日本の財政の未来
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「国全体で見れば公債に負担はない」は本当か?
日本の財政の未来(5)公債発行と世代交代
小黒一正(法政大学経済学部教授)
日本政府の債務残高GDP比は200パーセントを超える状況だが、一方で、公債は国内で消化されている限り、国全体として見れば国民の負担にはならないとする議論がある。しかし、世代交代を考えた場合、やはり公債は国民にとって負担になる可能性があると、法政大学経済学部教授の小黒一正氏は指摘する。(全10話中第5話)
時間:11分50秒
収録日:2017年9月4日
追加日:2017年10月5日
カテゴリー:
≪全文≫

●「国全体として見れば公債に負担はない」は本当か


 今回は公債の負担について説明します。現在、日本政府の借金はGDP比で200パーセントを超えています。これは、1945年、終戦前の債務残高GDP比をしのぐ水準です。

 他方、メディアや書物の中では、次のような議論もなされています。すなわち、公債は国の借金だが、国内で消化されている限り、同時に国民の資産であるため、国全体として見れば公債に負担はない、というものです。金融機関が国債を買っているのは事実です。そこで、こうした議論を整理してみたいと思います。


●政府が国債を発行すると、家計から家計へとお金が流れる


 図を見て下さい。結論からいえば、財政赤字は世代の交代がある場合には、最終的にはやはり負担になる可能性があります。図の左側に「公債発行時」というグラフがあります。ここでは、政府と家計が2つ(家計I・家計II)しか存在しないモデルで考えましょう。もちろん、現実の経済にはもっとたくさんの家計があり、家計以外にも企業がありますが、経済学では本質を浮き彫りにするために、このような単純化されたモデルで考える作業を行います。

 まず考えてみたいのは、政府が全く借金のない状態で突然、1億円の減税をすることに決め、家計Iと家計IIはそれぞれ5,000万円ずつ減税を受ける、というケースです。また、家計Iと家計IIでは、家計Iの方が少し豊かで、たくさんの金融資産をもっており、他方、家計IIはあまり豊かではなく、金融資産を持っていないとします。この場合、何が起こるでしょうか。

 政府はまず、国債を発行して現金を調達する必要があります。家計Iがその国債を引き受けることになります。そうすれば政府に1億円が入り、この1億円を家計Iと家計IIの2つに分けて、それぞれの減税分に当てることができます。

 非常に面白いことに、このグラフによれば、政府は単なる導管にすぎません。政府には1億円が入ってきますが、それは結果的に家計Iと家計IIに対する5,000万円ずつの減税になるわけですから。官僚や政治家が、途中で懐にお金を入れてしまうというケースを実際に耳にしたことがあるかもしれませんが、その場合は、家計Iと家計IIのどちらかがその官僚や政治家だと思ってください。

 次に、家計の側を見てみましょう。家計Iは1億円の国債を買いますが、家計Iに対しては政府から5,000万円の減税がなされま...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
中国共産党と人権問題(1)中国共産党の思惑と歴史的背景
深刻化する中国の人権問題…中国共産党の思惑と人権の本質
橋爪大三郎
会計検査から見えてくる日本政治の実態(1)コロナ禍の会計検査
アベノマスク、ワクチン調達の決算は?驚きの会計検査結果
田中弥生
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄

人気の講義ランキングTOP10
新撰組と幕末日本の「真実」(2)土方歳三像の真相と江戸の生活事情
土方歳三のイメージはどこまで本当?驚くべき「江戸の常識」
堀口茉純
こどもと学ぶ戦争と平和(1)私たちに必要な想像力と戦争体験
なぜ戦争が起こるのだろう…大切なのは想像力と生の声
小原雅博
これから必要な人材と人材教育とは?(1)人手の供給不足とマクロ経済への影響
ごく一部の人手不足が「致命的」になる…Oリング・セオリー
柳川範之
「Fukushima50」の真実…その素顔と誇り(1)なぜ日本人は突入できたのか?
福島第一原発事故…日本の危機と闘った吉田昌郎と現場の人々
門田隆将
AI時代と人間の再定義(1)AIは思考するのか
AIでは「思考の三位一体」が成立しない…考えるとは?
中島隆博
印象派の解体と最後の印象派展(1)セザンヌと印象派
印象派の画家に大きな影響を与えたセザンヌの構築的筆触
安井裕雄
ドンロー・ドクトリンの台頭(3)脱地政学論と日本への影響
ドンロー・ドクトリンの正体は脱地政学論…日本の進む道は
東秀敏
インフレの行方…歴史から将来を予測する(1)インフレの具体像を探る
270年の物価の歴史に学べ…急激な物価上昇期の特徴と教訓
養田功一郎
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
西洋哲学史の10人~哲学入門(3)アリストテレス 現実の諸要因
アリストテレス:理想だけでは空回りする…プラトンとの違い
貫成人