●大型艦の特定は細かい画像を調べて決め手にした
もう1つ、この大型艦に関しては、この伊156、157、159、158、162に関しても、決め手があります。なかなか決め手がなかったところを、最終的には細かい画像を調べて全部決めました。
これは伊158ですが、この後ろの部分がすぽんと消えています。
それから、これが伊156です。
これが伊162で、半分ぐらいなくなっています。これは網が立ち上がっているので、ブリッジではありません。網がくっついています。
この17番と21番は当初、伊157か159のどちらがどちらか分かりませんでしたが、21番が伊159で、17番が伊157だと思います。
●小型艦の特定は、2つの艦の組み合わせを手掛かりに
もう1つ、次に難しいのは、この小型艦です。これは伊158と波103です。これはここの形を見ると、100番台の伊であることは明白で、この辺りの形状を見ると、158だと分かります。これは大きな日章旗がここに付いていますが、3つは同型艦で、波101番台です。この長さを測れば、それはそれだと一目瞭然です。
手前の艦は自力航行していますが、これは恐らく柵でつなげられて、引っ張られて走っています。これを見ると、この後どのようなことが起こるかというと、大型艦を沈没させるときに、小型艦はくっついたまま一緒に沈没させているのです。
となると、海底でも、これとこれとがくっついています。くっついているのはどういうことかというと、一緒に沈められたということです。そして、どの艦がどのように一緒に沈められたかというのは、実はデータとして残っています。
●連合軍の報告書の矛盾も手掛かりになる
これはアメリカの連合軍の軍艦の報告書です。このオペレーションはローズエンドという作戦ですが、13時20分に伊157を沈めました。13時25分に伊367、それから、その次に波109と、ずっと時間を追って沈めたことが書かれています。最後に伊402と波203を沈めましたと書いています。
しかし、同時に、このような絵が出ています。これは艦がこのように並んでいて現場に連れてきました、という編成図です。伊36が先頭で、そこの横に横抱きにして、先ほどと同じように波106、それから、伊156と波203、伊158と波103。このように並んでいます。こちら側はこのように並んでいるということが書かれています。
よく見ると、上の文章と下の絵は若干矛盾します。例えば、上の文章では、伊159と波103をほぼ同時にやっつけたと書いてあります。というのも、くっついていたからです。しかし、絵の方の伊159はこれですが、くっついていたのは波105と書いてあります。ですから、波103が合っているのか、波105が合っているのかは分かりません。
しかし、よく考えてみると、上の文章はタイプで打たれています。ということは、艦長がメモをして、タイピストに渡してタイプをして、サインをしたと考えると、3と5を打ち間違えている、つまり、艦長が5と書いたのにそれを3と読んだと、人の間違いを邪推して推定するのです。この中は随分、間違っているように思います。
先ほどの写真(伊158と波103と考えられる艦影)では、これが伊158と波103ですが、この報告書の絵を見ると、伊158と波103がこちらに進んでいます。その後ろに波107と波109が見えます。
つまり、写真の方のこれが波107と波109です。ここに数が書いてありますが、よく見えません。心眼をもってすると、そうだと分かります。それは、並んでいるものの近くにこのようなものがあるということです。
このように、このデータを基にすると、小型艦が区別できるのです。なぜならば、小型艦はこうくっついています。波107、109、111、108は単独にいます。ですから、どこにくっついているかは分からないのですが、他の小型艦はどれかにくっついています。そうすると、大型艦が分かれば、それにくっついて沈没しているものは、その小型艦であるという推定が成り立ちます。
一覧表を作ればこうですが、この波201型は、これとこうくっついているから、これが特定されれば、それにくっついている艦はこれだと言えます。それから、波101型もこの3艦については、これにくっついているからこれ、この4艦については分からない、となるのです。
それをマルチビームエコーソナーで見てみると、これがくっついているものです。これとこれも、くっついています。これは、ちょっ...