新型コロナウイルスの克服
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
感染率や死亡率を決める要因は何なのか
新型コロナウイルスの克服(5)何が成否を分けるのか?
橋本英樹(東京大学大学院医学系研究科 公共健康医学専攻 保険社会行動学分野 教授)
いったい何が感染率や死亡率の高さ・低さを決めるのか。その要因は決して単一ではない。公衆衛生系の問題は複合的に発生するからだ。そこで求められるのは、各セクターが適切に状況を把握し、相互にコミュニケーションを深めて信頼を獲得していくことだ。終息後のV字回復も、これを前提に考えていく必要がある。(全5話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分21秒
収録日:2020年3月27日
追加日:2020年4月1日
≪全文≫

●感染率や死亡率の高さ・低さを決める要因は何なのか


―― 先ほど、保健所の特殊性を中心とした、日本のアドバンテージについてお伺いました。その一方で、多くの人が納得感を持って事態を理解するために重要なのが、感染率や死亡率の高さ・低さを決める要因です。イタリア、アメリカ、中国、韓国などの事例もあると思いますが、それを分けるものが分かれば、取り組み方も分かってきて、それに向けて頑張れるように思います。先生の分析からすると、悪く進んでしまったパターンと良く進んだパターンを分けたものは何であったと考えればいいでしょうか。

橋本 これは一口ではいえない、複合的な要因です。例えば、もともとこうした問題にどの程度preparedness(準備)があったのかということも、1つの要因です。例えば、中国や台湾が封じ込めにうまくいったのは、これまでにMARSやSARSで痛い目を見たので、そのための体制があったからです。日本の場合、たまたま保健所がありました。こうしたものがあった場所となかった場所で、事態は分かれました。

 その他にも、人口の構成は重要でしょう。イタリアのように高齢者が多い国とそうでない国で、状況は違います。そして、人々の動きがどれくらい多かったのか、少なかったのかという要素もあります。


●公衆衛生系の問題は複合的である


橋本 実は、こうした公衆衛生系の問題は、ウイルスだけではなく、人の行動や社会の構造も含んだ、複合的な要因で決まります。これを私たちの領域では「social determinant of health(健康の社会的決定要因)」というのですが、この複合体で公衆衛生の問題は起こるため、要因のうちの1つを倒したら解決するというものではありません。この点で、考え方はシステムとの複雑系なのです。

―― なるほど。

橋本 これが、公衆衛生と医療を分けるポイントです。公衆衛生は、医療のように、がんの原因を突き止め、それを叩くため抗生剤を1つつくれば治るというような、リニアな問題ではありません。これがやはり、人々には理解しづらく、政治のアジェンダにもつながりにくい原因です。よく「単純化してくれ」と言われるのですが、それができたら苦労はしません。いろいろなステイクホルダーがそれぞれ連携しながら、それぞれが良いと思うものをうまく動かし続けると、先ほど言った「創発性」によって、解決のための取り組みがシステムとし...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
為替レートから考える日本の競争力・購買力(1)為替レートと物の値段で見る円の価値
ビッグマック指数から考える実質為替レートと購買力平価
養田功一郎
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
本当によくわかる経済学史(1)経済学史の概観
経済学史の基礎知識…大きな流れをいかに理解すべきか
柿埜真吾
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉

人気の講義ランキングTOP10
資本主義の再定義…哲学で考える(1)アダム・スミスの「市場と感情」
資本主義を哲学する…まずアダム・スミスの見えざる手と道徳感情論
中島隆博
日本人が知らない自由主義の歴史~前編(1)そもそも「自由主義」とは何か
消極的自由と積極的自由?…なぜ自由主義がわかりづらいか
柿埜真吾
ヒトはなぜ罪を犯すのか(1)「善と悪の生物学」として
ヒトが罪を犯す理由…脳の働きから考える「善と悪」
長谷川眞理子
死と宗教~教養としての「死の講義」(5)仏教の死:日本編
極楽往生、坐禅、法華経…日本人はいかに死を乗り越えるか
橋爪大三郎
教養としての「ユダヤ人の歴史とユダヤ教」(1)ユダヤ人とは誰のことか
ユダヤ人とは?なぜ差別?お金持ち?…『ユダヤ人の歴史』に学ぶ
鶴見太郎
組織心理学とは何か~『武器としての組織心理学』と概論
なぜ組織に「心理学」が必要か?多様化と個の時代の処方箋
山浦一保
「ホメロス叙事詩」を読むために(4)『イリアス』の世界ーその2
『イリアス』の主人公アキレウスの怒りは何を意味するのか
納富信留
中国史概説~『皇帝たちの中国』を読む(1)なぜ「中国史はつまらない」のか?
驚きの中国史~「中国史はつまらない」という通説の裏の波乱の真実
宮脇淳子
日本人が知らない自由主義の歴史~後編(1)ニューリベラリズムへの異議
ハーバート・スペンサーとダイシー…20世紀の危機の予言者
柿埜真吾
日本人とメンタルヘルス…心のあり方(3)稲作社会と頑張る日本人
ダメなのは「頑張りが足らない」から…うつを招く稲作的発想
與那覇潤