曾孫が語る渋沢栄一の真実
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渋沢栄一と岩崎弥太郎の関係の真実は?…両極端の経営方針
曾孫が語る渋沢栄一の真実(5)渋沢栄一と岩崎弥太郎
歴史と社会
渋沢雅英(渋沢栄一曾孫/公益財団法人渋沢栄一記念財団相談役)
渋沢栄一と三菱の創始者・岩崎弥太郎は、5歳違いの同時代人である。明治初年、土佐藩出身の弥太郎は新政府の政商として財を成す。その経営方針は徹底したワンマンで、栄一の「合本主義」とは両極端だった。後年、海運業を独占する三菱に対抗して栄一らは共同運輸会社を立ち上げていく。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分24秒
収録日:2020年10月14日
追加日:2021年3月1日
≪全文≫

●財閥の道を選ばなかった渋沢栄一


―― 前回の寄付集めの話は、先生のこのご本のなかにもエピソードがありました。義援金だったでしょうか、岩崎(弥太郎)さんのところへ行って、「俺は5,000円出すから、お前1万円出せ」というような形で募っていくというお話でした。

渋沢 お互いに若い頃ですから、ざっくばらんにやったのでしょうね。

―― 人とのつながりがあるので、「俺も出すからお前も出せ」というような形で募っていったのでしょうね。

渋沢 それは、大変なことですね。

―― これまでのお話にも出ましたが、渋沢さんの特徴としてよくいわれるのが、岩崎家の三菱財閥や三井家の三井財閥との違いです。戦前はどちらかというとそうした財閥系の力が大きかったけれども、渋沢さんの場合はあまり財閥的な歩みをしなかったことが、よく言われているところです。

渋沢 (財閥的では)全然ないですね。亡くなったときの資産も、結局本当に少なかったと思う。三井家などは巨大な資本があっていろいろなことを手がけておられました。岩崎さんのところは、明治になってから突然出てきたのです。

―― もともとは土佐(今の高知県)ですね。

渋沢 ええ。旧土佐藩の資産をうまく利用したのでしょうけど、西南戦争などさまざまな機会に輸送を引き受けたわけです。そうすると、兵隊を送る、武器を送る。これで大変なお金を儲けたわけです。

 (第3話で)大久保(利通)さんのお話がありましたが、大久保さんが岩崎さんを見て、「何かやらせればやる奴だ」と思ってやらせたのだというストーリーがあります。確かに、あの頃の明治の政府には、「人を見込んで任せる」というところがあったと思いますね。


●合本主義とワンマン経営


渋沢 明治10(1877)年頃、西南戦争の時に岩崎さんは、三井家など及びもつかないような利益を挙げたわけです。経営に当たっては全部自分に権力を集中させ、人事であれ賞罰であれ全て社長が決めると、岩崎家のほうには書いてあります(「三菱汽船会社規則:会社に関する一切の事(中略)すべて社長の特裁を仰ぐべし」)。そういうところは、何かアメリカの大きな財閥と似たような感じがします。栄一とほとんど同じ時代の人ですけどね。

―― 強烈なリーダーシップで切り開いていくやり方ですね。

渋沢 もちろん独占禁止法みたいなものができるとブレーキがかかりますけれど...

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