プラチナ社会へのビジネス創造
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
プラチナ社会における観光業と新しい林業の形
プラチナ社会へのビジネス創造(2)一次産業復活で地域再生
科学と技術
小宮山宏(東京大学第28代総長/株式会社三菱総合研究所 理事長/テンミニッツ・アカデミー座長)
かつて産業化によって公害が発生したが、その後、企業を巻き込んだ取り組みで問題を解決した地域がある。静岡県の三島市だ。一体どのように解決へと進んでいったのか。三島市の事例を中心に、プラチナ社会における課題解決と日本の林業のあるべき姿について解説する。(2018年12月12日JBC日本ビジネス協会朝食会講演「プラチナ社会へのビジネス創造」より、全8話中第2話)
時間:8分36秒
収録日:2018年12月12日
追加日:2019年4月18日
≪全文≫

●企業を巻き込んで公害を克服した


 エコロジーの話を最初にします。皆さん、ご存じないかもしれないですが、半世紀前は日本も左の写真のようでした。左上が北九州の空で、左下が北九州の洞海湾です。それが、右の写真のようにきれいになって、船のスクリューが筋状に溶けたという逸話のある洞海湾に、今は11種類の魚が戻り、美しい海を取り戻したのです。われわれは右の写真のようなところに住みたいのです。

 次に、これは静岡県三島市で、東京駅から新幹線で40分の三島駅から徒歩10分ぐらいの三島の真ん中です。そこで、2016年か2017年に左下の写真のようなホタルの群舞を見てきましたが、本当に美しかった。それは、昔は当たり前でした。この左上の写真は同じ場所です。半世紀ほど前には豊かな水が流れていて、お母さんがかっぽう着を着て川で洗濯です。そして、横で子どもが遊んでいるというように、経済的には貧しいけれども、ある種の精神的な豊かさがあっただろうと思います。それが20~30年の間に、右の写真のように汚れてよどんだドブになってしまったのです。


 これは、企業がすさまじい勢いで地下水を工業用水としてくみ上げたことによって、この写真の場所に流れてくる水量を減らしてしまったことが原因です。そこに生活排水を垂れ流したので、あの美しい豊かな川が汚れてよどんだ川になってしまったのです。

 これは嫌だというので、渡辺豊博さんという1人の元県庁職員で、今は都留文科大学の特任教授をされている方がどぶさらいを1人でスタートしました。そこにNPOが追随し、企業も応えました。処理した工業用水を上流に戻したのです。


●プラチナ社会における観光業


 これはエコロジーの話でしたが、その後、25年間で観光客が4倍に増えました。今、この左下の写真のような遊歩道の総延長が三島では52キロあります。他には、うなぎを特産にするなどさまざまなことをやっています。結果的に観光客が4倍に増えました。三島にはシャッター街はなく、空き店舗が消えたという状況が続いております。

 つまり、観光というのはプラチナ産業として今後も非常に有力な産業です。豊かになって時間ができれば旅をするようになるのです。ですから、インバウンド(Inbound「訪日外国人旅行」)対策で旅行者をどのように呼...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
2050年「プラチナ社会」実現への挑戦(1)「プラチナ社会」実現のルーツと現況
2025年頭所感~5つのプラチナ産業イニシアティブ創りへ
小宮山宏
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
2050年のための「前向きの愛国心」(1)木造都市へのシフト
木造ビルで20階…新しい暮らしを支える森林産業の確立を
小宮山宏
未来を知るための宇宙開発の歴史(1)宇宙開発の流れを概観する
宇宙開発の歴史、そして未来へ…6枚の写真で概観する
川口淳一郎
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔

人気の講義ランキングTOP10
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
長谷川眞理子
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
川口淳一郎
「アカデメイア」から考える学びの意義(4)学びの3つのキーワード
より良い人生への学び…開かれた知、批判の精神、学ぶ主体
納富信留
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
片山杜秀
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
中島さち子
教養としての世界史とローマ史~ローマ史講座・講演編(2)神々のささやく世界
「神々のささやく世界」では神々の声が行動を決める
本村凌二
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
宮脇淳子
知識創造戦略論~暗黙知から形式知へ(1)イノベーションと価値創造
価値創造において重要なのは未来から現在を見るという視点
遠山亮子
DEIの重要性と企業経営(4)人口統計的DEIと女性活躍推進の効果
日本的雇用慣行の課題…女性比率を高めても業績向上は難しい
山本勲
睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(5)シフトワークと健康問題
発がんリスク、心身の不調…シフトワークの悪影響に迫る
西多昌規