ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
スッラとディオクレティアヌス―二人の独裁者の共通点とは
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(4)救国の英雄・スッラ
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏が、カルタゴに敗走し、危機に陥ったローマを救った英雄・スキピオと並んで英雄と評価するのが、スッラだ。彼は敵と味方を峻別し、過酷さと温情さを兼ね備えた人物であり、後にローマ帝国の安定化に努めたディオクレティアヌスとの共通点も見出せる。(2016年9月30日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「歴史に学ぶ戦略思考 ローマ人を中心として」より、全8話中第4話)
時間:9分45秒
収録日:2016年9月30日
追加日:2017年6月6日
カテゴリー:
≪全文≫

●ローマを救った英雄・スキピオ


 カンナエの戦いから十数年たち、コルネリウス・スキピオという青年がローマ軍を指揮します。今度はこのザマという場所で、202年にカルタゴを打ち負かしました。今の地域で言えばここはチュニジアですから、ローマ軍からすればアウェーの戦いになります。それにもかかわらずスキピオは勝利を収め、やがてカルタゴ軍は、ここで大きな敗北を喫することになります。

 このスキピオは、非常に精悍(せいかん)な顔をしていた人物です。ある意味ではハンニバルに脅かされていたローマ軍を救った、救国の英雄と言っていい人物です。その彼が征服をしていく過程で、ちょっとしたエピソードが残っています。

 カルタゴはイベリア半島に勢力を張っていましたから、そのイベリア半島の戦いで、スキピオは首尾よくその連中を打倒しました。そして、カルタゴを支援していた部族たちを征服した時に、その部族の娘で、目を見張るほどの美貌の女性がいました。古代の戦争などというのは、意中の女性がいれば、戦争に勝った方の武将が自分のところに引き連れてきても何ら非難されることはなく、それが当たり前のように考えられていました。しかしスキピオは、そんなことはしなかった。婚約者がいたこの娘をその婚約者の元に返してやり、さらに両親から身代金として提供されたお金を、結婚の祝儀として返してあげるという、非常なる温情を示します。(スキピオの自制)

 スキピオには、もちろん計算があります。こうした経緯を見て、かつてカルタゴに味方していた部族たちは、スキピオの魅力に惹かれてローマ軍を支援するようになっていくだろうという計算があったのでしょう。そういう人物として、救国の英雄の一人でいるわけです。


●スキピオを引きずり降ろした嫉妬深きカトー


 しかし、一方で大カトーという人がいます。この人は非常に国粋主義者の人物で、スキピオがもともと好きではありませんでした。大きな対立点として、新しい文化への対応があります。新しい文化が入ってくる場合、ローマにとっての新しい文化、先進文化とはギリシャです。ギリシャの文化に対して、それを積極的に取り入れようとしたのがスキピオ系であり、この大スキピオもそうでした。だから、カトーという人物からすれば、スキピオなどは「ギリシャかぶれ」だと言えます。日本でなぞらえれば、明治の頃にヨーロッパやア...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
『昭和16年夏の敗戦』と『昭和23年冬の暗号』
『昭和16年夏の敗戦』『昭和23年冬の暗号』が映す未来とは
猪瀬直樹
天皇のあり方と近代日本(1)「人間宣言」から始まった戦後の皇室
皇室像の転換…戦後日本的な象徴天皇はいかに形成されたか
片山杜秀
新撰組と幕末日本の「真実」(序)『ちるらん 新撰組鎮魂歌』の魅力と史実の絶妙さ
新撰組と『ちるらん 新撰組鎮魂歌』…群像劇としての魅力の源泉に迫る!
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
編集部ラジオ2026(24)「皇室典範改正」を考える
【10minで考える】「皇室典範改正」社会の空気をどう見るか?
テンミニッツ・アカデミー編集部
中国春秋戦国時代と始皇帝(6)秦の恵文王、昭王、荘襄王の時代
秦による中国統一への道…恵文王、昭王、荘襄王が行なったこと
鶴間和幸
昭和の名将・根本博…内蒙古・終戦後の戦い(2)在留邦人の生命財産を保護する決断
武装解除の「厳命」を守るか、戦って在留邦人の「生命」を守るか
門田隆将
天皇のあり方と近代日本(4)三島由紀夫VS東大全共闘
「人間天皇」を否定した三島由紀夫の思想が問うものとは
片山杜秀
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
『太平記』に学ぶ激動期の生き方(1)なぜ今『太平記』を読むべきなのか
『太平記』は乱世における人間の処し方が学べる古典文学
兵藤裕己
老子の神髄(1)「絶対自由の境地」を求めて
『老子』が求める「絶対自由の境地」とは?…そして創造長寿へ
田口佳史
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
AI時代にリベラルアーツがなぜ必要か(3)リベラルアーツの伝統と教育
身につけるべきリベラルアーツとは?…欧米の伝統と変遷から探る
橋爪大三郎