ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
司教アンブロシウスの気概がキリスト教の追い風になった
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(7)キリスト教確立への影響
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏は、ローマ史のあり方が、その後のキリスト教の拡大にも大きく影響したという。本村氏が重要人物として挙げるのが、生粋のローマ人である司教アンブロシウスだ。彼は時の皇帝テオドシウスにも対等な立場で物申し、時に破門までした。ローマ人の気概がキリスト教拡大の道を開いた。(2016年9月30日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「歴史に学ぶ戦略思考 ローマ人を中心として」より、全8話中第7話)
時間:6分24秒
収録日:2016年9月30日
追加日:2017年6月11日
カテゴリー:
≪全文≫

●背教者ユリアヌスがもっと長く生きていたら・・・


 ディオクレティアヌスの後には、キリスト教を公認したコンスタンティヌスがいます。さらに、逆にキリスト教を否定しようとした背教者のユリアヌスという人がいます。これについては、辻邦生さんが『背教者ユリアヌス』(中央公論新社)という、文庫で3冊になる本を書かれています。とにかく、キリスト教が布教を成功させ、ある程度、社会で確立している段階で、ユリアヌスはこれを何とか食い止めようとします。だから「背教者」と言われるのです。

 われわれの感覚では分かりませんが(この点はキリスト教、ユダヤ教でも同じでしょうが)、神々(多神教)を奉じる人から見れば、一神教は無神論に見えます。神々を一切、敬わないように見えるのです。いろいろな自然の力など、そういうものに対し、崇めることが当たり前に思っていた古代の人たちから見れば、自分たちが勝手にこしらえた神を祈っているであろう一神教は、無神論と同じなのです。ただユリアヌスは、「われわれは、また神々をきちんと崇めなければいけない」という教義に則り、キリスト教をある程度は認めます。しかし弾圧すると殉教者が出ますので、「殉教者が出て、それにかぶれる連中が出てくるから」ということで、言論でこれを封殺しようとしました。

 しかし彼は、為政者になって3年で戦死してしまいます。フランスの代表的な歴史家でポール・ヴェーヌという人がいますが、その人が言った言葉を紹介します。ユリアヌスは33~34歳ぐらいで亡くなりました。有名な人というのは、大体33歳ぐらいで亡くなっているケースが多い。アレキサンダーがそうです。イエス・キリストもそうです。坂本龍馬もそうですね。そういう経緯で、ユリアヌスも亡くなってしまう。「もしユリアヌスが、あと20年間生きていたら、本当にキリスト教があれだけ普及しただろうか」という。そういう考え方だってできるのです。つまり、たった1人の人間が、歴史に大きな影響を与えることができます。

 20世紀だって、レーニンやトロツキーなど、彼らが仮にいなかったら、ロシア革命はあっただろうか。あったはあっただろうが、もう全然違った形になっていたかもしれません。1人の人間が、どれくらい歴史の中で大きな役割を果たすかという点から見て、このユリアヌスの存在は大きい。キリスト教側からすれば、彼がたった3年で戦死してしま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
織田家中一の武略者…『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の知られざる実像
黒田基樹
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(1)「無任所大臣」が生まれた経緯
現代の「担当大臣」の是非は戦前の「無任所大臣」でわかる
片山杜秀
信長軍団の戦い方(1)母衣衆と織田信長の残忍性
織田信長を支えた母衣衆に見る戦国のダンディズム
中村彰彦
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(1)決断と信念のユダヤ人救出
毅然として人道を貫き、命を救う…樋口季一郎のユダヤ人救出
門田隆将
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国大名と民衆の過酷な課題…飢饉の常態化をどう生き延びるか
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(13)心の「柔軟性」を高めるヒント
【10minでわかる】心の「柔軟性」を高めるヒント
テンミニッツ・アカデミー編集部
昭和の名将・樋口季一郎…ユダヤ人救出編(3)救った人数とゴールデンブックの謎
樋口季一郎のユダヤ難民救出数は?ゴールデンブックの謎は?
門田隆将
「逆・タイムマシン経営論」で磨く経営センス(1)人口問題の本質
「逆・タイムマシン経営論」は本質を見抜くための方法論
楠木建
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(9)ユダヤ人の多様性
ユダヤ人は一枚岩ではない…米国ユダヤ人のイスラエルへの違和感
鶴見太郎
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
生き抜くためのチカラ~為末メソッドに迫る(4)人生の勝敗を考える
幸せの鍵「なにげなさ」とは何のことか
為末大
イラン戦争とトランプ大統領の戦争指導(1)米軍式戦略リーダーシップによる評価
イラン戦争…トランプ大統領の戦争指導のどこが問題なのか?
東秀敏
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
戦前、陸軍は歴史をどう動かしたか(1)総力戦時代の到来
日英同盟の廃棄、総力戦…世界秩序の激変に翻弄された日本
中西輝政
不便益システムデザインの魅力と可能性(1)「便利・不便」「益・害」の関係
「不便益」とは何か――便利の弊害、不便の安心
川上浩司