若狭湾海中調査と潜水艦曼荼羅
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若狭湾海中調査と潜水艦曼荼羅(5)地道な調査と感動共有
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
若狭湾での調査は一筋縄ではいかなかった。錯綜する情報の中から沈没箇所を類推し、最新鋭の機器を準備して、ようやく潜水艦を発見することができる。さまざまな調査の結果、潜水艦を発見し、生放送を通じてその瞬間を視聴者と分かち合った際の感動を、浦環氏が伝える。(全10話中第5話)
時間:10分43秒
収録日:2019年3月14日
追加日:2020年3月13日
≪全文≫

●米軍情報と他の情報の食い違い


 まず米軍情報を見てみましょう。この米軍情報は伊58を調べる際にも用いていました。そこにリストがあって、OFF MAIZURUで3艦沈めましたと書かれています。伊121、呂68、呂500です。ここに緯度と経度が書かれています。

 それが先ほどの地図のこの位置です。伊58の経験だと、米軍の位置データはわりと正確でした。

 ですので、これも正確ではないかと最初は思っていました。しかし、深田サルベージがここに2艦あると言ったので、食い違いが生じています。

 米軍情報によると、同じ場所に3艦沈めています。また緯度と経度を見ると、非常にきりの良い数字になっているので、これはかなり怪しいと思いました。それでも、よりどころになる情報はこれしかありません。さらに、米軍情報では1946年5月7日に処分したと書いてあります。しかし、日本の『潜水艦史』によれば、1946年4月30日に処分したと書いてあり、食い違っています。以上のことから、この情報はかなり怪しいと考えられます。


●マルチビームソナーを用いた調査方法


 以上のことに基づいて、調査を行います。前回の伊58の際には、日本テレビとウィンディーネットワークが調べた海底の地形図があって、潜水艦の位置はもう分かっていたので、潜水艦の種類を確定するのが目的でした。

 しかし、今回の場合は、2艦は深田サルベージの情報がありますが、もう1艦の情報がないので、探さなくてはならない。どこをどう探すか。もちろんこれかもしれませんが。これは場所が分かっているので、探す必要はないです。ROVを潜らせて、前回と同じように、これが何であるかを見に行けば良いのです。

 どうやって探すかというと、このマルチビームソナーを使って、つまり伊58でウィンディーネットワークや日本テレビがやったような、海底のマップをつくって潜水艦を探すことがまず重要です。その道具はこれです。ウィンディーネットワークが持っている道具ですが、SONIC 2024という道具を使えば、掃除機で掃除をするように、海底の細かい地形図を作ることができます。もし海底に潜水艦があれば、この道具で発見することができます。


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