躍進するインドIT産業の可能性と課題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
ガンジーが率いたイギリスからの独立運動と印パ分離の悲劇
躍進するインドIT産業の可能性と課題(5)独立をめぐる過酷な歴史
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
インドの20世紀史は、イギリスからの独立闘争に始まった。マハトマ・ガンジーは戦間期のインドの独立運動を率い、国内的にも国際的にも大きな影響力を持った。第二次世界大戦が始まると、インド兵を集めたいイギリスとの交渉を経て、独立の契機が生まれた。しかし、イスラムとヒンドゥー教の宗教間対立は根深く、国家の形態をめぐって折り合いがつかず、ついにはインドとパキスタンの2つの国に分裂した。(全8話中第5話)
時間:10分36秒
収録日:2020年4月7日
追加日:2020年7月3日
≪全文≫

●マハトマ・ガンジーが率いたインド独立運動


 以上のようなインドの現状は、インドの歴史的な背景によってかなりの程度規定されています。少し複雑ですがインドの歴史を紐解いてみますので、引き続きお聴きいただきたいと思います。

 1947年8月15日、日本の終戦記念日と同じ日に、ジャワハルラール・ネルーはインドの独立を宣言しました。それから2年かけて、インド憲法を制定しました。国名はインドですが、ヒンディー語ではバーラトといいます。国家体制としてはソ連をモデルとした社会主義を取りました。それから国家の立場は世俗主義で、宗教と政治の間に距離を置きました。

 独立まで、インドは非常に苦労しました。皆さんもよくご存じのマハトマ・ガンジーは、中流の商人階級の家に生まれました。イギリスで弁護士になろうと志し、それから南アフリカに移り弁護士の仕事に就きました。そこでインド人を支援していたのですが、期するところがあってインドに帰ってきて、このインドを変えなければならないと心に誓いました。ただし、暴力は使わず、無抵抗主義・非協力主義によって、農民運動や労働運動を指導し、大きな人気を得ました。

 グジャラート州の州都であるアフマダバードに修道場を建てると、多くの人々がそこに通うようになりました。ネルー家の親子もガンジーに心服して右腕となりました。その後息子のジャワハルラール・ネルーが首相となります。

 そしてガンジーは1930年に、78人の弟子を連れてこの地から200キロも離れた海岸に向けて有名な「塩の行進」を行いました。これは世界中で報道されました。

 また、ガンジーは写真を撮るときに、糸車を横に置いています。糸車で木綿の生地を作って、それをまとうのです。これには一説によると、次のような話があります。ビハール州という非常に貧しい州には昔、織物の職人が多くいたのです。その頃、イギリスは産業革命の最中で、急速に布の値段が下がっていきました。ところが、どれだけ安くしても、低賃金のビハール州の職人に勝つことができませんでした。そこである時、ビハール州の職人を並べて、イギリス商人が全員の手首を切り落としたそうなのです。こうした歴史を思って、彼は必ず白の粗末な服を着ていたのです。モディ首相は比較的派手な衣服を着ますが、他のインドの政治家でも同じように質素な衣服を意識的に身にまとう人はいます。

...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(1)国際秩序の転換点と既存秩序の崩壊
経済秩序や普遍的価値観を破壊し、軍事力行使も辞さぬ米国
佐橋亮
2025年、どん底日本を脱却する大戦略(1)日本が凋落した要因を総覧する
日本凋落の「7つの要因」と「10の復活大戦略」
島田晴雄
日本の財政政策の効果を評価する(1)「高齢化」による効果の低下
高齢化で財政政策の有効性が低下…財政乗数に与える影響
宮本弘曉
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹
マルクス入門と資本主義の未来(1)マルクスとはどんな人物なのか
マルクスを理解するための4つの重要ポイント
橋爪大三郎
産業イニシアティブでつくるプラチナ社会(1)「プラチナ社会」構想と2050年問題
5つの産業で「資源自給・人財成長・住民出資」国家を実現
小宮山宏

人気の講義ランキングTOP10
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(2)戦争省とチャーリー・カーク暗殺事件
チャーリー・カーク暗殺事件とは?その真相と政権への影響
東秀敏
編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論
ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(1)ソニー流の多角化経営の真髄
ソニー流「多角化経営」と「人的資本経営」の成功法とは?
水野道訓
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
垂秀夫
経験学習を促すリーダーシップ(4)成功を振り返り、強みを伸ばす
なぜ強みが大事なのか?ドラッカー、西田幾多郎の答えは
松尾睦
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち
なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る
今井むつみ