●目を引くキャッチフレーズと華々しい政策の数々
前回、モディ首相の政治スタイルについてお話ししましたが、もう一つの特徴は、華々しい政策を、次から次に出すことです。就任してすぐに、「Make in India」と発言しました。つまり製造業を積極的に振興するというのです。
モディ首相の心の中には、日本モデルがあると思うのです。日本が高度成長した際に、「太平洋ベルト地帯」と呼ばれる切れ目なしの工業地帯を形成しました。モディ首相はそのことをかなり勉強していて、そうした政策をインドで展開したいと思っています。こうした政策を「Make in India」というキャッチフレーズでまとめあげました。キャッチフレーズを作るのに長じた方のようで、このようにアピールしているのです。
また、「Skill India」というキャッチフレーズも打ち出しました。人口が多いのですが、インドの人たちが職業能力を身につけなければ、実は人口ボーナスということにはなりません。ですので、職業能力を身に付けることを奨励しています。さらに、IT産業に強みがあるので、「Digital India」や「Startup India」などといって、大規模な優遇政策を取っています。
加えて「Clean India」、つまり環境整備にも取り組んでいます。この環境整備は、インドのような国で主張することには多少問題があります。つまり2015年にパリで、環境合意が形成されましたが、これに加盟しないかと誘われてずっと逡巡していました。つまり、途上国の代表のような立場を取っているので、加盟は不利ではないかと思われていたのです。しかし、2016年、パリの会議の直前に参加を表明して、パリへ行った途端に、太陽光発電を促進する国際ソーラー同盟を創設すると提案しました。とにかく目立ちたい人のようですが、なかなか見事な振る舞いです。
●過激な政策を実行する剛腕政治家としての側面
それから2016年11月8日、皆さんがテレビの前で目を皿のようにして、トランプ氏の大統領就任のニュースを見ていた時です。真夜中に突然、モディ首相がテレビに出てきて、高額紙幣は廃止するというとんでもない発言をしたのです。10日後までに、銀行で旧札を新札に交換しなければ、全て使えなくなるというのです。大混乱ですよね。最初は非難轟々だったのですが、やがて収束しました。その3カ月後に地方選挙が行われたのですが、そこでもBJPが大勝を収めまし...