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日本の将来に必要なドラスティックな改革とは?

日本財政を巡る課題(8)さらなるドラスティックな改革案

小黒一正
法政大学経済学部教授
概要・テキスト
日本財政を巡る課題についてのシリーズ最終回。法政大学経済学部教授の小黒一正氏が、「地方庁」や薬の収載システム等、さらなるドラスティックな改革について提言する。低成長と社会保障の膨張が待ち受ける日本の将来にとって、必要な改革とは何か。(2017年10月30日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「日本財政を巡る課題」より、全8話中第8話)
時間:08:07
収録日:2017/10/30
追加日:2018/05/19
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≪全文≫

●日本はデッドサイドに突き当たっている


質問 今後人口が減少していき、経済成長率も落ちていく中で、日本はもっとドラスティックな改革が必要なのではないでしょうか?

 それはあると思います。今回お話したのは、あくまで現状の社会保障を軌道修正するとどうなるのかというものにすぎません。ただし、これでも結構ドラスティックな改革だと思いますが。

 日本という国は、およそ80年周期でガラガラポンしてきたと思います。例えば明治維新は1868年ですが、その後日露戦争でピークを迎えたのが1905年です。当時ガバナンスしていた人たちは、明治維新の時の元老です。彼らがいなくなってガバナンスが崩壊し、軍部が暴走する。そして最終的には太平洋戦争に突っ込んでいって、崩壊するわけです。

 1945年からは、中曽根康弘元総理など、戦争に行ってひどい目に遭った人が活躍します。ピークになったのは1985年で、まさにバブルが始まる時期でした。「ジャパン・アズ・ナンバーワン」といわれて、システムが最高になった時です。当時の日本が乗った流れというのは、私の視点では、革命が起きつつあった電子工学の流れです。日本はその第2フェーズから世界経済に名乗りを上げました。当時既にあったテレビなどの製品を分解して、もっと良いものを造って売り出していき、市場を独占したのです。しかし、今では見る影もありません。

 経済成長面でいえば、1996年には、世界の時価総額ランキングトップ25社の中に日本は入っていましたが、2016年になるともう1社も入っていません。GAFA、つまりGoogleやApple、Facebook、Amazonが勝ち組です。日本の最高ランクは47位のトヨタです。しかし、今後中国がEV車に本気で取り組んでいく中で、もしパソコンと同じようにモジュール化されたりすると、トヨタでさえも相当な打撃を受ける可能性があるでしょう。

 そういう意味では、はっきりいって根本的にデッドサイドに突き当たっています。企業のバランスでいえば、社会保障と財政がデッドサイドで、アセットサイドも相当危うい状況かと思います。


●コストを全て中央で引き受けて配分するのは困難だ


 今、世界で起きているのは、データとAIのグローバル競争です。すでに囲い込みは始まっています。そうした中で、全てのものの構造を結構変えないと厳しいでしょう。成長戦略に関しても、私は持論があります。

 例え...
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