躍進するインドIT産業の可能性と課題
この講義シリーズは第2話まで
登録不要で無料視聴できます!
第1話へ
▶ この講義を再生
この講義の続きはもちろん、
6,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
(会員の方に広告は表示されません)
インドは世界の指導国となる資格はあるか
躍進するインドIT産業の可能性と課題(7)三大大国への道
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
ネルーが確立した非同盟主義と社会主義計画経済は、時代の流れの中で見直されることとなった。ソ連解体と冷戦崩壊がその流れを加速させ、1990年代以降高い経済成長率を維持する経済大国としての地位を固めてきた。その人口構造ゆえに、アメリカ、中国に次ぐ大国に成長できる可能性はあるが、ムスリムを取り巻く国内の民族・宗教対立やパキスタンとの関係など、問題は山積している。(全8話中第7話)
時間:9分29秒
収録日:2020年4月7日
追加日:2020年7月17日
カテゴリー:
≪全文≫

●ネルー以来の非同盟主義と社会主義計画経済の方針を転換したインド


 インドはネルー首相以降の非同盟主義と社会主義計画経済という2つの原則から、大きく舵を切り始めました。

 非同盟主義に関しては、中国の周恩来と協力体制を築いていたのですが、中国のチベット侵攻によるダライ・ラマ14世の亡命を経て、関係が悪化しました。その後、カシミール地方への中国軍の侵攻によって、国境をめぐる軍事紛争となり、インド軍はここで大敗北しました。この前線は現在でも中国が実効支配しています。ネルー首相とインド国民は、毛沢東に期待していましたが、大変な裏切りに遭ったということで、今日でも中国はインドの仮想敵国です。バジパイ元首相の原爆実験は、パキスタンよりもむしろ中国の存在を意識していたといわれています。

 また、ネルーの死後も外交・軍事両面で長くソ連を重視していましたが、ソ連が崩壊して冷戦が終結すると、徐々にアメリカとの連携に軸足を移していきました。アメリカ側もインド洋での影響力を持ちたかったために、共同軍事演習なども行うようになりました。ついには、2006年にブッシュ政権下で、アメリカはインドと原子力協定に合意し、インドを核兵器保有国として認めました。これまでのような制裁対象としてではなく、経済・軍事両面でパートナーとして扱うようになり、インドの対米傾斜が強化されて今日に至っているのです。その結果、安倍政権もインドと接近できるようになったという経緯があります。

 次に、社会主義的計画経済から、経済解放と自由経済を志向するようになりました。そのきっかけとなったのは、1991年にインドを襲った経済危機です。インドの保有外貨が底をつき、債務不履行寸前にまで至りました。湾岸戦争の結果、石油価格が跳ね上がり、石油資源を持たないインド経済を直撃したのです。さらに、中東に出稼ぎに出ているインド人からの本国への送金も減ってしまったために、国内は大混乱に陥りました。

 当時財務大臣を務めており、後に首相を務めたマンモハン・シンは、これまでの共産主義的な許認可制度を撤廃し、民間の参入を大幅拡大するという自由化政策を取るなど、大胆な改革を断行しました。このように、社会主義だった国が市場原理を取るようになったので、海外企業がインドに殺到しました。その結果、インドの財閥が衰退するかと思われましたが、昔から存在...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
(会員の方に広告は表示されません)
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
経済社会と「隠れた価値」の行方(1)経済の中の価値
人間の幸福と「価値」…お金以外の「隠れた価値」をどう考えるか
吉川洋
政治思想史の古典『法の精神』と『社会契約論』を学ぶ(1)二人の思想家
モンテスキューとルソー…二人の思想家の共通の敵とは?
川出良枝
AI大格差~最新研究による仕事と給料の未来(1)最新研究から見えてくる未来像
AI大格差…なぜ日本の雇用環境では「ショックが大きい」のか?
宮本弘曉
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
プーチンのロシア―その思想と戦略―(1)プーチン政治の特徴
ロシア皇帝のように悪者を叱る人…プーチンの思想と歴史観
山添博史
紛争が絶えない世界~私たちは何ができるか(1)「戦争の世紀」から再び戦争の時代へ
再び戦争の時代へ――私たちは何を考え、どう動くべきか
小原雅博

人気の講義ランキングTOP10
小澤開作と満洲事変・日中戦争(1)少年時代の苦労と五族協和の夢
満洲で「五族協和」に命を懸けた小澤征爾の父・小澤開作
小澤俊夫
ロシア人の見る「ロシアの歴史」(3)ヴァイキング招致説とキエフ・ルーシ
ロシアの起源はヴァイキング?…キエフ・ルーシの興亡と、ロシアとウクライナの決定的な「歴史的溝」
上月豊久
民主主義の本質(1)近代民主主義とキリスト教
なぜ民主主義が「最善」か…法の支配とキリスト教的背景
橋爪大三郎
『万葉集』と律令社会~官僚の心得と歌宴(4)郡家の発掘と新田山を詠んだ東歌
「東歌」に刻印された奈良時代の真実とは?…地方に気をつかい地方のパワーを取り込んで中央政権はできていた
上野誠
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
文明語としての日本語の登場(1)古代日本語の復元
なぜ「てふてふ」が蝶々?日本語の変遷を追う…まずは万葉仮名から
釘貫亨
高齢者のフレイル・認知症とその予防対策(1)老年病科と高齢者の疾患・病態の特徴
頻尿、低栄養、転倒、誤嚥、フレイル…増える老年症候群と高齢者の疾患・病態の特徴
小川純人
プラトン『ポリテイア(国家)』を読む(14)ポリスと魂の堕落過程〈下〉僭主の末路
僭主制は欲望の奴隷…過度の自由が過度の隷属に転換する
納富信留
ピアノでたどる西洋音楽史(1)ヴィヴァルディとバッハ
クラシック音楽の歴史をピアノ演奏で辿る~ヴィヴァルディ四季
野本由紀夫
『オデュッセイア』で読み解く神話の秘密(1)物語の構造を読み解くおもしろさ
『オデュッセイア』の面白さの秘密を神話の構造から読み解く…なぜ波乱万丈の神話が人間の創作の源泉になったか
松村一男