●経済の目覚ましい発展に付随して国際政治でのプレゼンスを急速に高めるインド
IT産業などの急速な発展で、経済的に非常に大きな可能性のある国として、近年インドは存在感を高めてきています。その大きな可能性に着目して、世界の多くの企業が、インドに生産や開発拠点を設けるという流れが加速しています。さらにその他にも、国際政治面や宇宙航空技術、軍事面といった、特殊な技術の分野に関しても、近年インドは存在感を大変高めています。
インドはネルー首相が指揮した独立以来、1980年ごろまでは非同盟主義を維持していました。非同盟主義とは簡単にいうと、アメリカと距離を取るということです。1990年代以降、経済開放を進め、国際経済競争に参加して、アメリカとも接近するようになってきました。そのような状況の中で、モディ政権は政治的にも国際的な存在感を高めているのです。インドはG20の主要メンバーであり、国連の安全保障会議で常任理事国入りを目指しているG4という国々に、日本・ドイツ・ブラジルと並んで名を連ねています。
また、2013年にインドは火星探査機「マンガルヤーン」の打ち上げに成功しました。これはインドの探査機の打ち上げとしては初の試みでした。にもかかわらず、火星の周回軌道に入ることに成功したのです。これは日本でも、まだ成功していません。日本の火星探査機は、周回軌道に入る前にどこかで姿を消してしまっているのです。
さらに、2012年には5000キロから5800キロ射程のICBM「アグニV」の発射に成功しています。これは大変な広域攻撃能力を持っていることを示しています。2015年10月には、インド海軍が新たな海洋安全保障戦略を発表し、インド洋全域、ペルシャ湾、紅海を最重要区域に指定しました。この動きには、世界中から注目が集まっています。また、翌年の2016年には、インド軍は、初の国際原子力潜水艦「アリハント」を就役させています。
2020年2月にドナルド・トランプ大統領は、モディ首相の招きでインドを訪問しました。モディ首相は10万人の聴衆を用意しました。コロナウィルスの流行が話題になり始めた時期でしたが、インドではまだ流行していなかったといわれています。トランプ大統領は、その大会場で上機嫌で、「America loves India. America respects India」などと発言していました。その後の首脳会談では、アメリカは武器輸出に関して合意し...