曾孫が語る渋沢栄一の真実
この講義シリーズは第2話まで
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
アメリカの排日運動に「国民外交」で挑んだ渋沢栄一の努力
曾孫が語る渋沢栄一の真実(6)日本とアメリカにかける橋
渋沢雅英(渋沢栄一曾孫/公益財団法人渋沢栄一記念財団相談役)
渋沢栄一の事績として日米親善事業は欠かせない。栄一はあくまで民間の立場を守りつつ、「世界の中の日本」の位置を正確に弁える人だった。アメリカ人実業家とは特に深く親交を結び、青淵文庫に招くことも多かったが、時代の波は日米間に亀裂を生み、やがて排日移民法が成立していく。(全7話中第6話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:14分33秒
収録日:2020年10月14日
追加日:2021年3月8日
≪全文≫

●世界の中の小さな日本を理解していた渋沢栄一


―― 渋沢栄一さんの場合は、雅英先生が書かれた『太平洋にかける橋』のご本のちょうどタイトル通りで、いかに日米関係をよくしていくかということに、国民の立場で努力をされました。政府の外交ではなく、国民の外交ということで努力をしていった過程を、ここでは本当に詳細に描いていらっしゃいます。

 私も拝読しましたが、例えばなぜアメリカで「排日運動(日本人を排斥していく動き)」が起きたのか。半ばは「日本はすごい」と言う人たちもいれば、「日本はちょっと危ない」とか「武力に訴えてくるのではないか」ということで脅威論を煽る人も出てくる。そういうアメリカの国内事情を非常に克明にお書きになっていますし、それに対して栄一さんがどういう努力をしたのかというのも非常に克明にお書きになっています。

 栄一さんがお亡くなりになったのが昭和6(1931)年、ちょうど満州事変の年ですね。

渋沢 その年ですね。

―― 結果からすると、お亡くなりになって10年で日米戦争が始まってしまうのですが、その過程で「日本とアメリカにかける橋」としてどのような努力をされたのか、そのあたりをぜひお聞きしたいと思います。

渋沢 栄一という人は、「世界の中の日本」の立場というものを割と客観的に感じていたと思います。日本人はやはり小さい国に育っていますので、なかなかそういう感じではない。「日本はえらいんだ」と言ってみたり、「いや、駄目なんだ」とがっかりしてみたりと、落差があります。

 その点、栄一は、「アメリカと中国の間に立っている小さい国」という自覚があった。今でもそうだけれども、当時は特にそうだった。そういう日本の立場に対する客観的な理解が、栄一は非常に深かったのではないかと思います。


●アメリカの財界人に胸襟を開かせた「国民外交」


渋沢 アメリカは、最初は日本をとてもかわいがってくれるのだけれど、あるときからだんだん日本が威張りだしたこともあって、ギクシャクしていきます。そのようなときでしたが、栄一はアメリカ人の間に非常に人気があるのですね。「論語と算盤」のせいかどうか知らないけど、栄一の雰囲気の中には、非常にアメリカ人が大事にしたがるような道徳的といいますか、精神性のようなものがあると思われたのではないでしょうか。

 もちろん栄一は、政府の外交に口を出し...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
本当のことがわかる昭和史《1》誰が東アジアに戦乱を呼び込んだのか(1)「客観的かつ科学的な歴史」という偽り
半藤一利氏のベストセラー『昭和史』が持つ危険な面とは?
渡部昇一
天下人・織田信長の実像に迫る(1)戦国時代の日本のすがた
近年の研究で変わってきた織田信長の実像
柴裕之
歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本
日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは
中村彰彦
『江戸名所図会』で歩く東京~吉原(1)「苦界」とは異なる江戸時代の吉原
遊女の実像…「苦界?公界?」江戸時代の吉原遊郭の真実
堀口茉純
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(序)時代考証が語る『豊臣兄弟!』の魅力
2026年大河ドラマ『豊臣兄弟!』、秀吉と秀長の実像に迫る
黒田基樹
インテリジェンス・ヒストリー入門(1)情報収集と行動
日本の外交には「インテリジェンス」が足りない
中西輝政
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(4)葛飾応為の芸術と人生
親娘で進歩させた芸術…葛飾応為の絵の特徴と北斎との比較
堀口茉純
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(2)バイアスの正体と情報の抑制
『100万回死んだねこ』って…!?記憶の限界とバイアスの役割
今井むつみ
平和の追求~哲学者たちの構想(4)ルソーが考える平和と自由
ルソーの「コスモポリタニズム批判」…分権的連邦国家構想
川出良枝
熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために
夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは
西野精治
生成AI「Round 2」への向き合い方(1)生成AI導入の現在地
生成AIの利活用に格差…世界の導入事情と日本の現状
渡辺宣彦
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(5)『秘蔵宝鑰』が示す非二元論的世界
雄大で雄渾な生命の全体像…その中で点滅する個々の生命
鎌田東二
「進化」への誤解…本当は何か?(1)進化の意味と生物学としての歴史
実は生物の「進化」とは「物事が良くなる」ことではない
長谷川眞理子
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治