五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
捨てられた潜水艦は国有財産だが海は管理されていない
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(8)管理されない海
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
海は誰のものなのだろうか。浦環氏はこの疑問に対して、誰のものでもない、と答える。誰のものでもなく、管理もされないことから多くの問題が生じる。浦氏が今回の調査の中で出くわした、不思議だが重要なエピソードを語る。(全8話中第8話)
時間:6分22秒
収録日:2018年3月23日
追加日:2019年3月16日
≪全文≫

●連合軍が捨てた軍艦が国有財産になった


 もう1つ、これをやって分かった重要なことは、海底に沈んでいる潜水艦は一体、誰のものかということです。現在の公式の見解では、この潜水艦は日本国の財産、つまり、財務省の国有財産であるとされています。しかし考えてみると、そうなってはいるのですが、具体的にはアメリカというか、連合国、連合軍が接収して、海に捨てたのです。

 海に捨てたとはどういうことかというと、捨てたのならば、誰が持ち主なのかといいたいですよね。そうしたら、連合軍はどうしたでしょうか。捨てた後に返したと言うのです。捨てて返した、こういうことがあるのでしょうか。不思議です。海に捨てて、接収した。接収したというのは、戦後、軍のものは全て国有財産になるのです。国有財産になって連合軍が接収したのですが、それは国有財産でしょう。しかしながら、それは捨てたのです。捨てたというのは何でしょうか。私は不思議だと思いました。捨てたらもう誰のものでもないから、日本国のものではないのではと思ったのですが、アメリカ軍が捨てたものを返したから国有財産ですと、このようになったのです。


●海は誰も管理していない


 われわれは、実はこれを調査するのに、国有財産の調査依頼を出します。なぜならば、国の財産を勝手に調査してはいけないので、調査したいからよろしくご許可願いますというのを出すのですが、さて、そうすると次は、これをどこに出すのでしょうか。財務省に出します。しかし、海に沈んでいるところは、五島の沖合です。五島の沖合は、一体誰が管理しているのでしょうか。

 これは重要なことです。日本の海の管理は誰もしていません。つまり、今、こう私が立っているのは、東京都のある市ですが、ここはわが国の東京都の何とか市というところで、市と都がはっきりしています。その人たちがここを管理しているわけです。

 しかし、海の上はどうでしょうか。海の上は、例えば五島の沖合は、五島市が管理しているのでしょうか。そういうことはありません。管理は全くされていないし、どこの役所が管理しているかも分かりません。だから、五島市の沖合は長崎県のものですかと言われたら、長崎県のものではないのです。長崎県が管理しているわけではないのです。

 ですから、例えば東京湾の埋め立てをしたときに、それは一体どの区のものだろうかという...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
星はなぜ自ら輝くのか…宇宙と銀河の「現在の姿」を概観する
岡村定矩
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
科学的思考はなぜ大切か(1)「状態図」という概念
科学的思考とは「なぜ?」を追究していくこと
岡部徹
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
『「甘え」の構造』と現代日本(1)「甘え」のインパクト
「甘え」は現代においてダメなものなのか…名著『「甘え」の構造』への2種類の誤解とは?
與那覇潤
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
中国春秋戦国時代と始皇帝(序)映画『キングダム』の中国史監修
中国古代史の真実と『キングダム』…史実がわかれば物語はもっと面白い
鶴間和幸
近現代史に学ぶ、日本の成功・失敗の本質(6)東條内閣で行われた行政改革
悲惨な末路につながった東條英機内閣での兼職と省庁再編
片山杜秀
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(6)認知症予防と健康寿命の延伸に向けて
フレイル・サイクルは回り出したら抜けられない!?負のスパイラルへの対処法
小川純人
現代人に必要な「教養」とは?(1)そもそも教養とは何か
教養とは…本質を捉える知、他者を感じる力、先頭に立つ勇気
小宮山宏
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(2)「出挙」と国司の仕事
地元の有力者の力を借りるために大伴家持が詠んだ歌とは?…今も奈良時代も変わらない中央官僚と地元有力者の関係
上野誠
「満洲」から考える日本とアジア(5)ロシアのシベリア征服と日清日露戦争
「満洲利権」はなぜ日本の手に渡ったか?…ロシアの極東征服、そして朝鮮の混乱が日本を日清・日露戦争へ
宮脇淳子