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建設的な議論には「事実認識」と「価値判断」の違いが重要

いま求められる「教養」とは(4)建設的な議論のために

概要・テキスト
対談の最終回では、教養を磨くために必須となる「議論」のあり方を考えていく。建設的に議論を進めるには、「事実認識」と「価値判断」を分けて考えることが大事である。また、より良い議論をもたらす「経験」と「モデル共有」とは何だろう。(全4話中第4話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:11:39
収録日:2019/07/10
追加日:2019/09/23
カテゴリー:
≪全文≫

●先行き不透明な未来にネットワークで立ち向かう


―― その意味では、トヨタの豊田章男社長が「終身雇用はトヨタでは難しい」、と言い始める、あれはかなり分かりやすいですよね。仮に今入った企業に30年先も同じようにいるかというと、それは考えにくいですよね。

柳川 このインパクトは大きくて、みんなが薄々は思っていることだと思うんですけど、改めてあのようなメッセージが出されたことによって、「自分の立ち位置どこにするの」とか、「自分は将来どのようにしていくのか」、ということを考えることになったというのは、すごくインパクトがあったことだと思います。

 その上で、「ではどうする」、といったときに、今のところ、「どうしていいか分からない」、という人が割と多いわけですよね。そういうところに、今までの会社組織とは違う、いろんな関心を持っている人とか、いろんな能力を持っている人が集まって、ネットワークをつくっていくということがあちこちでできてくると、人々はより面白いことを考えることができるし、ある種そこが安心感を与える仕組みになってくるだろうと思います。

―― そうでしょうね。目利きの人がいて、集めてきて、それぞれ勝手に私塾を始める、というようなことがいっぱいできると、かなり閉塞感のある社会から、変わりますよね。

柳川 そうですよね。それぞれがある意味ですごく面白い、それぞれ特色のある人材が育ってくる、ということが面白いところだと思います。


●建設的な議論のために「事実認識」と「価値判断」を分けて考える


―― そのときに、「建設的な議論のために」という言い方の中で、「事実認識や見立て」と「価値判断」を区別すると著書(『東大教授が考えるあたらしい教養』)に書かれていたことが重要なことだと思います。普通、価値判断が先にいくから、「お前、間違っている」とおしまいになってしまい、建設的な議論になりませんよね。

柳川 そうなんですよね。だから、「いろいろ議論をしましょう」、というのが、割と学校教育でもあるし、日頃でもあるんですけど、なかなか「建設的な議論」というものが日本ではできにくい。そこは、「価値判断のぶつかり合い」が議論の全てになっているようなケースが割と多くて、「私はこっちに賛成だ」「私は反対だ」「なぜ反対なんだ」「賛成じゃないか」みたいに、価値判断がぶつかり合っていると...
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