雪氷防災の今とこれから
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「暖冬少雪」では決してなかった2000年以降の平成時代
雪氷防災の今とこれから(4)大雪をもたらすメカニズム
上石勲(防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 特任参事/長岡技術科学大学 客員准教授)
「平成は暖冬少雪」と言われながら、平成28~29(2017~18)年の北陸は豪雪に見舞われた。備えのある雪国とはいえ、24時間で60センチもの雪が降ると、さまざまな場面に支障が起こる。今回は大雪をもたらすメカニズム、それによる実際の被害状況を語っていただく。(全7話中第4話)
時間:8分21秒
収録日:2019年4月5日
追加日:2019年6月13日
カテゴリー:
≪全文≫

●2017~18年、除雪も間に合わない大雪が北陸に降った


 前回までは雪の性質の話と、それによって起こる雪の害についてお話をしてきました。ここからは実際にどういう災害が起きたかということと、また近年は雪が少ないわけではなくむしろ多いこともあり、近年の雪の災害(雪氷災害)についてお話ししていきたいと思います。

 これは2017~18(平成28~29)年の大雪で、除雪が追い付かずに渋滞が起きています。写真は新潟県の新聞記事ですが、北陸では福井県や石川県でも同様の渋滞が発生しました。

 こちらは「北陸大雪」と題して福井の状況を伝える記事です。雪が積もって幹線道路の除雪が追い付かないのです。新潟市同様、大量の雪が生産・物流活動に大きな影響を与えました。


●24時間で60センチもの雪をもたらす「収束帯」


 これは、新潟県の三条市で行った雪と気温の観測で、2018(平成30)年の1月から2月上旬の記録です。1月の10日から11日にかけては、24時間で60センチぐらいの雪が降っています。このぐらいの雪が降ると、雪国の三条と言ってもやはり支障が出てきます。それから、2月の5日から7日にかけては1メートル以上の雪が積もりました。これだけ雪が積もると、雪国とはいえ、数多くの支障が出てきます。

 雪の降り方については、気象衛星から撮った雲の画像をご覧ください。注目していただきたいのは、白くて濃い雲がつながって見えているところで、こういう雲ができると、その下で雪がたくさん降りやすいことが分かっています。

 こういう雲の群れを「収束帯」と呼びますが、同じ場所に留まることでたくさんの雪を降らせます。ただ、雲がいつどこにできるかの予測は難しいものであり、雪を降らせる収束帯がどういう条件で発生して、どう流れていくかということも、研究課題です。ここを解明していくことで、雪の予測はもっと正確に出るようになると期待されます。

 2017~18年の2月初め、新潟県内の歩道上でアーケードが壊れた状況です。雪国でも、あまりにたくさん雪が降ると、道路の渋滞だけではなく、積雪によってアーケードが壊れるなどという状況も...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「科学と技術」でまず見るべき講義シリーズ
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
レアメタルの光と影(1)イントロ
イノベーションがレアメタルをコモンメタルにする
岡部徹
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
五島列島沖合の海没処分潜水艦群調査(1)目的と潜水艦史
海底に突き刺さる旧日本海軍の潜水艦「伊58」を特定!
浦環
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(1)生成AIとは何か
10年で劇的な進歩を遂げた生成AIと日本の開発事情
岡野原大輔
ヒトの性差とジェンダー論(1)「性」とは何か
MLBのスーパースターも一代限り…生物学から迫る性の実態
長谷川眞理子

人気の講義ランキングTOP10
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
編集部ラジオ2025(33)2025年を振り返る
2025年のテンミニッツ・アカデミーを振り返る
テンミニッツ・アカデミー編集部
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(3)DSA化した民主党と今後の展望
DSAの民主党乗っ取り工作…世代交代で大躍進の可能性
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
健診結果から考える健康管理・新5カ条(1)血管をより長く守ることが重要な時代
健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
野口緑
世界哲学のすすめ(1)世界哲学プロジェクト
日本発!危機の時代に始動する世界哲学プロジェクトの意義
納富信留
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦