曾孫が語る渋沢栄一の真実
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「論語と算盤」の新しい視点を提供した渋沢栄一
曾孫が語る渋沢栄一の真実(4)「論語と算盤」が開いた近代日本
渋沢雅英(渋沢栄一曾孫/公益財団法人渋沢栄一記念財団相談役)
「論語と算盤」は渋沢栄一のキャッチフレーズになっている。実際に近代日本に資本主義が芽吹いていく時期、栄一は金銭を卑しんだ武家の旧道徳を退け、筋道のたった金儲けの力を説き、実践していった。事業の生む富が国を富ませ、国民全体を富ませることが、栄一の描く近代日本のベースだったからである。(全7話中第4話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:11分31秒
収録日:2020年10月14日
追加日:2021年2月22日
≪全文≫

●日本の近代化における渋沢栄一の意気込みと説得力


渋沢 銀行設立から先の約60年の渋沢栄一の人生は、そのベースの上で日本の近代化に向かう。近代化も経済だけではなく、例えば養育院のような社会福祉事業をやる。あるいは自分でつくったわけではないけれど、現在の一橋大学(当初商法講習所。その後東京高等商業学校)を支援したり日本女子大学(当初日本女子大学校)の設立に関わったりしました。そして、慶喜公の伝記を書く。そのように非常に千差万別のことに手を染めるわけです。

 その視点の置き方というのは大したものだと私は思うのですが、それがどこから出てきたかと言われると、私には分からない。そういう新しい人間がそこにちょろっと現れてしまい、それが日本の近代化にいろいろな意味でお役に立ったのだろうな、と思います。

―― 前回、三井家というお話もありましたが、三井家などは本当に江戸時代から続く豪商ですね。

渋沢 大財閥ですね。

―― そうした大商人であって、そのまま財閥になっていきますね。江戸時代にも日本的な仕組みの中で金融経済も流通経済もあったわけですから、そこに近代的な銀行制度を完全にその機能も理解して持ってきた。しかも、それを持ってきた人が、前回おっしゃったように、自分の利益ではなくて、いかに国を発展させるか、近代化していくかという目的のために進めていくということの面白味ですよね。

渋沢 意気込みというのかな。人にそれを感じさせるものを、栄一は持っていたのでしょうね。だって、第一国立銀行は設立後数年で、出資者の小野組という会社が破産してしまい、一度つぶれそうになるのです。あれで駄目になってしまえば、銀行業というものは日本にすぐには根づかないことになったかもしれません。

 ところが、栄一は一生懸命みんなを説得した。そうすると、小野組にいた偉い方の一人で古河市兵衛という方が、自分が統括する小野組糸店にあった資産を提供してくれたりします。そのため、第一銀行は総計2万円の損で危機を乗り切ったというストーリーがあります。これは、栄一の意気込みなり人間としてのあり方が人に信用されたこともあるし、説得力があったこともあるでしょう。


●日本のあるべき姿を描き、賛同者を募る


渋沢 栄一には銀行以外にも鉄道をつくるなど、主張したいことがいっぱいありました。郵便は、前島密という方が整備さ...

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