雪氷防災の今とこれから
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「暖冬少雪」では決してなかった2000年以降の平成時代
雪氷防災の今とこれから(4)大雪をもたらすメカニズム
科学と技術
上石勲(防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 特任参事/長岡技術科学大学 客員准教授)
「平成は暖冬少雪」と言われながら、平成28~29(2017~18)年の北陸は豪雪に見舞われた。備えのある雪国とはいえ、24時間で60センチもの雪が降ると、さまざまな場面に支障が起こる。今回は大雪をもたらすメカニズム、それによる実際の被害状況を語っていただく。(全7話中第4話)
時間:8分21秒
収録日:2019年4月5日
追加日:2019年6月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●2017~18年、除雪も間に合わない大雪が北陸に降った


 前回までは雪の性質の話と、それによって起こる雪の害についてお話をしてきました。ここからは実際にどういう災害が起きたかということと、また近年は雪が少ないわけではなくむしろ多いこともあり、近年の雪の災害(雪氷災害)についてお話ししていきたいと思います。

 これは2017~18(平成28~29)年の大雪で、除雪が追い付かずに渋滞が起きています。写真は新潟県の新聞記事ですが、北陸では福井県や石川県でも同様の渋滞が発生しました。

 こちらは「北陸大雪」と題して福井の状況を伝える記事です。雪が積もって幹線道路の除雪が追い付かないのです。新潟市同様、大量の雪が生産・物流活動に大きな影響を与えました。


●24時間で60センチもの雪をもたらす「収束帯」


 これは、新潟県の三条市で行った雪と気温の観測で、2018(平成30)年の1月から2月上旬の記録です。1月の10日から11日にかけては、24時間で60センチぐらいの雪が降っています。このぐらいの雪が降ると、雪国の三条と言ってもやはり支障が出てきます。それから、2月の5日から7日にかけては1メートル以上の雪が積もりました。これだけ雪が積もると、雪国とはいえ、数多くの支障が出てきます。

 雪の降り方については、気象衛星から撮った雲の画像をご覧ください。注目していただきたいのは、白くて濃い雲がつながって見えているところで、こういう雲ができると、その下で雪がたくさん降りやすいことが分かっています。

 こういう雲の群れを「収束帯」と呼びますが、同じ場所に留まることでたくさんの雪を降らせます。ただ、雲がいつどこにできるかの予測は難しいものであり、雪を降らせる収束帯がどういう条件で発生して、どう流れていくかということも、研究課題です。ここを解明していくことで、雪の予測はもっと正確に出るようになると期待されます。

 2017~18年の2月初め、新潟県内の歩道上でアーケードが壊れた状況です。雪国でも、あまりにたくさん雪が降ると、道路の渋滞だけではなく、積雪によってアーケードが壊れるなどという状況も...

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