「激動と激変の時代」の日本復活戦略
この講義シリーズの第1話
登録不要無料視聴できます!
▶ 第1話を無料視聴する
閉じる
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
今、日本に最も必要なのは戦争をさせないための準備と知恵
「激動と激変の時代」の日本復活戦略(3)米中対立下の国際戦略
島田晴雄(慶應義塾大学名誉教授/テンミニッツ・アカデミー副座長)
米中は事実上の戦争状態にあり、台湾有事になれば日本が巻き込まれる可能性は大いにある。そうなると当然、日本全土が危機的状況に陥るだろう。そうした緊張状況の中、日本は今後どのように動くべきなのか。ここで必要となるのは、両国の属国になることなく、また地球益と人類益、両方にとって有益で、そして戦争をさせない準備と知恵である(全3話中第3話)
(2022年1月18日開催島田塾年頭講演「激動と激変の時代:日本の選択」より)
時間:10分15秒
収録日:2022年1月18日
追加日:2022年4月26日
カテゴリー:
≪全文≫

●米中は事実上の戦争状態にある


 最後に米中対立下の国際戦略についてです。

 今、米中対立は事実上の戦争状態に近い。アメリカは中国包囲網に、同盟国を糾合しています。中国が一番の敵だとアメリカは言っています。インド太平洋地域が仮想戦域です。Quadはあまり役に立ちませんでしたが、AUKUSがすごいのです。

 AUKUSでは、フランスが10隻ぐらい潜水艦をつくるのをもたもたしているものですから、オーストラリアのモリソン首相は、もうアメリカやイギリスに鞍替えして、8隻の原子力潜水艦にしてしまいました。原子力潜水艦は、普通の潜水艦の倍ぐらいの規模を持っていて、積めるミサイルがもう圧倒的に強いのです。それで2年間ぐらい海の底にいれるので、表へ出る必要がないのです。普通の潜水艦だったら、2週間置きぐらいで出なければいけないですが、その必要がありません。それが8隻も中国を囲む拠点にいると、さすがに中国軍もうかうかしていられません。狙われると終わってしまうので、危ないです。完成まであと10年くらい掛かりますが、そういうことを本気でやっていて、戦争準備に入っているということです。

 ところが、ミサイル戦力で大差があります。中国は短距離ミサイルが700~1500、中距離ミサイルが800~1200あります。中距離は、グアム島・日本が射程内で、短距離は、台湾が射程内です。それが中国の東海岸に槍衾になっているのです。そのため、他の国の勢力が中に入ろうとすると、木っ端微塵になります。さすがにこれは、アメリカとロシアで中距離核戦力全廃条約(INF)結んだので、できなかったのですが、それをトランプ政権時に廃棄とし、2020年からできるようになりました。バイデン政権で今度やると言っているのですが、やるといっても、中距離ミサイルをどこに置くのでしょうか。アメリカからやるとなったら長距離になります。1万6000キロ飛ぶ大陸間弾道弾で、これでは本当の戦争になってしまいます。

 2022年は、バイデン氏も習近平氏も、台湾でドンパチはやりたくありません。習近平氏は11月に終身主席にならなければいけないし、バイデン氏はトランプ氏を相手に戦わなければいけません。


●日本には戦争をさせない準備を知恵が求められている



スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「政治と経済」でまず見るべき講義シリーズ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(1)内戦と組織動乱の構造
カーク暗殺事件、戦争省、ユダヤ問題…米国内戦構造が逆転
東秀敏
ポスト国連と憲法9条・安保(1)国連の構造的問題
核保有する国連常任理事国は、むしろ安心して戦争できる
橋爪大三郎
台湾有事を考える(1)中国の核心的利益と太平洋覇権構想
習近平政権の野望とそのカギを握る台湾の地理的条件
島田晴雄
内側から見たアメリカと日本(1)ラストベルトをつくったのは誰か
日本でも中国でもない…ラストベルトをつくった張本人は?
島田晴雄
財政問題の本質を考える(1)「国の借金」の歴史と内訳
いつから日本は慢性的な借金依存の財政体質になったのか
岡本薫明
緊急提言・社会保障改革(1)国民負担の軽減は実現するか
国民医療費の膨張と現役世代の巨額の「負担」
猪瀬直樹

人気の講義ランキングTOP10
豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(3)秀吉出世譚の背景
武闘派・秀吉として出世…織田家中で一番の武略者の道
黒田基樹
編集部ラジオ2025(32)哲学者たちが考えた平和追求
反EU、反国連の時代に再考!「哲学者たちの平和追求」
テンミニッツ・アカデミー編集部
「アメリカの教会」でわかる米国の本質(1)アメリカはそもそも分断社会
「キリスト教は知らない」ではアメリカ市民はつとまらない
橋爪大三郎
逆境に対峙する哲学(3)修行・物語・語りの転換
武士道に学ぶ自己訓育――幻想としての順境に抗するために
津崎良典
平和の追求~哲学者たちの構想(1)強力な世界政府?ホッブズの思想
平和の実現を哲学的に追求する…どんな平和でもいいのか?
川出良枝
「重要思考」で考え、伝え、聴き、議論する(1)「重要思考」のエッセンス
重要思考とは?「一瞬で大切なことを伝える技術」を学ぶ
三谷宏治
葛飾北斎と応為~その生涯と作品(1)北斎の画狂人生と名作への進化
葛飾北斎と応為…画狂の親娘はいかに傑作へと進化したか
堀口茉純
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
熟睡のために――自分にあった「理想的睡眠」の見つけ方
西野精治
戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方
「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?
東秀敏
本当によくわかる「量子コンピュータ入門」(2)コンピュータの歴史
量子コンピュータの転機となった1990年代の発見とは何か
武田俊太郎