新型コロナウイルスの克服
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
「1人の力ではできぬことも集団ならできる」と信じて動く
新型コロナウイルスの克服(3)社会連帯の崩壊が本当の敵
橋本英樹(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 保険社会行動学分野 教授)
急激な感染拡大によって、政治や制度に対する信頼が失われている。それを防ぐためには、感染拡大のピークをなだらかにする必要がある。ロックダウンは、そのための1つの手段なのである。(全5話中第3話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分39秒
収録日:2020年3月27日
追加日:2020年4月1日
≪全文≫

●創発性をいかに信じて動けるか


橋本 現在、われわれが目の前にしている状況は、医師がワクチン等をひとさじつくれば解決するようなものでも、ECMO(Extracorporeal membrane oxygenation、体外式膜型人工肺)を4000台用意すれば大丈夫だというようなものでもありません。一般の方々には見えにくいのですが、1人1人がしっかりと動いていくと、1人1人の力ではできないことが集団であればつくることができるということです。最近はやりの言葉でいえば、創発性(Emergence)です。このことを、いかに信じて動けるかなのです。

―― なるほど。


●本当の敵は社会連帯の崩壊である


橋本 このためには、われわれが日本の未来として描こうとしているものを、いかに共有できるかが関わってきます。これには政治の力が非常に大きいと思います。現状では、オリンピックの話などに全て持っていかれています。ですが、オリンピックもさることながら、今ここで問われているのは、日本の経済を含めた社会のあり方そのものです。今われわれが敵にしているのは、ウイルスやそれによるオリンピック中止や延期問題のように見えますが、本当の敵は、社会連帯の崩壊だと思います。

―― それはどういう意味ですか。

橋本 1人1人が、今目の前にある自分の利益のために走ると、全体の最適解を見失ってしまいます。いわゆる、prisoner's dilemma(囚人のジレンマ)の大きい版のようなものです。1人1人が、目の前のことではなく将来を見越して、今自分がどう動いていくべきかを考えながら進んでいくと、自分のためでも、それが人のためにもつながり、その相乗効果で社会全体として1つの大きな力を生むことができます。その可能性をどこまで信じられるかということです。その可能性を持たせるためには、ある程度、将来についての見込みが必要です。

 もちろん、いつ終息するのかに関して、明確な期日を伝えることはできません。これは、現状では理論疫学の専門家にもできないことです。ある意味まだまだボラティリティ(volatility、落ち着きのない性質のもの)です。例えば、今回ロックダウンをして4月いっぱいは封鎖されたとしても、5月の連休でみんながはしゃいでしまうと、また5月にロックダウンをしなければならなくなることも当然あり得ます。

 ともあれ、まず1カ月実施して、結果が見えてきたとき、どうすればいいか分かれば、その...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
デジタル全体主義を哲学的に考える(1)デジタル全体主義とは何か
20世紀型の全体主義とは違う現代の「デジタル全体主義」
中島隆博
ハーディングとトランプ~100年前の米大統領選を読む(1)米国第一主義の台頭
1920年のアメリカファースト…ハーディング大統領の勝利
東秀敏
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化
デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題
齋藤純一
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
クライン『ショック・ドクトリン』の真実(1)ショック・ドクトリンとは何か
100分de名著!?『ショック・ドクトリン』驚愕の印象操作
柿埜真吾

人気の講義ランキングTOP10
編集部ラジオ2026(35)鶴見太郎先生の公開収録を振り返る
【10min紹介】鶴見太郎先生の公開収録を振り返る・・・お寄せいただいた声
テンミニッツ・アカデミー編集部
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
「満洲」から考える日本とアジア(8)日貨排斥と満洲事変の原因
なぜ満洲事変が起きたか…激烈な日本排斥と朝鮮人迫害、さらに一方的な条約無効化に直面した日本人の決断と失敗
宮脇淳子
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
50代からの親の介護~その課題と準備(2)マネジメントとしての介護
介護を「プロジェクト」と捉え、マネジャーに徹すべし
太田差惠子
現在の宇宙の姿(2)太陽系から星の世界へ
太陽系とその外に広がる星の世界との関係
岡村定矩
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(1)史上最大の問題作
全米TOP10大学の必読書1位が『ポリテイア(国家)』
納富信留
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?
一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界
垂秀夫