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水中映像と写真や図面を照合し、沈没船を大洋丸と特定!

戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索(4)大洋丸の発見

浦環
東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役
情報・テキスト
浦環氏のチームの大洋丸探索は、船の図面や残された写真から得られたものと酷似した構造の沈没船を発見し、大洋丸であることを特定していった。実は、今回確認で用いられた図面は、日本ではなくドイツに所蔵されていたものであった。こうした歴史的建造物に関する情報が適切に保管されていないことは極めて遺憾だと浦氏は吐露する。(全8話中第4話)
時間:09:32
収録日:2020/02/28
追加日:2021/04/17
≪全文≫

●資料館のデータからどの船が近海に沈んでいる可能性が高いか推測する


 この付近には沈んでいる船について見てみましょう。これは先ほどお話しした「戦没した船と海員の資料館」のウェブページに掲載されているデータです。これによると、緯度経度が描かれています。この星印は、海上保安庁からいただいたデータ上の、何かが沈没している地点を指しています。

 この資料館はさまざまなデータを分析して、沈んでいるものの種類や位置を示した地図を描いています。それぞれがどこまで正しいかはよくわかりません。なぜなら、情報が乏しいために推定しているデータ、たとえばアメリカが沈没させた船に関して、アメリカ側のデータからこの位置で沈没したのではないかというデータもあるからです。ともかく、このような地図が作成されているわけです。

 これに基づくと、字が間違っていますが大洋丸、りま丸、富生丸、錫蘭丸が、海上保安庁のデータから存在がわかった沈没船ではないかと思ったわけです。われわれは大洋丸の名前は知っていましたが、りま丸や富生丸、錫蘭丸に関しては、今までまったく聞いたことがありませんでした。そのため、この機会にかなり勉強したのですが、またあとでそのことについては詳しく説明します。


●実際に発見された沈没船は大洋丸であるという証拠が得られた


 最初はとにかく大洋丸だと思われる地点に行って、その周りをROVで調査しました。実際に大洋丸そのものでした。

 大洋丸は前のほうに魚雷を受けた結果、そこに積んでいたカーバイドが燃えて前のほうが潰れ、沈没したといわれています。実際、そのとおりの状況でした。

 潜ってみると、この黄色い線よりも前の部分は破壊されていて、形状をとどめていません。対して、後ろの部分はほぼ完全に原形をとどめていて、右舷を上にして沈没していますね。つまり、左舷を下にして沈没していることがわかりました。

 この後ろの部分の画像をお見せします。これが船尾側面ですね。ここがAデッキ、ここがプロムナードデッキ、A甲板、B甲板の写真です。

 こちらを見てください。まずB甲板の部分、A甲板の部分、それからここに1本、2本、3本柱が立っていて、4本目のところがこのB甲板に連なっています。開口部になっています。

 こちらの画像にはB甲板とA甲板が写っています。今紹介した部分です。

 それから、こちらの画像は前の画像の先端部分です。ここにマストが立っていて、ここにもデリックポストといって、積荷を上げ下げするポールが立っています。これを上から見たのがこちらの画像です。ここにウインチが見えていて、ボラードという係船柱が見えています。これも同じ部分のボラードですね。こちら側がアフト、つまり後ろの部分です。

 そこの部分がこちらの画像ですね。これがウインチで、ワイヤーが巻いてあるのが確認できます。

 こちらの図面で見ると、ここがウインチ、それから係船柱ですね。先ほどの画像はこれを写しています。係船柱があって、これがウインチです。

 船は一般にこのような構成をしていますが、これらの画像は大洋丸ではないという証拠ではなく、反対に大洋丸であるに違いないという証拠になっているのです。

 後ろのほうの部分を写したものがこの画像です。このあたりはきれいに残っています。この上のストラクチャーの部分は、破壊されているようで確認できません。

 それから客室前部です。この部分は比較的きちんと調べました。


 
 1枚の写真はこのようになっています。この辺りに窓が見えますね。四角い窓が見えます。

 これだけだとわかりにくいので、これを繋ぎ合わせてモザイク状の全体図を作りました。ここに窓が見えますね。言い忘れていましたが、深さは130メートルです。窓が割れていると向こう側が黒く見えます。この辺りに窓がありますが、割れていないとガラスの上に泥や生物が付着しているので、白っぽく見えますが形は確認できます。

 次に、窓の形を見てみましょう。ここに四角い窓がこのように並んでいます。それから、よく見るとここに手すりのようなものが見えていますね。これがこの手すりです。上のここにも手すりのようなものが見えています。それから円い窓と四角い窓がこのように並んでいます。

 これをよく見てください。○○□□□○で...
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