曾孫が語る渋沢栄一の真実
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
渋沢栄一と岩崎弥太郎の関係の真実は?…両極端の経営方針
曾孫が語る渋沢栄一の真実(5)渋沢栄一と岩崎弥太郎
渋沢雅英(渋沢栄一曾孫/公益財団法人渋沢栄一記念財団相談役)
渋沢栄一と三菱の創始者・岩崎弥太郎は、5歳違いの同時代人である。明治初年、土佐藩出身の弥太郎は新政府の政商として財を成す。その経営方針は徹底したワンマンで、栄一の「合本主義」とは両極端だった。後年、海運業を独占する三菱に対抗して栄一らは共同運輸会社を立ち上げていく。(全7話中第5話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:9分24秒
収録日:2020年10月14日
追加日:2021年3月1日
≪全文≫

●財閥の道を選ばなかった渋沢栄一


―― 前回の寄付集めの話は、先生のこのご本のなかにもエピソードがありました。義援金だったでしょうか、岩崎(弥太郎)さんのところへ行って、「俺は5,000円出すから、お前1万円出せ」というような形で募っていくというお話でした。

渋沢 お互いに若い頃ですから、ざっくばらんにやったのでしょうね。

―― 人とのつながりがあるので、「俺も出すからお前も出せ」というような形で募っていったのでしょうね。

渋沢 それは、大変なことですね。

―― これまでのお話にも出ましたが、渋沢さんの特徴としてよくいわれるのが、岩崎家の三菱財閥や三井家の三井財閥との違いです。戦前はどちらかというとそうした財閥系の力が大きかったけれども、渋沢さんの場合はあまり財閥的な歩みをしなかったことが、よく言われているところです。

渋沢 (財閥的では)全然ないですね。亡くなったときの資産も、結局本当に少なかったと思う。三井家などは巨大な資本があっていろいろなことを手がけておられました。岩崎さんのところは、明治になってから突然出てきたのです。

―― もともとは土佐(今の高知県)ですね。

渋沢 ええ。旧土佐藩の資産をうまく利用したのでしょうけど、西南戦争などさまざまな機会に輸送を引き受けたわけです。そうすると、兵隊を送る、武器を送る。これで大変なお金を儲けたわけです。

 (第3話で)大久保(利通)さんのお話がありましたが、大久保さんが岩崎さんを見て、「何かやらせればやる奴だ」と思ってやらせたのだというストーリーがあります。確かに、あの頃の明治の政府には、「人を見込んで任せる」というところがあったと思いますね。


●合本主義とワンマン経営


渋沢 明治10(1877)年頃、西南戦争の時に岩崎さんは、三井家など及びもつかないような利益を挙げたわけです。経営に当たっては全部自分に権力を集中させ、人事であれ賞罰であれ全て社長が決めると、岩崎家のほうには書いてあります(「三菱汽船会社規則:会社に関する一切の事(中略)すべて社長の特裁を仰ぐべし」)。そういうところは、何かアメリカの大きな財閥と似たような感じがします。栄一とほとんど同じ時代の人ですけどね。

―― 強烈なリーダーシップで切り開いていくやり方ですね。

渋沢 もちろん独占禁止法みたいなものができるとブレーキがかかりますけれど...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
「武士の誕生」の真実(1)10世紀の東アジア情勢と「王朝国家」
「王朝国家」と「武士」が誕生した理由は大唐帝国の解体
関幸彦
明治維新から学ぶもの~改革への道(1)五つの歴史観を踏まえて
明治維新…官軍史観、占領軍史観、司馬史観、過誤論の超克
島田晴雄
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
最初の日本列島人~3万年前の航海(1)日本への移住 3つのルート
最初の日本列島人はいつ、どうやって日本に渡ってきたのか
海部陽介
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦

人気の講義ランキングTOP10
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(3)認知バイアスとの正しい向き合い方
知ってるつもり、過大評価…バイアス解決の鍵は「謙虚さ」
今井むつみ
「宇宙の創生」の仕組みと宇宙物理学の歴史(1)宇宙の階層構造
「宇宙の階層構造」誕生の謎に迫るのが宇宙物理学のテーマ
岡朋治
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如
なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために
鎌田東二
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
AIとデジタル時代の経営論(6)暗黙知と判断力
AIは「暗黙知・常識に基づく高度な判断」が不得意
一條和生
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
徳と仏教の人生論(2)和合の至りと正直
正直とは何か――絶対的存在との信頼関係の根幹にあるもの
田口佳史
編集部ラジオ2025(27)なぜ何回説明しても伝わらない?
なぜ伝わらない?理解の壁の正体を今井むつみ先生に学ぶ
テンミニッツ・アカデミー編集部
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(5)AIに記号接地は可能か
人間とAIの本質的な違いは?記号接地から迫る理解の本質
今井むつみ