五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
音波だけでなく視覚的に細かく調査して潜水艦を特定
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(3)ROVによる特定
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
海底にある潜水艦を発見するにはどのような調査方法が用いられるのだろうか。浦環氏は、マルチビームソナー、サイドスキャンソナー、ROVの3つの調査方法を組み合わせて特定に至った。五島の沖合でROV調査を行う際の問題とは、何だったのだろうか。(全8話中第3話)
時間:11分34秒
収録日:2018年3月23日
追加日:2019年2月9日
≪全文≫

●日本テレビのマルチソナービーム調査から始まった


 目標とするのは、この伊58と呂50です。これは文献から取ってきたものですが、伊58のデッキ上には回天が乗っています。実際の戦争には回天を積んで臨んでいますし、回天を撃っています。しかし、海没処分された時には回天はなく、デッキ上にこのようなものはなかったわけです。そして、呂50はこれです。

 これらがどのように沈んでいるかは、先ほど申しました日本テレビさんが2015年に、マルチビームソナーで海底を調べました。

 当時のデータとしては24艦あります。海底はほとんど真っ平らで深さが200メートル、そこに潜水艦が沈んでいます。例えば、こちらの14番は非常に大きく、長さ120メートルの伊402です。これは大体想像がつきますね。

 長い艦はどれであるか、小さい艦はどれであるか、いろいろ想像はできますが、大きな艦でも爆撃して、あるいは火薬を破裂させたり砲撃して沈没させられているので、ばらばらになっている可能性があり、どれがどれかをこれだけで特定することは、とても難しいのです。


●サイドスキャンによって新たな潜水艦の存在が明らかに


 この日本テレビさんの調査が非常に役に立ち、あとはわれわれがそれぞれの艦を調べればいいという見通しが立ちました。しかしながら、5月にこのデータを基にして、もう少し艦をはっきりさせるために、サイドスキャンソナーという調査を行いました。その結果、23番は実はノイズで、ここには何も存在しないことが分かりました。それからもう1つ、25番がここにありました。当初のデータにはない潜水艦があり、真っ直ぐに立っていて、後で伊47であることが分かりました。それで24艦がここにそろっていることが分ったのです。

 次に、音響調査についてお話ししたいと思います。1つは、最初に日本テレビさんが行ったマルチビームソナー調査です。これは、このように細い音波を出して、ずっと前へ進んでいってスキャンをし、海底のでこぼこを調べます。そうすると、潜水艦があれば、そこがぼこっと出っ張っているように見えます。これがマルチビームの原理です。


●サイドスキャンソナー調査とは何か



スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
断熱から考える一年中快適で健康な住環境(1)日本の住宅の実態と問題点
なぜ日本は夏暑く、冬寒いのか…断熱から考える住宅の問題
前真之
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
都市木造の可能性~木造ビルへの挑戦(1)木造建築の歴史と現在
伝統木造建築はいま都市で必要な建物ではない
腰原幹雄
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環

人気の講義ランキングTOP10
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
熟睡できる環境・習慣とは(2)酒、コーヒー、ブルーライトは悪者か
ブルーライトは悪者か?近年分かった「第3の眼」との関係
西野精治
内側から見たアメリカと日本(7)ジャパン・アズ・ナンバーワンの弊害
ジャパン・アズ・ナンバーワンで満足!?学ばない日本の弊害
島田晴雄
歴史の探り方、活かし方(6)江戸時代の藩校レベルを分析
史料読解法…江戸時代の「全国の藩校ランキング」を探る
中村彰彦
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
小原雅博
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
片山杜秀
編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる
歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方
テンミニッツ・アカデミー編集部