戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
沈没船と亡くなった人々の調査に国は乗り出すべきだ
戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索(8)海中の遺骨の扱い
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
今回の大洋丸の発見から浮かび上がってくる問題もある。大洋丸とほぼ同じ地点で沈没させられた、りま丸の乗組員の遺体の多くは、九州の島に流れ着き現地の人々によって埋められていた。しかし、最近になってこの島をアメリカ軍の基地にする計画が浮上、その中で遺骨の再発見が進められてきた。偶然陸上に打ち上げられていた遺骨は良いが、海中に沈んだままの遺骨の調査は現在進められていない。浦環氏は、国家として彼らの調査に乗り出し、供養する必要があると力説する。(全8話中第8話)
時間:7分11秒
収録日:2020年2月28日
追加日:2021年6月26日
≪全文≫

●遺骨収集


 ですので、沈没艦船を墓場と呼ぶのはやめよう、と私は今強く主張しています。先日、(シベリア抑留の)遺骨収集で大きなトラブルがありました。日本兵の遺骨だと思っていたのは、ソ連兵のものだったのです。その事実を長く確かめずに、延々作業を続けていました。厚生労働省はこの事実をつかんでいたにもかかわらず、公表しなかったといわれています。この事業のために、何千億円というお金を払っていたのではないかという疑いがあります。この事実は確認しなければなりませんが、可能性は高いと思います。こうした額のお金を陸上の遺骨収集にかけているのであれば、海中の遺骨収集にも同じようなお金をかけても良いではないかと思うのです。

 そうすると、どの程度の遺骨が収集できるでしょうか。そうしたことを考えてプログラムを作る必要があります。とりあえずそうした計画を進めているのかという点が重要です。役人が一番得意なのは「できません」、「前例がありません」、「技術がありません」という返答です。月へも行けるような技術の進歩の時代なのですから、そうしたやりとりは終わりにすべきだと思います。水葬もなくなっているわけですから。

 過去に葬られた人々の扱いが問題です。大洋丸はわれわれが発見しましたが、その時に思ったことは、りま丸に関連する状況です。りま丸の乗組員で亡くなった人はほとんどが軍人です。大洋丸では民間人が800人亡くなっているので、少し意味が異なってきます。

 このりま丸に関しても、2,700人が亡くなっています。馬毛島に多くの遺体が流れていったらしいのです。多くの場合は北のほうへ流れてしまいました。それは潮の加減でしょう。


●偶然にもりま丸の当時の亡くなった乗組員たちの遺骨の再発見が進められている


 馬毛島には当時人が住んでいたので、流れ着いた遺体をとりあえず海岸線に掘って埋めたと記録に残っているらしいのです。ところが、数年前からこの馬毛島が俄然脚光を浴びてきました。

 馬毛島を硫黄島に代わる、アメリカ軍の爆撃訓練基地にしようという案があるのです。それに対して、今は個人がこの島を所有しているので、日本は国としてそれを買い上げて、基地にするという交渉をしています。こちらの記事にある2年前...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
科学的思考はなぜ大切か(1)「状態図」という概念
科学的思考とは「なぜ?」を追究していくこと
岡部徹
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫

人気の講義ランキングTOP10
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(1)会ってみたプーチン…その実像
ロシア人の見る「ロシアの歴史」を知るとロシアがよくわかる・・・実際に会ってみたプーチンの印象とは?
上月豊久
「良き対話」とは?――哲学から考える(2)良き対話のための「問い方」の技法
良き対話のための「問い方」の技法とは?…ソクラテス流に「YES、NO」で答えさせ、お互いの考えを確認して進む
納富信留
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
「満洲」から考える日本とアジア(1)「満洲」を知る意義とは
「満洲史」はなぜ現代日本でタブー視されるのか?…王道楽土の夢とアヘンなどの裏面から見えてくる現代への教訓
宮脇淳子
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
チームパフォーマンスを高める心理的安全性(1)心理的安全性が注目される理由
なぜ今「心理的安全性」なのか、注目を集める背景に迫る
青島未佳
優れた経営者の条件(1)スキルとセンスの違い
経営者のセンスは担当者のスキルとは全く違う
楠木建
編集部ラジオ2026(38)アメリカ中間選挙と民主主義
【10min解説】第2期のトランプ大統領と中間選挙を考える
テンミニッツ・アカデミー編集部
ロシアのハイブリッド戦争と旧ソ連諸国(1)ロシアの勢力圏構想とNATO拡大
「ハイブリッド戦争」の実像…ロシアが考えていることとは何か?
廣瀬陽子
大統領に告ぐ…硫黄島からの手紙の真実(2)翻訳に込めた日米の架け橋への夢
アメリカ人の心を震わせた20歳の日系二世・三上弘文の翻訳
門田隆将