいろなテクノロジーが生まれてくる。競合も越境してくる。検索エンジンの会社だと思っていたグーグルが自動車開発に乗り出したり、あるいはウーバーという配車システムをやっている会社がありますけれども、そういったところも自動運転に入ってきたりするなど、競合そのものが越境してきます。そうやって考えると、安定の時代であった20世紀の前提を見直した、新しい戦略の考え方、経営戦略のパラダイムが必要になるのではないかと言えると思います。


●デビッド・ティースのダイナミック・ケイパビリティ論


 そこでご紹介したいのが、ダイナミック・ケイパビリティという考え方です。先ほどお話したデビッド・ティースという人物の考え方です。彼はハイパーコンペティション時代の戦略経営のために、どうやって企業のフレームワークをつくったらいいだろうかを考え、これをダイナミック・ケイパビリティ・フレームワークと呼んでいます。その目的とは何か。「諸企業の富」と言っています。どうやって価値創造し、...

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