ダイナミック・ケイパビリティ~組織の戦略変化
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ダイナミック・ケイパビリティは戦略的経営者に必要な力
ダイナミック・ケイパビリティ~組織の戦略変化(4)ケイパビリティとは何か
経営ビジネス
谷口和弘(慶應義塾大学商学部教授/南開大学中国コーポレート・ガバナンス研究院招聘教授)
慶應義塾大学商学部教授・谷口和弘氏は、ポーターやバーニーが前提とする市場の安定性は、もはや通用しないと考える。そこで新たに提示されるのが、ダイナミック・ケイパビリティだ。これは、戦略的に組織を変えるための能力や知識を指す。しかし、その変化の中にも、ベースとすべき不変の部分があることも忘れてはならない。(2016年6月23日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「ダイナミック・ケイパビリティと戦略経営」より、全7話中第4話)
時間:8分46秒
収録日:2016年6月23日
追加日:2016年9月20日
≪全文≫

●21世紀に求められる、イノベーション重視の経営論


 しかし結局、これまで紹介してきたポーターによるポジショニングの戦略、あるいはバーニーによる資源の戦略は、現在では通用しなくなっているのではないか。先ほど述べたように、われわれを取り巻いている環境は日々激動しています。実はポーターやバーニーらが言っている戦略には、前提があります。まずポーターの発想は、「環境は安定している」「市場は相対的に安定している」というものです。さらにバーニーの資源ベース論が置いている前提は、「資源はいったん確立してしまえば、有効性が続くだろう」というものです。

 ところがわれわれは、激動の時代を迎えてしまった。例えばAIが出てくるから、それと戦わなければいけない時代です。あるいは新興国の企業と戦わなければいけない時代です。そういう中で、安定に重きを置いている時代ではありません。

 われわれが対処すべき環境とは、シュンペーター型であると言えると思います。シュンペーターというのは1930年代の経済学者です。彼の論じたもので、イノベーションや起業家精神と言えば、皆さんも聞いたことがあるかと思います。環境の不確実性が非常に高くなってくる。消費者のニーズも、がらがら変わってくる。技術進歩も速い。先ほどお話ししたようなムーアの法則によって、いろいろなテクノロジーが生まれてくる。競合も越境してくる。検索エンジンの会社だと思っていたグーグルが自動車開発に乗り出したり、あるいはウーバーという配車システムをやっている会社がありますけれども、そういったところも自動運転に入ってきたりするなど、競合そのものが越境してきます。そうやって考えると、安定の時代であった20世紀の前提を見直した、新しい戦略の考え方、経営戦略のパラダイムが必要になるのではないかと言えると思います。


●デビッド・ティースのダイナミック・ケイパビリティ論


 そこでご紹介したいのが、ダイナミック・ケイパビリティという考え方です。先ほどお話したデビッド・ティースという人物の考え方です。彼はハイパーコンペティション時代の戦略経営のために、どうやって企業のフレームワークをつくったらいいだろうかを考え、これをダイナミック・ケイパビリティ・フレームワークと呼んでいます。その目的とは何か。「諸企業の富」と言っています。どうやって価値創造し、...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
認知バイアス~その仕組みと可能性(1)認知バイアス入門
誰もが陥る「認知バイアス」…その例とメカニズム
鈴木宏昭
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(1)膠着する日本経済の深層
日本経済の行き詰まりをもたらした2つの大きな理由とは
西山圭太
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
キャリア転換で人生を成功させる方法(1)2つの大きな潮流
なぜ40歳でキャリアについて一度考え直す必要があるのか
為末大
行動経済学とマーケティング(1)「行動経済学」とは何か
人間はそれほど合理的ではない…行動経済学の本質に迫る
阿部誠

人気の講義ランキングTOP10
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査
「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味
川口淳一郎
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す
狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き
長谷川眞理子
数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数
フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる
中島さち子
第2の人生を明るくする労働市場改革(1)日本の労働市場が抱える問題
シニアの雇用、正規・非正規の格差…日本の労働市場の問題
宮本弘曉
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス
外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?
小原雅博
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将