経営者としての激動の人生
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
多機能素材開発のために不可欠だった買収の話
経営者としての激動の人生(4)多機能素材開発と買収
三澤千代治(MISAWA・international株式会社 代表取締役社長/ミサワホーム創業者)
まだM&Aの言葉がなかった1970年代、ミサワホームは多機能素材開発のために化学工場や鉄工所の買収を行っている。その経験から、会社買収に不可欠なのは相手を立て、慎重に行動することであるという。(2018年10月2日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「経営者としての激動の人生」より、全5話中第4話)
時間:10分00秒
収録日:2018年10月2日
追加日:2019年8月6日
≪全文≫

●石油ショックを乗り切った「ミサワホームO型」


 昭和42(1967)年に会社を設立、45(1970)年に上場できて、48(1973)年には業界でトップになりました。単純決算で、ちょうど1兆円に達したのです。アポロ計画にヒントを得たミサワのシステム経営というべき考え方、分業してやればいいという経営が住宅産業に向いていたからという話でした。

 その後すぐ石油ショックがやってきて、家が売れない時代になりました。みんなで知恵を集め、お客様の注文通り1軒ずつ建てるやり方はやめ、自動車と同様に同じタイプのものを作ることにしました。それでできたのが「ミサワホームO型」という企画住宅で、2割ほど値段が安かったため、爆発的に売れました。そのおかげで、石油ショックの時期もつぶれずに済んだという経験をしています。

 今、日本の建売業者が建てている建物は、ミサワホームO型が原点で、総二階になっています。これ以前の家では、二階は一部しか乗っていなかったのですが、今の家は全部総二階になっています。その転換点となったO型によって、石油ショックを乗り切りました。


●五重の材料を用いた建築材を一体化できないか


 ミサワで優れた技術へのチャレンジといえるのは、まだ完成してはいませんが「多機能素材」の開発です。

 建築物には、よく見ると五つの材料が重なっています。まず骨組みとして構造体があり、断熱材があります。それから、水が入っても大丈夫なように耐水材があります。さらに仕上げ材は裏と表があるため、それら五重の材料が重なったのが建築の値段なのです。構造体、断熱材、耐水材、仕上げ材(表・裏)ということです。

 これらを一体化できないだろうか、というのが私の構想でした。強度もあり、耐水性も断熱性もあって、見た目のきれいな素材。そんなものは世の中にない、と誰もが口をそろえますが、それなら、うちでそれを作ればいい。誰か、そういう挑戦に乗ってくれる技術屋さんがいないかと思い、この話をして歩いていたら、「できるかもしれない」と名乗りを上げる技術屋さんが何人か出てきました。

 家を作るのに、いろいろな材料を使って組み立てるのをやめる。例えば大きなところに、素材を流し込めば1時間ほどで固まるから、それを使えば家がすぐできる。そうした材料を「多機能素材」という名前にしたのです。多機能というのは、たくさんの機能を持った素...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「経営ビジネス」でまず見るべき講義シリーズ
メンタルヘルスの現在地とこれから(1)「心を病む」とはどういうことか
なぜ「心の病」が増えている?メンタルヘルスの実態に迫る
斎藤環
会社人生「50代の壁」(1)“9の坂”とまさかの坂
サラリーマン人生「50代の壁」を乗り越える生き方
江上剛
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(1)ビジネスのヒントは歴史にあり
『失敗の本質』、中国古典…ビジネスのヒントを歴史に学ぶ
三谷宏治
組織心理学~若者とのコミュニケーション(1)「Z世代」の特徴と接し方
Z世代は傷つきやすい!?…昔の世代との相違点、共通点とは
山浦一保
人生100年時代の「ライフシフト概論」(1)人生100年時代のインパクト
80歳まで現役でいるために大切なこと…人生100年時代の発想法
徳岡晃一郎
野獣の経営、家畜の経営(1)経営センスが育つ土壌
ファーストリテイリングで経営者が育つ理由
楠木建

人気の講義ランキングTOP10
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(2)MAGAの矛盾と内戦の現状
MAGA内戦勃発…なぜトランプがMAGAの敵になってしまうのか
東秀敏
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(4)信長の直臣、秀吉の与力としての秀長
最初は信長の直臣として活躍――武闘派・秀長の前半生は?
黒田基樹
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』
カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ
第2次トランプ政権の危険性と本質(1)実は「経済重視」ではない?
ブレーキなき極右ポピュリズム…文化戦争を重視し経済軽視
柿埜真吾
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(2)プロテスタントと「予定説」
カトリックとプロテスタントの違いは?「救済予定説」とは?
橋爪大三郎
人の行動の「なぜ」を読み解く行動分析学(1)随伴性
「なぜ人は部屋を片付けられないか」を行動分析学で考える
島宗理