戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
次の動画も登録不要で無料視聴できます!
1942年に米潜水艦の魚雷で沈没した大洋丸の数奇な運命
第2話へ進む
沈没船の探索は戦争と技術の関係を後世に伝える重要な仕事
戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索(1)戦時徴用船と戦争
浦環(東京大学名誉教授/株式会社ディープ・リッジ・テク代表取締役)
東京大学名誉教授の浦環氏が新たなプロジェクトとして着手した「大洋丸」の探索に関する講義シリーズ。沈没船の発見は多くの人に戦争と技術の関係に関して強い印象を与える。今回の講義では、「大洋丸」プロジェクトの内容に入る前に、戦時徴用船に関する背景を、データや写真を交えて解説していく。(全8話中第1話)
時間:11分33秒
収録日:2020年2月28日
追加日:2021年3月27日
≪全文≫

●沈没船の探索は戦争と技術の関係を後世に伝える重要な仕事


 皆さん、こんにちは。今回は第14回目の講義になりますが、「戦時徴用船の悲劇と大洋丸捜索」というテーマでお話ししたいと思います。

 最初に前提として私が推進しているプログラムに関してお話しします。3年前にラ・プロンジェ深海工学会という一般社団法人を結成しました。そこでは、深海を含む海中活動に関連するさまざまな事柄に関する知識の普及と国民の海洋理解の増進に寄与することを目的としています。ボランティアで運営しています。

 そのためには皆さんの興味をひくような海中活動をしなくてはならないということで、2年半前に「伊58呂50特定プロジェクト」を進めました。こちらの画像は伊58です。この潜水艦を五島列島と長崎の間に見つけました。

 こちらも伊58の写真です。驚くことに斜めに突き刺さって、船尾を上に持ち上げているのです。水深200メートル地点です。

 こちらは伊47という潜水艦です。伊58のすぐ近くに、船首を頭にしてこのように立っているのを発見したのです。

 この周囲に24の潜水艦が沈んでいたのですが、その状況を最新の技術で明らかにしたのです。

 次に、前回の講義でお話ししましたが、このプロジェクトから1年後に若狭湾に沈む3艦の潜水艦を発見しました。ここに書いてあるとおり、それらは「伊121」「呂500」「呂68A」です。そのうちの呂500は、実はユーボートのU-511だったのです。このユーボートに関してもさまざまな興味深い話があるので、また機会があればお話しさせていただきたいと思います。

 ここに若狭湾の地図があります。若狭湾、越前岬、敦賀、小浜、舞鶴とあって、有名な船宿がある伊根町という町は丹後半島にあります。この半島の沖合に冠島という小さな島がありますが、その中間あたりに沈没している3艦をわれわれは発見しました。

 これらは太平洋戦争に関係するモニュメントです。われわれが思うに、海の中はなかなか見ることができませんが、海の中にあるモノを人に見せることができれば非常に...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(1)量子コンピュータとは何か
「量子コンピュータ」はどういうもので、何に使えるのか
武田俊太郎
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
沖大幹
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治

人気の講義ランキングTOP10
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
逆境に対峙する哲学(2)運命・世界・他者
「私をお母さんと呼ばないで」…突然訪れた逆境の意味
津崎良典
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割
豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割
黒田基樹
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
渡部昇一の「わが体験的キリスト教論」(1)古き良きキリスト教社会
古き良きヨーロッパのキリスト教社会が克明にわかる名著
渡部玄一
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
死と宗教~教養としての「死の講義」(1)「自分が死ぬ」ということ
世界の宗教は死をどう考えるか…科学では死はわからない
橋爪大三郎
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政