若狭湾海中調査と潜水艦曼荼羅
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
福井水産試験場で発見されたのは潜水艦ではなく戦時標準船
若狭湾海中調査と潜水艦曼荼羅(10)残された謎の船の正体
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
若狭湾調査の過程で見つかった福井水産試験場周辺の謎の船は一体何だったのか。データを譲り受けた浦環氏のチームが解析した結果、それは潜水艦ではなく戦時中に船不足を補うためにつくられた戦時標準船であると推定された。潜水艦とはまた異なる運命を辿った戦時標準船の発見は、新たな沈没船調査の課題を提示する。(全10話中第10話)
時間:6分30秒
収録日:2019年3月14日
追加日:2020年4月16日
≪全文≫

●福井水産試験場で発見された船をめぐるSNS上の議論


 最後に、福井水産試験場で発見されたものが、一体何だったのかということについて説明します。

 当初、われわれは、この福井水試が見つけたシンヤマという沈没船も潜水艦ではないかと思っていました。しかし、それは潜水艦ではなく、貨物船であるという確信を得ました。これは一体何なのかという疑問に対する考察の過程を説明します。

 われわれは、TwitterなどのSNSで定期的に発信しています。福井水試がここに船が沈没していると発表した際に、SNSで一体これは何なのかという議論が起こっていました。実際に議論をしている際には、私はまだそのことを知らなかったので、後からそれを確認しました。確認した情報によると、この辺に沈没していると言われている船に関するさまざまなデータがあるので、それに基づいてこの沈没船はあの船ではないか、この船ではないかという議論がSNS上で起こっていたのです。


●福井水産試験場で見つかった船は潜水艦ではなく戦時標準船だった


 その際に福井水試が発表したデータは、あまりレゾリューションが良くありませんでした。良くなかった理由は、生データを処理したソフトウェアの能力の限界かと思います。われわれは専門家なので、福井水試から生データをいただき、それをベストなデータ処理技術を使って解析し直しました。その結果がこちらの画像です。このデータは福井水試からいただいたデータになります。

 これを見ると、これは貨物船であることが分かります。真ん中にポコッとこのように貨物倉が開いています。ここから貨物を積んでいたのでしょう。それから、ここは一段高くなっていますね。こちらも一段高くなっています。真ん中のところに、スポッと何か立っていますね。また、ここにはこのようなものが見えています。

 福井水試が公表した画像を見ると、これがまるでマスト、あるいは潜望鏡のように写っていたので、潜水艦かもしれないと思いました。しかし、これはそうではなく、漁網が絡んでいるのです。それから、こちらにもロープが絡んでいますが、これも恐らく漁具でしょう。

 ここが漁礁になっているので、漁師たちはこの辺りで漁を行います。その際に、ここに網が引っ掛かると困るので、非常に慎重にこれをよけて網を...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
進化生物学から見た「宗教の起源」(1)宗教の起源とトランス状態
私たちにはなぜ宗教が必要だったのか…脳の働きから考える
長谷川眞理子
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之

人気の講義ランキングTOP10
歌舞伎はスゴイ(1)市川團十郎の何がスゴイか(前編)
市川團十郎の歴史…圧倒的才能の初代から六代目までの奮闘
堀口茉純
「進化」への誤解…本当は何か?(6)木村資生の中立説
欧州では不人気…木村資生の中立説とダーウィンとの違い
長谷川眞理子
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
トランプ政権と過激化した米国…MAGA内戦、DSAの台頭
東秀敏
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦略的資本主義と日本~アメリカの復活に学ぶ5つの提言
戦略的資本主義とは?日本再生へアメリカに学ぶ5つの提言
片瀬裕文
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道
『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり
堀口茉純
禅とは何か~禅と仏教の心(4)与格への変容と関係論的世界観
「私が世界で、世界が私」…禅で体感する「縁起」の感覚
藤田一照