戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
博物館や回想録を通じて、日本も戦争当時の教訓を思い出す必要がある
戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索(6)アメリカの潜水艦
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
日本の船が戦った当時のアメリカの潜水艦に目を移すと、多くの船が沈没していることがわかる。当時の米海軍の名将・ニミッツの生家近くには、太平洋戦争を記念する博物館がある。ニミッツの回想録は、モノを作ることは得意だが、その効果的な運用が不得手な日本社会や、アメリカの第一次世界大戦から第二次大戦への心変わりなどを指摘し、示唆的である。日本でもこうした記念博物館や回想録を通じて、当時の教訓を思い出す必要があると浦環氏は力説する。(全8話中第6話)
時間:11分28秒
収録日:2020年2月28日
追加日:2021年6月12日
≪全文≫

●アメリカの太平洋戦争記念博物館と潜水艦たち


 アメリカの潜水艦についてお話ししたいと思います。こちらはGrenadierです。



 アメリカの潜水艦は、太平洋戦争中に52艦沈んでいます。これはテキサスの太平洋戦争博物館にある碑文です。「Deeds of the Submarine Service and Roll Call of Submarines on “Eternal Patrol”」、つまり「永遠の任務に就いている潜水艦たち」とニミッツが書いているのです。「この潜水艦は哨戒に出ていって、そこからまだ戻ってこない」という碑文なのです。先ほど挙げた4隻、つまりGrenadier、Grayback、Seawolf、そしてSnookもここに載っています。彼らは任務から帰ってきていないのですね。

 アメリカ南部テキサス州の州都であるオースティンから北西に位置している、Fredericksburgという場所に「National Museum of the Pacific War」という博物館があります。Fredericksburgはアメリカ海軍の提督であるニミッツの生まれ故郷で、彼の生家もあります。

 ニミッツは日本の海軍と戦った名将ですね。彼のすばらしい知恵によって、日本軍は敗退していくわけです。

 実はニミッツは大の日本ファンで、東郷平八郎を尊敬していました。これは東郷平八郎のメモリアルです。

 「この庭園はニミッツ元帥の東郷元帥に対する敬意を記念し両提督が等しく望んだ日米親善と世界平和を祈念して日本の国民から米国の国民に贈られたものである 船田 中」とあります。1976年にこれが建てられています。

 そこには太平洋戦争の歴史が書かれています。日本は敗戦国なので、非常に残念なことに、日本の太平洋戦争国立博物館はありません。ですから、われわれが国として太平洋戦争をどのように考えるか、あるいは国がどのように提示するのかということを、われわれは確認することができないのです。非常に残念です。

 この博物館では、アヘン戦争から太平洋戦争の起源を説き起こしています。アヘン戦争を起源に、列強ヨーロッパ・アメリカの侵略、さらに日本の参入、その後のさまざまな諸問題についてずっと書かれていて、戦争の経過が詳細に説明されています。非常に重要で...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ
地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か
沖野郷子
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
航空機事故ゼロをめざして(1)フラッター現象とは何か
零戦の開発段階で起きたフラッター現象…事故の教訓とは
鈴木真二

人気の講義ランキングTOP10
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために
「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの
田口佳史
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
大谷翔平の育て方・育ち方(1)花巻東高校までの歩み
大谷翔平の育ち方…「自分を高めてゆく考え方」の秘密とは
桑原晃弥
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏