●ZOZOTOWNの企業価値は既存企業をすでに超えた
最近、Amazonがアメリカと同じように、日本のファッションの世界にも入ってきました。Tokyo Fashion Weekの冠スポンサーになっています。さらに、従来のチャンネルに変わって、ZOZOTOWNの成長には目覚ましいものがあります。その企業価値は、今ではなんと三越伊勢丹、J.フロント、高島屋をすでに上回っています。あらゆるアパレルの企業価値を超えているのです。世界は完全に変わりつつあります。
AmazonやZOZOTOWNの成功は、単にネットの活用によるものだけではありません。若い世代のお客さんに響くようなことを、いろいろと行っています。
例えば、最近ZOZOTOWNはZOZOUSEDという事業を始めました。スローガンは、「あなたのクローゼットを満タンにさせない」というものです。つまり、ZOZOTOWNで買った物を引き取るというサービスです。ZOZOTOWNで買った人たちに中古品を流出させれば、自分の洋服だんすに洋服が余るということはありません。常に自分の着たい物だけがある状態になります。さらに、無駄な物が中古で流通するのですから、ある意味でエコだというわけです。これもまた、企業の姿勢として支持を受けています。
●作ったものを売るのではなく、消費者が求めるものを作る
このように世界はどんどん変わりつつあります。これを見ているならば、経営者は危機感を持って当然なはずです。こうした変化の中で、ファーストリテイリング代表取締役会長兼社長の柳井正氏が出したキーワードが、「情報製造小売業(Digital Consumer Retail Company)」です。ユーザーや顧客の情報をサイバー空間上に集め、それをAIとデータアナリティクスによって分析します。そうすれば、作られたものを売るのではなく、個々のユーザーが求めるものを提供することが可能になるはずです。そのために、あらゆる商品にRFIDが組み込まれるようになるでしょう。
ただし、こうしたやり方は企業の考え方によって違っています。例えば、Amazonは、RFIDではなく、画像を利用しようとしています。いずれにせよ、デジタルテクノロジーを利用して、その瞬間ごとに個々のお客さんがどういうものを求めているか、予測しようとする取り組みです。その予測は、究極的にはリアルタイムになるでしょう。店ごとの状況を見て、明日何が売れるのかを予測できるようになるでしょう。作ったものを売...