雪氷防災の今とこれから
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
吹雪や表層雪崩、地吹雪を起こすのは「軽い」雪
雪氷防災の今とこれから(3)着雪・冠雪・圧雪の被害
上石勲(極端気象災害研究領域雪氷防災研究センター 契約研究員)
吹雪や表層雪崩、地吹雪を起こすのは、「軽い」雪である。湿った雪はくっつきやすくなり、払い落としにくい着雪や冠雪として被害を与える。積もれば積もるほど重くなる着雪は、時には住宅を壊すほどの力を持つ。雪には、「滑りやすさ」の特性もあり、車の交通に支障をきたす。(全7話中第3話)
時間:8分11秒
収録日:2019年4月5日
追加日:2019年6月7日
カテゴリー:
≪全文≫

●軽い雪が起こす吹雪や地吹雪


 雪が軽いときはどうなるか。重い雪には硬い性質があるので衝撃があるわけですが、積もったばかりの新雪の場合、逆に「軽い」という性質があります。軽い雪では吹雪や表層雪崩という表面だけを滑る雪崩が起きやすくなることが分かっています。

 写真は左が新潟県上越市内、右は北海道の中標津です。新潟県などでも気温が低く風が強くなると、吹雪が起こって全然見えなくなります。写真ではまだ多少は見えている状況で、これ以上になり、2メートル先も見えなくなるようだと写真を撮っても何も分からなくなります。

 北海道(中標津)の写真では道路が見えていますが、ここは吹雪によって運ばれてきた雪が溜まる「吹きだまり」と呼ばれる場所であるため、吹雪を防ぐ柵が右の方に認められます。気象条件によっては、この柵が全部埋まってしまう場合も出てきます。

 私どもの観測や実験では、どういうときに吹雪が起きやすいかなども調べています。どのぐらいの風が吹いたら雪の粒が転がり出すか、どのぐらいの風になると転がった雪粒がぴょんぴょん跳ねて空中に巻き上がるかを調べ、これらをもとに吹雪の予測などを出すようにしています。

 吹雪は「吹く雪」と書くように、雪が降っていなくても起こる場合があります(「地吹雪」)。写真は、太陽が出ていて風や雪は降っていないのに、地吹雪によって道路が全く見えなくなっている状況です。


●木の折れる「着雪」被害を与える湿った雪


 次に湿った雪、0度の雪を見ていきましょう。0度の雪は水が含まれているので、くっつきやすい特性があります。

 右の写真は新潟県長岡市の研究所前の杉の木に積もった雪です。0度ぐらいで雪がたくさん降ると、雪同士がくっつきやすいので、木の上にもこのように雪がたまります。たくさん積もると木が折れたりします。

 左は徳島県の例です。もう雪がなくなった後で調査に行きましたが、四国・徳島県でも「着雪」「冠雪」と呼ばれる被害があるのです。写真中央の辺りに倒れた木が橋のようになった状況が見えます。斜面上の杉の木に雪が積もって折れ、右側の屋根の上に乗ってしまっています。着雪の被...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
社会はAIでいかに読み解けるのか(1)経済学理論の役割
AIやディープラーニングによって社会分析の方法が変わる
柳川範之
心と感情の進化(1)そもそも「心と感情」とは何なのか
「心と感情」とは何か、行動生態学から考える大事な問題
長谷川眞理子
発酵はマジックだ!
色を消し、脂を溶かし、水を分解―スゴすぎる発酵の力!
小泉武夫
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
ブラックホールとは何か(1)私たちが住む銀河系
太陽系は銀河系の中で塵のように小さな存在でしかない
岡朋治
ChatGPT~AIと人間の未来(1)ChatGPTは何ができて、何ができないか
ChatGPTは考えてない?…「AIの回答」の本質とは
西垣通

人気の講義ランキングTOP10
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
仏教とキリスト教が照らし出す日本の宗教(1)神とは何か、そして天皇とは?
日本と世界の「神と信仰」の違いは?…そして天皇の大切な役割
橋爪大三郎
日本の財政の真実を検証する(2)なぜ財政危機は起きていないか
なぜ財政危機は起きていないのか…国債の金利のトリックを読み解く
宮本弘曉
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
ストーリーとしての競争戦略(1)当たり前の重要さ
柳井正氏の年度方針「儲ける」は商売の本筋
楠木建
概説・縄文時代~その最新常識(1)縄文時代のイメージと新たな発見
高校日本史で学んだ縄文時代のイメージが最新の研究で変化
山田康弘
徳川将軍と江戸幕府~井伊直弼編(1)桜田門外の変と井伊直弼の人物像
「桜田門外の変」の謎…井伊直弼の警護に問題はなかったのか
山内昌之
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
石田梅岩の心学に学ぶ(6)禅から茶道へ
全てが悟りに至る道…日本は茶や花や野球にも「道」がある
田口佳史
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎