戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
沈没艦船は墓場なのか…水葬された遺体調査はどうなる?
戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索(7)海中は墓場か
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
浦環氏の今回のプロジェクトは、さまざまな民間ボランティアの協力を受けて進められた。その中に国からの援助は入っていないが、当時の遺体をめぐって国家には調査を進める責任があると浦氏は議論する。昔は保存容器がなく、船上で亡くなった人は水葬されることが多かったため、海は墓場であるとして、遺体の調査に乗り出さない傾向があるという。しかし、現在の技術の進歩で、海中の探索も実現可能になっている。(全8話中第7話)
時間:6分26秒
収録日:2020年2月28日
追加日:2021年6月19日
≪全文≫

●海上保安庁をはじめとしてさまざまな民間ボランティアの協力を受けている


 この大洋丸の発見に関する重要なポイントは、海上保安庁から詳しいデータを教えてもらったことです。海上保安庁は他のデータも持っているはずなので、それを公開してくれれば、発見しやすくなるかと思います。しかし、おそらく海上保安庁は忙しいので、依頼してもなかなかそういう作業はやってくれません。われわれの目的のためには、もともとのデータを調べ直す必要があるのです。すでに地図となっているものを確認しても、意味がありません。ぜひ、そうした事業に着手していただきたいと思います。

 われわれの大洋丸プロジェクトは、このような民間のボランティア、それからさまざまな会社のサポートや海上保安庁からのデータの提供などを受けて進められています。国も関係していません。実はここが重要なのですが、日本郵船の名前がありません。日本郵船資料博物館には一応データ提供をお願いしましたが、日本郵船からのサポートは特段受けていません。大洋丸のオーナーだったのですが、沈没した時は日本郵船の所属ではなかったのです。


●昔は船の上で人が亡くなった場合には基本的に水葬にしていた


 沈没した大洋丸には、遺体が残っています。多くの遺体が流れていきましたが、残っている遺体もあるはずです。近くの戦艦大和にも、遺体が残っているはずです。そうした遺体は放置されています。なぜ放置されているか考えてみましょう。

 以前進めていた伊58、および呂500のプロジェクトで発見された27艦の潜水艦には、遺体はありません。それは、戦争中は破壊されず、戦後にそれらの船をアメリカ海軍がそのまま沈めたからです。しかし、大洋丸は違います。大洋丸の場合は、遺体が残っているのです。

 このような遺体の扱いはどうなっているのでしょうか。通常、「沈没艦船は墓場である」というのが、厚生労働省の考え方です。この考え方は、世界的にも概ね認められているようです。

 鹿児島の喜界島沖で、戦艦ミズーリに特攻していた零戦に乗っていた石野節雄氏の遺体を水葬しています。つまり、零戦を引き上げたか、零戦が戦艦の上に突っ込んだかのどちらかです。日本国旗に包んで海に水葬していました。これは通常の...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
現在の宇宙の姿(1)星はなぜ自ら輝くのか
星はなぜ自ら輝くのか…宇宙と銀河の「現在の姿」を概観する
岡村定矩
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
IoTとは何か~モノのインターネットの本質(1)TRONは究極の「縁の下の力持ち」
坂村教授が開発したTRON―知られざる世界標準
坂村健
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹

人気の講義ランキングTOP10
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
数学と音楽の不思議な関係(2)リズムと数の不思議と変拍子
童歌「あんたがたどこさ」は何拍子?変拍子の不思議な魅力
中島さち子
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨