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なぜ「かんばん方式」をトヨタが推進できたかを学ぶ

経営者としての激動の人生(3)株式上場と「改善」

三澤千代治
MISAWA・international株式会社 代表取締役社長/ミサワホーム創業者
概要・テキスト
ミサワホームは、会社設立後3年で東証一部に上場したのを機にNPS研究会に参加。大野耐一流の「無駄を排除することによる経営効率の向上」により、生産工程や在庫の徹底的な改善が進められていく。(2018年10月2日開催日本ビジネス協会JBCインタラクティブセミナー講演「経営者としての激動の人生」より、全5話中第3話)
時間:09:48
収録日:2018/10/02
追加日:2019/07/31
≪全文≫

●上場後、コストダウンを目指しNPS研究会に参加


 全国にミサワホームの代理店ができたので、名古屋は東海銀行、東京は第一勧銀、大阪は大和銀行と、金融も地域的に分けて組織しました。このおかげで、お金と人と信用を一遍に調達できたのです。

 こうなると、何となく上場できるかもしれないという気になってきます。昭和42年に会社を設立して、45年の上場です。当時私は33歳だったので、最年少上場だと騒がれました。

 そうは言っても、いったん上場してしまうと、やはり会社としてしかるべく体裁を整えなければなりません。まず、コストダウンが必要だろうという話になりました。

 その点で優れているのは、やはりトヨタです。当時は「かんばん方式」の生みの親である大野耐一氏が、引退後「ニュープロダクトシステム(NPS)研究会」という勉強会の最高顧問をされていました。これは異業種10社ほどの勉強会で、「はんぺん」の紀文食品や亜細亜証券印刷(現プロネクサス)、クリナップなどが顔をそろえていました。そこへ、プレハブではミサワだけということにしてもらって、加えてもらいました。

 大野耐一氏から直接の指導はありませんでしたが、ときどき講演に来られました。また、鈴村喜久男氏という一番弟子がトヨタを退職後、実践委員長として指導されていました。

 私どもの工場を訪問された時、「ここの工場の人は30分しか働いていない」と指摘されるので、「いやいや。うちは8時間労働です。30分ということはありません」と否定しました。「実際に仕事をしている時間は30分です。分かりませんか」と言われますが、私の目から見ると、8時間一生懸命やっているようにしか見えません。

 「改善(カイゼン)すれば、生産性が10倍上がります」と言われるので、ずいぶん大ボラを吹くものだと最初はタカをくくっていましたが、徐々に取り入れるようになりました。

 また、こういう話をうかがいました。これを釘だとすると、釘を金づちで打つのは1秒でできる仕事です。ところが「さっき見ていると、ミサワさんの釘はあそこに置いてある。従業員がそこまで歩いて取りに行った」と、NPSの人は言う。「金づちの方は、また別のところまで取りに行った。3秒も4秒もかかってうろうろ作業をしている」。たった1秒で済む作業に4秒も5秒もかけるとは、一体何をやっているのか。この工場全体が効率の悪いことにな...
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