AIとデジタル時代の経営論
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創業の原点に忠実であり続けてきたホンダ
AIとデジタル時代の経営論(9)ホンダのフィロソフィー
経営ビジネス
一條和生(一橋大学名誉教授)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科研究科長・教授の一條和生氏は、ホンダの事例を通じて、日本企業には、デジタル化の中でも忘れるべきでない「らしさ」があると論じる。ホンダは本田宗一郎氏による創業以来、原点ともいうべき「Hondaのフィロソフィー」を継承し続けてきた。それがイノベーションを続ける原動力になっている。(2017年7月24日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「AIとデジタル時代のリーダーシップ」より、全9話中第9話)
時間:6分57秒
収録日:2017年7月24日
追加日:2017年11月2日
≪全文≫

●ホンダは最初から移動の楽しさを追求してきた会社だ


 ソニーとは対照的に、原点を徹底的に、忠実に守り続けているのは、ホンダです。ホンダは、自転車に湯たんぽと軍払い下げのエンジンを取り付けたところから始まり、スポーツカー、NSX、ジェット機、そしてASIMOと、常に進化し続けています。ホンダは単なる自動車会社でも、単なるモーターバイクの会社でもありません。むしろ、最初から移動の楽しさを追求してきた会社です。

 本田宗一郎氏が、最初から飛行機を造りたいと考えていたことは、有名な話です。その証拠に、ホンダのバイクのデザインは翼です。そしてようやく2016年に、飛行機製作が実現しました。しかも、翼の上にエンジンが付いています。常識をぶっ壊してしまいました。これによって、燃費効率も40パーセント改善するというのです。さらに常識をぶっ壊したのは、世界で初めて、ボディーとエンジンの両方を作った会社だということです。ボディーはボーイングやエアバス、エンジンはプラット・アンド・ホイットニーやGE、ロールスロイスが、別々につくっています。しかし、ホンダはその両方をつくっているのです。


●本田氏と藤沢氏は知的にぶつかりあっていた


 このように、次々とイノベーションを行っているホンダですが、その原点にあるのは、本田氏と藤沢武夫氏が創り上げたフィロソフィーです。ソニーの場合には、盛田昭夫氏が井深大氏を尊敬していましたが、本田氏と藤沢氏は完全に対立していました。知的にぶつかりあっていたのです。ある意味で、本田氏が暗黙知だとすれば、藤沢氏は形式知です。しかし、彼らは2人で一つなのです。

 本田氏と藤沢氏は、同時に会社を辞めました。有名な話ですが、藤沢氏が本田氏のところに行って、「おやじ、俺辞めるよ」と言うと、本田氏もすぐ、「俺も辞める」と言ったというのです。2人は完全に1つで、お互いにないものを補っていたのです。


●ホンダは徹底的に原点を維持し続けている


 知的バトルを繰り広げながらも、創業者2人の思いは同じでした。人々の幸せに役立つことをするのだという、フィロソフィーです。人間の幸せとは何なのか、そのために技術はどのように使われるべきか、これを常に2人は考えていました。こうした経営理念は、「Hondaフィロソフィー」と呼ばれます。ソニーが東京通信工業設立趣意書の理念を、一時期おろそかにしてしま...

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