ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ローマの第1回三頭政治で発揮されたカエサルの政治的手腕
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(5)カエサルが残した警句
本村凌二(東京大学名誉教授/文学博士)
ローマの第1回三頭政治の中で、かのカエサルは頭角を現す。カエサルは優しさと器量の大きさの点で偉大な人物だった。早稲田大学国際教養学部特任教授・本村凌二氏は、そのカエサルが残したある警句に注目する。「人は自分が信じたいことを信じる」、この警句に込められた意味とは何だったのか。(2016年9月30日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「歴史に学ぶ戦略思考 ローマ人を中心として」より、全8話中第5話)
時間:15分27秒
収録日:2016年9月30日
追加日:2017年6月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●三頭政治におけるカエサルの位置


 スッラの後には、有名なクラッスス、ポンペイウス、カエサルという一連の支配者が出ます。画面で示したのはポンペイウスです。これは結構な高齢、50代になってからの彫像ですから、何となく気の抜けたおじさんみたいな顔をしていますが、若い時はかなりハンサムだったと言われています。そして弁論家のキケロ、それからカエサルです。

 スッラは非常に冷徹なところもありますが、そうでない一面もありました。彼は若い時、政権を取ってからもそうでしたが、暇な時間になると、日本風に言えば芸者を上げて遊ぶといったことが大好きだったらしいのです。芸人との付き合いも非常に盛んだった、と言われているぐらいの人物です。しかしいったん仕事になると、味方にはもう徹底的に温情を示し、敵は徹底的にやっつけるというところがあった。

 カエサルは、それとは少し違う形でいきます。このクラッスス、ポンペイウス、カエサルらは、第1回三頭政治と言われています。紀元前の1世紀後半の最初の方、50年から53年ぐらいまでの間に、この3人が、いわば結託してローマの実権を握ります。当時は元老院が、もう大きな権力を持っていました。この時のローマは帝国ではありませんのでまだ皇帝はいませんが、実質的にはエンパイアと言っていいぐらいの規模になっていました。そのくらいの規模を治めていくには、元老院で長く審議していたのでは事が進まない、ということでローマは3人の統治になりました。

 クラッススは、とにかく大金持ちです。ローマ一の大金持ちでした。ポンペイウスという人は、これは圧倒的に武勲を挙げた人で、軍事的功績に優れていました。そしてカエサルは、彼らよりも少し年齢も若いですし、最初の段階ではあくまでも自分の政治的才覚で活躍しました。クラッススとポンペイウスの両者は非常に仲が悪かったのですが、これを調停したのもカエサルです。そうやってカエサルという人物は、活躍します。私の『ローマ帝国 人物列伝』(祥伝社)という本でも、カエサルのことをいろいろ書いています。


●「ブルートゥス、お前もか」の真意


 先ほど、スッラは敵に対しては徹底的にやっつけたということを話しましたが、カエサルはそうではありません。カエサルも、徹底的に抵抗する人間に対しては、容赦なくかなり危ない手段を使いますが、恭順の意を示せば彼はむしろす...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男

人気の講義ランキングTOP10
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
歴史の探り方、活かし方(7)史料の真贋を見極めるために
質疑編…司馬遼太郎の「史料読解」をどう評価する?
中村彰彦
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
経験学習を促すリーダーシップ(3)成功の再現性と教え上手の指導法
教え上手の指導法に学ぶ!成功の再現性を高める4ステップ
松尾睦
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫