●遺骨収集
ですので、沈没艦船を墓場と呼ぶのはやめよう、と私は今強く主張しています。先日、(シベリア抑留の)遺骨収集で大きなトラブルがありました。日本兵の遺骨だと思っていたのは、ソ連兵のものだったのです。その事実を長く確かめずに、延々作業を続けていました。厚生労働省はこの事実をつかんでいたにもかかわらず、公表しなかったといわれています。この事業のために、何千億円というお金を払っていたのではないかという疑いがあります。この事実は確認しなければなりませんが、可能性は高いと思います。こうした額のお金を陸上の遺骨収集にかけているのであれば、海中の遺骨収集にも同じようなお金をかけても良いではないかと思うのです。
そうすると、どの程度の遺骨が収集できるでしょうか。そうしたことを考えてプログラムを作る必要があります。とりあえずそうした計画を進めているのかという点が重要です。役人が一番得意なのは「できません」、「前例がありません」、「技術がありません」という返答です。月へも行けるような技術の進歩の時代なのですから、そうしたやりとりは終わりにすべきだと思います。水葬もなくなっているわけですから。
過去に葬られた人々の扱いが問題です。大洋丸はわれわれが発見しましたが、その時に思ったことは、りま丸に関連する状況です。りま丸の乗組員で亡くなった人はほとんどが軍人です。大洋丸では民間人が800人亡くなっているので、少し意味が異なってきます。
このりま丸に関しても、2,700人が亡くなっています。馬毛島に多くの遺体が流れていったらしいのです。多くの場合は北のほうへ流れてしまいました。それは潮の加減でしょう。
●偶然にもりま丸の当時の亡くなった乗組員たちの遺骨の再発見が進められている
馬毛島には当時人が住んでいたので、流れ着いた遺体をとりあえず海岸線に掘って埋めたと記録に残っているらしいのです。ところが、数年前からこの馬毛島が俄然脚光を浴びてきました。
馬毛島を硫黄島に代わる、アメリカ軍の爆撃訓練基地にしようという案があるのです。それに対して、今は個人がこの島を所有しているので、日本は国としてそれを買い上げて、基地にするという交渉をしています。こちらの記事にある2年前の秋の話では、所有者と売買交渉で揉めていました。
その後、日本政府はその島を買い取るという方針を打ち出して、そちらの方向に進んでいます。しかし同時に、馬毛島には軍人たちの遺骨がただ埋められているだけの状態であることを知っています。それでは良くないので、急遽馬毛島の海岸を掘って、遺骨の収集にあたったのです。
今までりま丸は海中に放置されていました。陸上にたどり着いたのであれば、掘れば見つけられるので遺骨の収集に取り組めるということだったのです。それでは、流れ着かなかった人々は、そのような扱いを受けられず不公平だという声もあります。しかし、厚生労働省の見解では、海は墓場なので海中の遺骨の収集には乗り出すことができないというわけなのです。遺族としては、できないといわれれば、諦めざるを得ない状況です。しかし、私がそうした取り組みも可能だといえば、話が違うという声が起こってきます。結局は、かかるお金の規模によります。
●沈没船の調査と亡くなった人々の調査に国は乗り出していかなくてはならない
私としては、今回りま丸を見つけられませんでした。りま丸も魚雷で沈没しています。約7,000トンで、大洋丸と比べるとサイズとしては半分程度の規模です。そして、魚雷を受けているので、かなり粉々に破壊されているかもしれません。すると、先ほど挙げた5つの船は比較的大きく海底から出っ張っている沈没船でしたが、より小さいものを探す必要があります。海上保安庁に再度、もう少し小さいものの候補を挙げるよう依頼したところ、8個の候補を挙げていただきました。
これを調査しに行くかということです。私はもちろん調査しても良いのですが、お金がかかります。簡単にいうと、大洋丸の調査は大きな赤字を出しました。この調査に取り組むとなると、持ち出しが大きくなりすぎてしまって、私個人では到底できません。
ですので、今の馬毛島にも関連しているので、海中にりま丸を探しに行く、あるいは沈没船がりま丸であるか確認することは、国の予算で取り組めば良いと思っています。
現段階では、具体的な計画はこちらの方では進んでいません。大きな赤字が出てしまうと困るので、悩んでいるところです。しかし、現状として一応この図があります。この状況をどうにかしないといけません。それはどういうことなのでしょう...