AIとデジタル時代の経営論
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
日本におけるAI関連の人材不足を解消するには?
AIとデジタル時代の経営論(5)日本の人材不足
経営ビジネス
一條和生(一橋大学名誉教授)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科研究科長・教授の一條和生氏が、日本におけるAI関連の人材不足の現状について解説する。確かに、今すぐにAI関連の人材が必要な企業は多くはないかもしれないが、10年後にはそうはいかない。人材不足を補うために、日本の企業界全体でITに対するパラダイムを変えていく必要があるだろう。(2017年7月24日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「AIとデジタル時代のリーダーシップ」より、全9話中第5話)
時間:8分54秒
収録日:2017年7月24日
追加日:2017年10月29日
≪全文≫

●AIのプログラマーやデータアナリストの人材が不足している


 AIを活用してトップライングロース(売上増加)を目指すために、鍵となってくるのは、やはり人材です。その点で日本は、非常に厳しい状況にあります。

 日本の今の若者は、就職ではリスクを回避する傾向があります。発展しない産業には向かいません。残念ながら、日本のコンピューター産業はほとんど競争力を失っており、優秀な若者はそうした会社には入らないでしょう。さらに、学生が情報工学を勉強することが少なくなってくれば、情報工学の研究自体も非常に弱くなっていきかねません。AIのプログラマーや、これと同じように重要なデータアナリストの人材が、決定的に不足しています。

 私たちの大学院を例に挙げましょう。ブレンディッド・ラーニングをやるにあたって大事なのは、授業のやり方を変えることだけではなく、TA(ティーチングアシスタント)です。先生の横にいて、例えば、ネットのアクセストラブルを防いだり、ハウリングが起きないようにしたり、あるいは先生に生徒から質問があると伝えたり、そのような作業をするのがTAです。しかも、一橋大学大学院国際企業戦略研究科は、全て英語で授業を行いますので、こうした作業を英語で行える必要があります。

 私たちはこうした人材を特任助教として1年ほどかけて募集したのですが、結局集まりませんでした。ゼロ人です。例えばアメリカでは、大学でコンピューター工学を勉強して、就職後、ビジネススクールで経営学を学んだことのある、センスの良い人材はたくさんいます。中国人とインド人ではありますが。しかし、日本にはこうした人材が枯渇しています。仕方がありませんので、採用募集をやめて、企業にアウトソーシングすることにせざるを得ませんでした。


●リクルートはデータ中心の世界に大変革を起こそうとしている


 他方で、人材に関してうれしいニュースもあります。2015年、Googleの親会社であるAlphabetでAI部門のトップだったアロン・ハレヴィ氏が、リクルートに入ったのです。これはかなり衝撃的な出来事でした。ハレヴィ氏は非常に優秀な研究者で、Alphabetの中のAI部門の本当に中心を担ってきた人でした。

 しかし、彼はなぜリクルートに来たのでしょうか。ハレヴィ氏は、AIで人を幸せにしたいと考えていたところ、それが可能なのはGoogleよりもリクルートだと判断し...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
イノベーションの本質を考える(1)イノベーションの定義
イノベーションの定義はパフォーマンスの次元が変わること
楠木建
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ビジネス・エコノミクス(1)差別価格から学ぶダイナミックプライシング
差別価格の実例でダイナミックプライシングの真髄がわかる
伊藤元重
重職心得箇条~管理職は何をなすべきか(1)時代に請われ、時代に応えた佐藤一斎
部下を育てるには、まず佐藤一斎に学べ!
田口佳史
日本企業の弱点と人材不足の克服へ(1)膠着する日本経済の深層
日本経済の行き詰まりをもたらした2つの大きな理由とは
西山圭太

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規
「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機
「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機
納富信留
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性
同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」
佐橋亮