知性の進化と科学技術文明の未来
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
人類史における科学・技術の原動力は「欲求」
知性の進化と科学技術文明の未来(2)科学と技術は別物か
長谷川眞理子(総合研究大学院大学名誉教授)
現在の科学技術文明があまりにも急激に進んできたことに、人類学の立場から疑問を覚えているのが、総合研究大学院大学長の長谷川眞理子氏である。今回は、科学の考え方はどこでどのように始まり、どう発展してきたのかを振り返るところから始まる。科学の原動力はどこにあり、技術に向かおうとする力とは、どう違うのだろうか。(全3話中第2話)
時間:13分25秒
収録日:2017年10月18日
追加日:2018年1月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●ギリシャからヨーロッパへ、科学文明の源流をたどる


 科学文明の大本は、古代ギリシャにあるといわれています。宗教や占いのようなものとは別に、また実利あるいは得をするか損をするかというところからも離れて、世界を客観的・総体的・普遍的・合理的に説明しようとしたのです。そういうことを考える人はいろいろな文明にたくさんいたはずですが、そういう人々が優勢を占めて文明になったのは古代ギリシャではなかったかということです。

 ただ、その中にはあまり実験や観察は含まれておらず、論理的で合理的な説明体系しかありません。そのように思弁的に考えるだけではなく、現実において実証的な仮説検証を伴う普遍的な説明に向かおうとしたのは、17世紀以降のヨーロッパではないかといわれています。つまり、近代科学の発祥の地は17世紀以降のヨーロッパだということです。

 もちろんインドや中国など、どの文明世界でも、実証的な仮説検証を行い、普遍的な説明体系を構築しようと考えた人はいたでしょう。ただ経済や政治など、いろいろな条件が重なり、そういう人の言うことが優勢を占めるようになった文明は、17世紀以降のヨーロッパが最初ではないかと考えられます。

 科学の考えは、まず古代ギリシャから始まります。問題解決の方法として、仮説を出す。その改訂をどんどんしていく。そのために議論をして、みんなでもっと良い説明はないかを話し合う。また、何らかの説明を「これは神様(の命令)だから」といった権威による無条件の受け入れはせず、説明力の高さで仮説を評価していく。

 ということで、みんなで議論しながら一つの結論に至るので、これは「集合知」です。一人が考えるのではなく、みんなで行う集合知という方法は、とても強いことだと思います。これが古代ギリシャで始まったことなのですが、ここにはまだ実験や観察が入っていません。


●近代科学の創始者、ベーコンとデカルト


 17世紀の「近代科学」には、二人の柱がいたといわれています。

 一人は、イギリスの哲学者、フランシス・ベーコンです。ベーコンは実験や観察を非常に重視し、科学の方法として完成させようとしました。現象をきちんと観察しないと真実には到達できないだろう、頭で考えているだけでは駄目だろうと、ベーコンは考えたのです。

 しかし、観察自体が人間の行うバイアスのかかった仕事です。人...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
培養肉研究の現在地と未来図(1)フェイクミート市場とリアルミート研究
食肉3.0時代に突入、「培養肉」研究の今に迫る
竹内昌治
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(2)「時代の大転換期の選挙」特集を解説!
「大転換期の選挙」の前に見ておきたい名講義を一挙紹介
テンミニッツ・アカデミー編集部
これからの社会・経済の構造変化(1)民主主義と意思決定スピード
フラット化…日本のヒエラルキーや無謬性の原則は遅すぎる
柳川範之
衰退途上国ニッポン~その急所と勝機(1)安いニッポンと急性インフレ
世界で一人負け…「安い国」日本と急性インフレの現実
宮本弘曉
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
プロジェクトマネジメントの基本(8)要求の分類と価値の提供
新規顧客を増やす作戦と顧客リレーションを高める方法
大塚有希子
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
AI時代と人間の再定義(4)自分と出会うチャンス
人生はエネルゲイア――AIにない「自分と出会うチャンス」
中島隆博
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
トランプの誤謬…米国製造業を壊した犯人は米国の経営者
島田晴雄
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一