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インドの剛腕政治家・モディ首相…その華々しい政策の数々

躍進するインドIT産業の可能性と課題(3)モディ首相の政策と個性

島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツTV副座長
概要・テキスト
ナレンドラ・モディ首相(インド)と安倍晋三首相
(平成30年10月29日、日・インド首脳会談等)
出典:首相官邸ホームページ
モディ首相の統治の特徴は、目を引くキャッチフレーズを伴った華々しい政策を矢継ぎ早に打ち出すという点にある。また、高額紙幣の廃止、国民ナンバー制度の創設と実施、間接税の一本化など、非常に難しい問題を強硬に実施してしまうだけの剛腕政治家としての側面も持っている。強いリーダーシップを持つモディ首相の個性は、どういった経験から育まれたのだろうか。(全9話中第3話)
時間:11:12
収録日:2020/04/07
追加日:2020/06/19
カテゴリー:
≪全文≫

●目を引くキャッチフレーズと華々しい政策の数々


 前回、モディ首相の政治スタイルについてお話ししましたが、もう一つの特徴は、華々しい政策を、次から次に出すことです。就任してすぐに、「Make in India」と発言しました。つまり製造業を積極的に振興するというのです。

 モディ首相の心の中には、日本モデルがあると思うのです。日本が高度成長した際に、「太平洋ベルト地帯」と呼ばれる切れ目なしの工業地帯を形成しました。モディ首相はそのことをかなり勉強していて、そうした政策をインドで展開したいと思っています。こうした政策を「Make in India」というキャッチフレーズでまとめあげました。キャッチフレーズを作るのに長じた方のようで、このようにアピールしているのです。

 また、「Skill India」というキャッチフレーズも打ち出しました。人口が多いのですが、インドの人たちが職業能力を身につけなければ、実は人口ボーナスということにはなりません。ですので、職業能力を身に付けることを奨励しています。さらに、IT産業に強みがあるので、「Digital India」や「Startup India」などといって、大規模な優遇政策を取っています。

 加えて「Clean India」、つまり環境整備にも取り組んでいます。この環境整備は、インドのような国で主張することには多少問題があります。つまり2015年にパリで、環境合意が形成されましたが、これに加盟しないかと誘われてずっと逡巡していました。つまり、途上国の代表のような立場を取っているので、加盟は不利ではないかと思われていたのです。しかし、2016年、パリの会議の直前に参加を表明して、パリへ行った途端に、太陽光発電を促進する国際ソーラー同盟を創設すると提案しました。とにかく目立ちたい人のようですが、なかなか見事な振る舞いです。


●過激な政策を実行する剛腕政治家としての側面


 それから2016年11月8日、皆さんがテレビの前で目を皿のようにして、トランプ氏の大統領就任のニュースを見ていた時です。真夜中に突然、モディ首相がテレビに出てきて、高額紙幣は廃止するというとんでもない発言をしたのです。10日後までに、銀行で旧札を新札に交換しなければ、全て使えなくなるというのです。大混乱ですよね。最初は非難轟々だったのですが、やがて収束しました。その3カ月後に地方選挙が行われたのですが、そこでもBJPが大勝を収めまし...
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