日本財政を巡る課題
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
団塊世代が75歳以上になる2025年、医療費は5倍に
日本財政を巡る課題(2)社会保障給付費と2025年問題
小黒一正(法政大学経済学部教授)
過去10年間で26兆円も増加している社会保障給付費。団塊世代が一斉に75歳に突入する2025年、医療費の国庫負担は5倍に膨れ上がる。こうした状況で、基礎的財政収支の黒字化は可能なのか。法政大学経済学部教授の小黒一正氏が、ドーマー命題を用いた予測について解説する。(2017年10月30日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「日本財政を巡る課題」より、全8話中第2話)
時間:7分18秒
収録日:2017年10月30日
追加日:2018年5月19日
カテゴリー:
≪全文≫

●2025年以降には医療費の国庫負担が5倍に膨らむ


 「10年間で26兆円増の社会保障給付費」というグラフを見てください。90兆円と116兆円と数字が付いている箇所がありますが、これが10年間の伸びです。要するに、10年間で26兆円伸びており、年間平均でならせば2.6兆円の増加です。

 2.6兆円というのは、実は消費税を1パーセント増税したときに手に入る税収とほぼ同じ額になります。したがって、もし社会保障を抑制しなければ、毎年1パーセント程度増税しないと、社会保障財源が手当てできないというぐらいのスピードで、社会保障給付費は伸びているのです。

 今後はさらに深刻になるでしょう。次のグラフを見てください。年齢階級別に見た1人当たりの医療・介護費になります。左側には、0歳から4歳、5歳から9歳、あるいは75歳から79歳などと、年齢階級別の医療費が示されています。

 注目すべきは75歳以上の医療費です。例えば現役世代では、1人当たり平均で18万円の医療費がかかっています。65歳から74歳では、平均で55万円です。しかし他方で、75歳以上では90万円ぐらいの医療費になっているのが分かります。このうち、一般会計からお金を補填する分として、現役世代は1人当たり2.5万円、65歳から69歳は1人当たり7.8万円が補填されるのに対し、75歳以上になると35万円です。つまり5倍に膨らむのです。

 2017年現在、団塊の世代はまだ75歳になっていませんが、2025年以降には完全に75歳以上になってしまいます。そうすると、国庫負担が5倍に膨らむことになるわけです。こうしたインパクトを示しているのが、次の図です。今回は時間の都合で割愛しますが、少し見ただけでも深刻さが分かります。


●経済再生ケースですら2025年度で2.8パーセントの財政赤字


 財政のもっと深刻な状況を見ていただくために、「内閣府の中長期試算」というスライドを見てください。政府は、国と地方の基礎的財政収支を2020年度に黒字化するという目標を掲げています。基礎的財政収支とは、国債の利払い等を除いて、純粋に政策に充てられる政策経費と税収との差額を示します。

 「国・地方の基礎的財政収支」というグラフにあるように、消費税が10パーセントに引き上げられたことを前提として、経済再生ケースでは2025年になれば、基礎的財政収支がプラスになると試算されています。新聞にもよく載っていますが、政府も財務省もこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
歌舞伎はスゴイ(2)市川團十郎の何がスゴイか(後編)
歌舞伎十八番を定めた七代目市川團十郎、一番モテた八代目
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
「次世代地熱発電」の可能性~地熱革命が拓く未来
地熱革命が世界を変える――次世代地熱の可能性に迫る
片瀬裕文
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
禅とは何か~禅と仏教の心(1)アメリカの禅と日本の禅
自発性を重んじる――藤田一照師が禅と仏教の心を説く
藤田一照