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隠れている好奇心をあぶり出す癖をつけるのが教養の第一歩

いま求められる「教養」とは(2)教養と好奇心

情報・テキスト
教養を身に付けるには、「正解のない問いを考えて答えを見つけていく」こととともに、「相手の立場になってものを考える」ことが重要だと第1話で話された柳川範之氏。そこで大事なのは好奇心だが、「みんな、好奇心の芽を摘まれていっているんじゃないか」という。ではどうすればいいのか。(全4話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:12:36
収録日:2019/07/10
追加日:2019/09/16
ジャンル:
≪全文≫

●コミュニケーション能力を養う「好奇心」


―― 多分野の人たちと付き合って、それぞれ持っている正解が違う、と。そうすると、好奇心が強い、という形のところと、やっぱりコミュニケーション能力というか、人間力を含めて、コミュニケーション能力って決定的に重要になってきますよね。

柳川 そうですね。今も学生も含めて、あるいはいろいろ世の中で活躍している人を見ると、「コミュニケーション能力が高い人」が、活躍しているケースがすごく多い。やっぱり人間と人間の、「お互い相手が何を考えているのか」、「どういうふうに思っているのか」、ということをしっかり相互に理解し合える能力を持っているというのがとても重要な資質の一つになってきているのかな、と思います。

―― 好奇心があって、知らない話を教えてくれる人に対して、「共感する力」だったり、「さらに掘り下げたい」という、東洋思想でいう、根源力みたいな、その部分をどうやって組み立てるか、ということですかね。

柳川 そうですね。一つはおっしゃるように好奇心がないと、「多分野の話を聞こう」という気にならないので、そこはしっかり好奇心を持ってもらうことが大事だと思います。

 でも、思うんですけど、好奇心って生まれたときは誰でもすごく持っているわけですよね。生まれたての子どもは、「何で」「どうして」とすぐ聞くわけじゃないですか。なので、特殊な能力ではなくて、みんなに備わっているすごく優れた能力だと思うんですよ。

 ところが、それがだんだん大きくなって、いちいち「なぜ」と聞いていると、「そんなことを考えずに覚えろ」と言われたり、「正解だけを理解すればいいんだ」ということになる。好奇心をあまり持たないように、社会だったり教育だったりがそういう形になってきているので、みんな、好奇心の芽を摘まれていっているんじゃないかと思うんですよね。


●「易しいものから順に」がもたらした弊害と好奇心


―― 例えば、大学の入試、特に東大の入試とか見ていても、結構やさしいものから順番に解いていきますよね。難しい問題は後回しにする。あの構図が今の日本に深く残ってしまった。あれってやっぱり中学受験くらいから始まっていて、まずは点を取るために、とりあえず「やさしい問題を解いて、それで6、7割固めて、難しい問題はあとで考える」という、この部分ってかなり弊害ですよね。

柳川 そうですよね。そういうことを「できるだけ変えよう」、ということで、いろんな教育改革が行われてはきたんですけど、あまりにも手取り足取りで、「まずこれから解いてごらん、これが解けたら次にこれで、というやさしいほうから、難しいほうに」とおっしゃるように、それが懇切丁寧に、スムーズにやれるように、プログラムされている、ということがあって、これが逆に、いろんな好奇心を失わせちゃっているという部分があるのではないだろうか、と。だから、少し難しいものが与えられると、逆に好奇心が湧いたり、あるいは「なんだよこれ」というものとか、とんちんかんなものがむしろ出てきたほうが、好奇心を持ってできたりする、という部分があると思うんです。

 あと、もう一つは、好奇心を持つと、例えば、道を歩いていて、子どもがこっちになにか風船が飛んでいくと、好奇心を持って、そっちに歩いていくじゃないですか。好奇心を育んで、高めていくためには、寄り道したり、わき道に逸れていくということを多少許してあげないといけません。

 今の受験勉強って、「わき目を振らずにとにかく最短コースでゴールまで行きましょう」、ということが要求されるので、そうすると、何か他に面白いことがでてきても、それに目をつぶって、あんまり面白いと思えない道に進む、ということがあります。もう少し、学校教育も含めて、社会が少し余裕を持って、好奇心を持ってわき道に逸れていったり、回り道したり、うろうろしたりする人を積極的に評価するということも大事なことなんじゃないかな、と思います。


●好奇心を呼び戻すのに、「今からでは遅い」はない


―― 人間の能力、優秀さって、感じるというか、感知するというか、同じものを見て感知する能力、センサー的な部分と、それから感じたことを組み立てる能力と、三つ目が記憶力で、この三つくらいのところで成り立っていて、そのうちの三つ目の知識を覚えるところはがんばってやっているけど、肝心の若くて感性がいい時代に、感性の力というか、いろんなものが見えないと分からないですよね。そして、そこで集めてきた材料を自分の中で組み立てる、と。そんなことやっていると、受験勉強の試験にはマイナスかもしれないけど、一つ目の感知する力と、二つ目の集めた材料で組み立てる力と、ここがぽこっと抜けていってしまった。

 先生がマジックテープの話を本(...
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