渋沢栄一の凄さ
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
なぜ渋沢栄一は日本資本主義の父になれたのか
渋沢栄一の凄さ(2)渋沢栄一と尾高藍香
日本資本主義の黎明を支えた渋沢栄一だが、なぜ、渋沢にはその力があったのか。そのことを考えるときに忘れてはいけないのが、渋沢の生家が藍に携わる農家だったことである。藍づくりは極めて複雑・専門的なビジネスで、かつ投機的な側面も備えている。また、渋沢に古典を教えた大人物もいた。渋沢はなぜ日本資本主義の父になれたのか、その謎に迫る。(全2話中第2話)
※インタビュアー:神藏孝之(10MTVオピニオン論説主幹)
時間:15分16秒
収録日:2019年6月14日
追加日:2019年9月18日
≪全文≫

●渋沢栄一に「古典」を教えた大人物


田口 渋沢栄一という人を調べていくと、「この人なかりせば、渋沢栄一もなし」という人がいます。尾高藍香(おだか・らんこう)という縁戚の人です。渋沢は後年、この人の妹チヨを妻にしたので、さらに縁は深くなります。

 渋沢の場合、6歳までは父親が四書五経を教えますが、6歳以降は尾高藍香の家に行って古典を指導してもらいました。古典の指導ばかりではなく、一家・一族ですから、いろいろな冠婚葬祭を一緒に仕切ってもいく。この尾高藍香自身がどういう人かというと、富岡製糸場を作った人です。

―― それは、大人物ですね。

田口 さらに、初代の場長として経営者を務めました。日本のシルク産業は、明治の初年、日本の別名になるほどのもので、あの時代にシルクが量産できなければ、その後の日本の成功もありえませんでした。

―― なるほど。確かに、外貨を稼ぐのはシルクしかなかったです。

田口 あれしかなかった。その象徴が富岡製糸場です。もしも富岡製糸場が倒れたり、うまくいなかったら、日本の近代産業もうまくいかなかったと思うのですが、それを成し遂げたのが、尾高藍香です。


●尾高藍香の主張と出自を伝える「藍の香り」


田口 江戸末期の封建時代に尾高藍香が主張したのは、封建制を排して郡県制にすることでした。また、当時のインフレ状況を憂え、このままでは日本という国は滅びる、インフレ対策を徹底することが重要だ、とも言っています。

 渋沢栄一は大蔵省へ入って近代金融や財政を仕立てていきますが、その際にバイブル扱いされていた西洋の書物を読むと、自分が尾高藍香から聞いていたようなことばかりが記されている。それで、渋沢は改めて尾高を尊敬します。また、渋沢にしても、並の人ではありません。小さい頃から国家財政や金融の勉強をしていたということです。


●藍を扱う家に育ったことでビジネスマインドが培われた


田口 さらに、「尾高藍香」というこの名をよく見ると、藍の香りと書く。なぜ渋沢が、資本主義をあれだけ見事に監督できたのかというと、実は藍を扱っている家に生まれたからなのです。

―― なるほど。藍を扱う家に生まれたのが渋沢の強みでしたか。

田口 藍というのは、調べてみると驚くべき商品です。プロフェッショナルでなければとても扱えない商品...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「哲学と生き方」でまず見るべき講義シリーズ
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
今こそ問うべき「人間にとっての教養」(1)なぜ本を読むことが教養なのか
『人間にとって教養とはなにか』に学ぶ教養と本の関係
橋爪大三郎
神話の「世界観」~日本と世界(1)踊りと物語
世界の神話の中で異彩を放つ日本神話の世界観
鎌田東二
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
日本文化を学び直す(1)忘れてはいけない縄文文化
日本の根源はダイナミックでエネルギッシュな縄文文化
田口佳史
逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる
逆境にどう対峙するか…西洋哲学×東洋哲学で問う知的ライブ
津崎良典

人気の講義ランキングTOP10
新しい循環文明への道(1)採掘文明から循環文明へ
2026年頭所感~循環文明の「三つの柱」…いよいよ実現へ
小宮山宏
逆境に対峙する哲学(5)阿頼耶識・大慈大悲・大智
大慈大悲の教え――なぜ仏像は怖い顔をしているのか
津崎良典
オリエント 東西の戦略史と現代経営論に学ぶ(2)失敗の本質
『失敗の本質』初版から30年…同じ失敗を繰り返す日本組織
三谷宏治
折口信夫が語った日本文化の核心(1)「まれびと」と日本の「おもてなし」
「まれびと」とは何か?折口信夫が考えた日本文化の根源
上野誠
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
過激化した米国~MAGA内戦と民主党の逆襲(1)米国の過激化とそのプロセス
MAGA内戦、DSAの台頭…過激化が完了した米国の現在地
東秀敏
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
生成AI・大規模言語モデルのしくみ(2)機械学習と大規模言語モデル
常識を初めて知った!?生成AIの大規模言語モデルとは
岡野原大輔
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ