五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査
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海中調査は非常にお金がかかる
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(4)調査費用の調達
科学と技術
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
海中調査を実施する上での大きな問題は、調査費用をいかに工面するかである。浦環氏は3,000万円もの高額な費用をどう調達したのか。また調査をリアルタイムで発信することも重要だが、いかにしてそれを実現したのか。浦氏の解説を聞こう。(全8話中第4話)
時間:10分29秒
収録日:2018年3月23日
追加日:2019年2月16日
≪全文≫

●海中調査には非常にお金がかかる


 さて、それでは続いて、ROV調査の詳細についてご紹介しましょう。これによって、皆さま方は海中調査がどんなものであるかをご理解いただけるかと思います。海中調査は非常にお金がかかります。だから、放ったらかしになっているのです。近ごろ、アメリカのポール・アレンがさまざまな新しい装置を使って、道具立てをして、第2次世界大戦の沈没船を発見しています。つい最近も新たな発見をしました。彼らはなぜそれができるのか。大金持ちだからです。大金持ちだから調査ができるのですが、では貧乏人はどうか。調査ができません。私も貧乏人ですから、調査をしたいといっても、お金がないからできないのです。

 第2次世界大戦の沈没船の調査は、国では行いません。なぜかというと、いろいろな理由がありますが、そうなると民間で行うことになります。民間が行うと一体どのくらいお金がかかるでしょうか。これはROVを展開するための支援船で、早潮丸という日本サルヴェージの作業船ですが、ここにROVを乗せて出掛けていくのです。

 ROVはこれで、このぐらいのクラスになると、ワーククラスといって、マニピュレーターも付いて、いろいろ重作業ができるROVです。これをくっつけて作業をすると、大体1日500万円です。われわれは4日間で調査をしようとしていたのですが、4日間の調査と往復に1日ずつかかりますから、計6日です。そうすると、3,000万円用意しないと調査ができません。大体そのくらいかかるということは、最初から分かっています。

 これはとても大変です。3,000万円も持っているわけがないですから。「自分で好きでやるんだから、田畑売ってやれ」というのも大変です。そうするとお金を集めなくてはいけません。お金は一応、3系統の寄付を集めることにしました。1つは日本財団の「海と日本プロジェクト」に採用してもらい、その調査費用として、おおよそ1,500万円出してもらいました。

 それから、クラウドファンディングでお金を集めました。「これをやるから、お金頂戴ね」ということで、おおよそ500万円を集めました。それから、私が「お願いします!」「寄付!寄付!」と言って、あちこちに出掛けていって、クラウドファンディングとは別途に寄付を頂いています。それで400万円ぐらい集め...

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