戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索
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沈没船と亡くなった人々の調査に国は乗り出すべきだ
戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索(8)海中の遺骨の扱い
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
今回の大洋丸の発見から浮かび上がってくる問題もある。大洋丸とほぼ同じ地点で沈没させられた、りま丸の乗組員の遺体の多くは、九州の島に流れ着き現地の人々によって埋められていた。しかし、最近になってこの島をアメリカ軍の基地にする計画が浮上、その中で遺骨の再発見が進められてきた。偶然陸上に打ち上げられていた遺骨は良いが、海中に沈んだままの遺骨の調査は現在進められていない。浦環氏は、国家として彼らの調査に乗り出し、供養する必要があると力説する。(全8話中第8話)
時間:7分11秒
収録日:2020年2月28日
追加日:2021年6月26日
≪全文≫

●遺骨収集


 ですので、沈没艦船を墓場と呼ぶのはやめよう、と私は今強く主張しています。先日、(シベリア抑留の)遺骨収集で大きなトラブルがありました。日本兵の遺骨だと思っていたのは、ソ連兵のものだったのです。その事実を長く確かめずに、延々作業を続けていました。厚生労働省はこの事実をつかんでいたにもかかわらず、公表しなかったといわれています。この事業のために、何千億円というお金を払っていたのではないかという疑いがあります。この事実は確認しなければなりませんが、可能性は高いと思います。こうした額のお金を陸上の遺骨収集にかけているのであれば、海中の遺骨収集にも同じようなお金をかけても良いではないかと思うのです。

 そうすると、どの程度の遺骨が収集できるでしょうか。そうしたことを考えてプログラムを作る必要があります。とりあえずそうした計画を進めているのかという点が重要です。役人が一番得意なのは「できません」、「前例がありません」、「技術がありません」という返答です。月へも行けるような技術の進歩の時代なのですから、そうしたやりとりは終わりにすべきだと思います。水葬もなくなっているわけですから。

 過去に葬られた人々の扱いが問題です。大洋丸はわれわれが発見しましたが、その時に思ったことは、りま丸に関連する状況です。りま丸の乗組員で亡くなった人はほとんどが軍人です。大洋丸では民間人が800人亡くなっているので、少し意味が異なってきます。

 このりま丸に関しても、2,700人が亡くなっています。馬毛島に多くの遺体が流れていったらしいのです。多くの場合は北のほうへ流れてしまいました。それは潮の加減でしょう。


●偶然にもりま丸の当時の亡くなった乗組員たちの遺骨の再発見が進められている


 馬毛島には当時人が住んでいたので、流れ着いた遺体をとりあえず海岸線に掘って埋めたと記録に残っているらしいのです。ところが、数年前からこの馬毛島が俄然脚光を浴びてきました。

 馬毛島を硫黄島に代わる、アメリカ軍の爆撃訓練基地にしようという案があるのです。それに対して、今は個人がこの島を所有しているので、日本は国としてそれを買い上げて、基地にするという交渉をしています。こちらの記事にある2年前...

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