ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ
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アッピア街道はなんのために?古代ローマ人の気質と戦い
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(3)支配の拡大とポエニ戦争
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
日本がようやく弥生時代になろうかという時、ローマ人はすでに高度な文明を築いていた。アッピウス・クラディウスの進めたアッピア街道はその一例だが、時に街道は、敵を誘い込むリスクともなる。早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏は、それでも街道整備を進めたところに、ローマ人の気質が見えると話す。(2016年9月30日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「歴史に学ぶ戦略思考 ローマ人を中心として」より、全8話中第3話)
時間:11分48秒
収録日:2016年9月30日
追加日:2017年6月3日
カテゴリー:
≪全文≫

●ローマ人が整備した古代のインフラ


 ローマ人たちの1,200年の歴史の中で、特にわれわれが今、考えるに値するいろいろなことを、その人の生き方なり人生から学べるか。これをテーマに、3ページにわたるレジュメで、そういう人たちのことを取り上げてみました。

 (画面に示したのは)紀元前4世紀の、非常に高貴な身分の人の彫像で、ブルートゥスではないかと言われています。実際に誰を描いたかは分かりませんが、とにかく紀元前4世紀のローマの貴族です。非常に気高くて芯の強いローマ貴族の様子が伺えますが、紀元前4世紀と言えば、日本が縄文から弥生にやっと移るような時期です。そんな時期に、このような彫像ができていました。

 紀元前3世紀、つまり共和制国家になってから250年ぐらいの間に、ローマはイタリア全域、特に南部を併合していきます。有名なアッピア街道は紀元前の313年に造られています。これを造ったのは、アッピウス・クラウディウスという人物です。彼はアッピア街道、そしてアッピア水道もつくっており、いわゆるインフラの整備をやった人物です。

 ローマ人がつくる街道の、第一の目的は軍道です。だからこの街道も、軍事的観点から、軍隊を派遣するためにつくるわけです。とにかく早く目的地に到達するためには、真っすぐ走らせればいい。真っすぐに道路を走らせるという形で、今のアッピア街道ができています。

 ただこれは、自分の軍隊が行くときはいいですが、反対に敵の軍隊がやって来るときは、非常に危険なわけですね。実際にドイツのヴィルヘルム1世は、18世紀の段階でこういうローマの街道のような道を造るのを非常に嫌っています。要するに彼は、積極思考ではないわけで、マイナスの面だけをついつい考えてしまう。それに対してローマ人は、そのマイナス思考が非常に薄かったというか、とにかくプラス思考で考えていきます。

 水道も同じです。水道も、例えば水道の途中で、中に毒や何かを混ぜられると非常に危険なのですが、そうしたリスクよりも、生活の環境をより良くすることを考えていった。そういう形でアッピア街道やアッピア水道ができ、インフラの整備が行われていった。それを最初に指導したのが、先ほど述べたアッピウス・クラウディウスという人です。


●アッピウスがローマ人に飛ばした檄


 南イタリア、またシチリア島もそうですが、こちらの方面は、かつ...

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