雪氷防災の今とこれから
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「雪氷災害イベントツリー」を作成し、災害予測に結び付ける
雪氷防災の今とこれから(7)多様化する雪氷災害に向けて
科学と技術
上石勲(防災科学技術研究所 雪氷防災研究センター 特任参事/長岡技術科学大学 客員准教授)
防災科学技術研究所雪氷防災研究センターでは、「雪氷災害イベントツリー」を作成し、雪の性質による災害への備えを進めている。降雪装置を用いた防災実験、積雪層の構造解明などから、多様な雪氷災害を予測し、全国に呼び掛けるシステムも開発中だ。2018年には着雪に備える「雪おろシグナル」も稼働した。(全7話中第7話)
時間:6分16秒
収録日:2019年4月5日
追加日:2019年6月20日
カテゴリー:
≪全文≫

●雪の性質と災害予測をつなぐ「雪氷災害イベントツリー」


 近年の雪の災害について、数回にわたりお話ししてきました。集中的に降る、重たい雪が降る、首都圏のように普段雪が降らないところにも雪が降る、さらに着雪もしやすく、吹雪もある。また、雪が降っているときに地震が発生すると、雪崩のような複合災害も起こってくる。

 近年の暖冬少雪といわれる中でもやはり雪は多く、問題点はいろいろとあります。こういうことを解決していくのが、私どもの研究課題であると認識しています。

 さて、この図は「雪氷災害イベントツリー」といいます。雪は、降るときの気温や時間によっていろいろな性質が異なってきます。雪の性質がどのように変化するかをきちんと調べ上げ、最終的には災害の予測に結び付けようと、私どもの研究所では取り組みの最中です。

 私どもの研究組織をご紹介した図です。長岡と新庄あわせて10数人のメンバーで、災害予測を中心とする研究を行っています。


●人工降雪装置や最新式分析装置で雪を分析・実験


 山形県新庄には、人工的に雪を降らせる装置があります。雪の結晶を降らせるような実験施設としては世界最大のものを持っています。

 これは、装置によって実際に雪が降っているところです。8畳ぐらいの床面積のところに雪を降らせて、いろいろな実験をしています。

 前回の講義で、南岸低気圧が通ると雪崩が起こりやすいと話しました。では、どういうときにどういうところで雪崩が起こりやすいのか。そういうことも、実験や観測で割り出せるようになってきています。

 それから、雪の内部がどういう構造になっているかについては、X線やCTなどの最新式装置を使って解明できるようになってきました。

 これらにより、具体的には吹雪の予測や雪崩の予測、着雪の予測などもある程度出せるようになってきましたので、道路管理者などに情報を提供して実際の役に立ててもらう取り組みが始まっています。

●着雪への備えとして始まっ...


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