曾孫が語る渋沢栄一の真実
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蒋介石のエピソードが伝える「人間・渋沢栄一」の魅力
曾孫が語る渋沢栄一の真実(7)「人間として」生きている人
渋沢雅英(渋沢栄一曾孫/公益財団法人渋沢栄一記念財団相談役)
孫文だけでなく、当時イメージの良くなかった袁世凱とも交流を深めた渋沢栄一。そこには、「人間としてつながることを大事にした」栄一の思いが込められていた。彼は91歳で亡くなるのだが、もし混沌とした現代の世界にいたら、どんな知恵を出してくれるのだろうか。(全7話中第7話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分45秒
収録日:2020年10月14日
追加日:2021年3月15日
≪全文≫

●型に縛られず、あるがままの感情を表した渋沢栄一


―― アメリカの方々に非常に好かれたというお話ですけれども、アメリカの方からすれば、日本で500にのぼる会社を設立・育成するのに関与したという立志伝中の方ですね。しかも、先ほどおっしゃったように、道徳的な部分も非常に感じます。

 また、この本を読んでいると、例えば演説しながら悔し涙を流したとか、ちょうどアメリカに行っているときに伊藤博文公が暗殺されたニュースを聞いて、汽車の中で記者にインタビューされながら泣いてしまったとか。比較的感情を率直に出される方で、何でも率直におっしゃるタイプの方なのですね。

渋沢 日本人は何かあればこういうふうに思わなくちゃいけないという、しばりのようなものがあるじゃないですか。

―― 型というか、定式というか。

渋沢 栄一はそれにあまりしばられないところがあって、何でもあるがままに受け入れて、悲しんだり泣いたりするのです。それほどイージーなことではないでしょうけれども、ありのままの自分が出てくるのでしょうね。

 ここに来られた外国人、例えばドアのところに蒋介石さんと握手している写真があるけれども、彼は栄一に本当に感心していました。「日本人の中にこういう人はいない」と思うのでしょうね。だから、数年後に栄一が亡くなった時、蒋介石さんはやっていた会議をやめて黙祷をすると言い出した。「隣の国の大人物がいなくなってしまったから、悲しみましょう」と言ったそうです。

 あの頃の日中関係はもう非常に厳しかったのですけれども、栄一については、そういうことを超えた別の世界でつながっていたという感じの人がいっぱいいたのではないですかね。

―― お互いの尊敬心というか、人間関係がそうさせたのでしょうね。

渋沢 この人は「政府がこうだから」というのではなく、「人間として」生きている人なのだという印象を与えていたのではないですかね。


●孫文・袁世凱・蒋介石とも交流


―― 今お話が出てきたように非常に率直であって、しかもまさに「論語と算盤」ではないですが、道徳心も高くあられた。目標は私の利益というよりも公の発展であり、世界の発展や国の発展のためであるというものがまっすぐ伝わってくる、ということですね。

渋沢 そうですね。自分でお金を儲けようという気持ちは確かにあまりなかったと思います。栄一はやっ...

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