日本の財政の未来
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
プライマリーバランスの黒字化には4%の消費税増税が必要
第2話へ進む
財政の問題は社会保障の問題である
日本の財政の未来(1)社会保障費の増大
小黒一正(法政大学経済学部教授)
法政大学経済学部教授の小黒一正氏が、日本の財政問題を考える際に欠かせない、社会保障費の現状について解説する。社会保障給付費は、過去10年間で平均して毎年2.6兆円のペースで増加している。今後もこのペースは衰えず、2025年には医療介護費だけで見ても75兆円に達すると予測されている。(全10話中第1話)
時間:10分41秒
収録日:2017年8月1日
追加日:2017年9月12日
カテゴリー:
≪全文≫

●日本全体の社会保障費は30兆円を超えている


 法政大学経済学部教授の小黒一正です。今回は、社会保障の予算が毎年どれぐらい伸びているのかということについて、簡単に説明します。

 まず、平成29年度の国の一般会計の歳出・歳入のグラフを見てください。当初予算が97兆円になっています。このうち、歳出で最大の支出項目が社会保障で、約32兆円です。2番目に大きな支出項目は国債費で、約23兆円です。さらに、地方交付税が15兆円あり、公共事業や文教科学振興費、防衛費などで、残りの歳出の4分の1を占めています。これが、平成29年度の一般会計の当初予算の姿です。

 毎年12月に予算編成が終われば、「社会保障費が過去最大」といって、約30兆円の社会保障費がクローズアップされます。しかし実は、日本全体で見れば、社会保障費は30兆円どころではありません。例えば年金は、1年間でもう既に、50兆円を超える給付がなされています。医療費はおよそ40兆円、介護費も10兆円あります。国と地方を合わせた日本全体の社会保障費ですが、2013年度の予算ベースでは、110兆円にも上ります。

 それでは、歳出項目の30兆円とは何を意味するのでしょうか。社会保障費の財源を見てみましょう。保険料の収入は、大体60兆円あります。つまり、支出の110兆円と収入の60兆円に、50兆円の差があることになります。この差を埋めるために、年金の積立金の一部も、社会保障費の財源に充てられています。さらに残りの部分は、国と地方がお金を出して埋め合わせています。このうち、国の負担部分が、先ほどの歳出項目で見た、約30兆円という額になるわけです。つまり、日本全体の社会保障費は110兆円あり、国の一般会計で予算として計上されるのは、その一部、国の負担分としての30兆円だということです。


●社会保障給付費は右肩上がりに伸びている


 問題は、社会保障費がどれぐらいのスピードで伸びているか、ということです。この図の赤色の棒グラフが、社会保険料収入を表しています。それを見れば、およそ平成9年ぐらいから、横ばいになっていることが分かります。他方、青い折れ線グラフは、専門用語で「社会保障給付費」と呼ばれる、国と地方を合わせた社会保障費を表しています。これは、ものすごい勢いで右肩上がりに伸びている、という状況です。

 したがって、こうした社会保障給付費と社会保険料収入の間のギャップ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か
地政学をわかりやすく解説…地政学の「3つの柱」とは?
小原雅博
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
小原雅博
アメリカの理念と本質(1)西洋文明の行き着いた先と三つの建国
アメリカの理念と本質とは?…まず「三つの建国」から原点に迫る
中西輝政

人気の講義ランキングTOP10
「講義ページ」と「便利機能」の使い方(1)講義ページの便利な使い方
「講義ページ」の便利な使い方…講義テキストの出し方、各話への飛び方、再生速度
テンミニッツ・アカデミー編集部
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(3)オデュッセウスの冒険譚
知恵の英雄・オデュッセウスの冒険譚…過酷な苦難と試練、誘惑と罠に満ちた10年の全貌
松村一男
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
もののあはれと日本の道徳・倫理(1)もののあはれへの共感と倫理
本居宣長が考えた「もののあはれ」と倫理の基礎
板東洋介
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
日本の財政の真実を検証する(1)膨らむ借金の知られざる実態
日本の財政の「真実」をデータで徹底検証…国際機関の分析は?
宮本弘曉
編集部ラジオ2026(30)AI時代の企業と道徳
【10minで考える】CPO(最高哲学責任者)…AI時代に必須の哲学とは
テンミニッツ・アカデミー編集部