曾孫が語る渋沢栄一の真実
この講義は登録不要無料視聴できます!
▶ 無料視聴する
この講義の続きはもちろん、
5,000本以上の動画を好きなだけ見られる。
スキマ時間に“一流の教養”が身につく
まずは72時間¥0で体験
「資本主義の始まり」は明治維新で没落した徳川家にあった
曾孫が語る渋沢栄一の真実(2)激動の幕末から明治へ
渋沢雅英(渋沢栄一曾孫/公益財団法人渋沢栄一記念財団相談役)
渋沢栄一は、武蔵国榛沢郡血洗島村(現・埼玉県深谷市)の裕福な農家に生まれたが、そこで培った家業をマネジメントする知恵を一橋家の家臣として応用する。時代の大きな波は一橋慶喜を最後の将軍に指名する。一方、栄一はパリ万博に参列する将軍の名代・徳川昭武(慶喜の弟)に随行しフランスへ。およそ2年後、明治新政府が成立したことに伴い帰国した栄一を待っていたのは、さらなる運命の転変だった。(全7話中第2話)
※インタビュアー:川上達史(テンミニッツTV編集長)
時間:10分46秒
収録日:2020年10月14日
追加日:2021年2月8日
≪全文≫

●一橋家からフランス留学の随行へ


―― (渋沢栄一さんの)お生まれは、今でいうと埼玉県の深谷市ですね。

渋沢 深谷市の近郊です。

―― そちらの裕福な農家とうかがっています。

渋沢 ええ。藍や養蚕などを手がけて年商1万両という話がありますので、かなり成功したアグリビジネスというのですかね。経営は栄一のお父さんでしょうが、一緒にいろんな本を読んだり、勉強したり、それをマネージすることで栄一は育ってきたのでしょう。

 その知恵を、一回り大きな一橋藩というものに応用して、大変成功したという話です。しかし、その頃に慶喜公が将軍様になるのです。そうすると、一橋家の家来としての渋沢栄一の立場ではなくて、日本幕府の一員になってしまいます。

―― 幕臣ということですね。

渋沢 そう、幕臣になってしまった。それはもともと栄一が望んでいなかったことだし、非常に失望してがっかりしていたところへ、慶喜公のお声掛かりがあったということです。

 そして、フランスのナポレオン三世という人がパリで万博を開くので、日本からも代表が行くことになった。慶喜公の弟さんで民部公子(みんぶこうし=徳川昭武)という方が行かれるので、その随員の一人にならないか、という。慶喜公の見るところ、渋沢栄一というのはマネジメントができる奴だから、そういう人間を付けておいたほうが、栄一のためにもいいし、グループのためにもいいと思われたのではないかと思います。

 ある日、突然そういうことになり、栄一はすごく喜んだわけですよね。あの頃、フランスに行くなんてことは望んでできることではない。最近はコロナで国際旅行もできなくなったけど、当時はそういうこと自体なかった。それで勇躍、喜んで出かけていく。見聞も広まるし、食べ物から何から全てが新しい世界に入り、1年半ぐらいの時間を過ごします。

●資本主義の芽生えは、維新で没落した徳川家から


渋沢 その間に鳥羽伏見の戦いがあって、慶喜公は江戸に。これを何と言うのですかね。

―― 大坂湾から船に乗って帰ってきてしまうと。

渋沢 そうですね、とにかく恭順する。

―― そういうことになりますね。

渋沢 天皇陛下の国にするということで、そのへんのことは私には説明できないのですが、とにかく慶喜公が大政奉還して、幕府は終わるわけですね。それで、フランスにいた弟さんにも「帰ってこ...

スキマ時間でも、ながら学びでも
第一人者による講義を1話10分でお届け
さっそく始めてみる
「歴史と社会」でまず見るべき講義シリーズ
豊臣政権に学ぶ「リーダーと補佐役」の関係(1)話し上手な天下人
織田信長と豊臣秀吉の関係…信長が評価した二つの才覚とは
小和田哲男
ローマ史に学ぶ戦略思考~ローマ史講座Ⅳ(1)古代の持つ意義と重み
一神教もアルファベットも貨幣も全て古代に生まれた
本村凌二
イスラエルの歴史、民族の離散と迫害(1)前編
古代イスラエルの歴史…メサイア信仰とユダヤ人の離散
島田晴雄
百姓からみた戦国大名~国家の本質(1)戦国時代の過酷な生存環境
戦国時代、民衆にとっての課題は生き延びること
黒田基樹
古代中国の「日常史」(1)日常史研究とは何か
『古代中国の24時間』英雄だけでなく無名の民に注目!
柿沼陽平
『三国志』から見た卑弥呼(1)『魏志倭人伝』の邪馬台国
異民族の記述としては異例な『魏志倭人伝』と邪馬台国
渡邉義浩

人気の講義ランキングTOP10
徳と仏教の人生論(1)経営者の条件と50年間悩み続けた命題
宇宙の理法――松下幸之助からの命題が50年後に解けた理由
田口佳史
何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み
なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み
今井むつみ
戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(2)戦争省とチャーリー・カーク暗殺事件
チャーリー・カーク暗殺事件とは?その真相と政権への影響
東秀敏
エンタテインメントビジネスと人的資本経営(6)評価制度設計と「夢」の重要性
なぜ二本立ての評価制度が必要か…多種多様な人材の評価法
水野道訓
経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本
成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ
松尾睦
いま夏目漱石の前期三部作を読む(1)夏目漱石を読み直す意味
メンタルが苦しくなったら?…今、夏目漱石を読み直す意味
與那覇潤
クーデターの条件~台湾を事例に考える(1)クーデターとは何か
台湾でクーデターは起きるのか?想定シナリオとその可能性
上杉勇司
学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(2)言葉を理解するプロセスとスキーマ
なぜ子どもは教えられても理解できないのか?鍵はスキーマ
今井むつみ
トランプ・ドクトリンと米国第一主義外交(1)リヤド演説とトランプ・ドクトリン
トランプ・ドクトリンの衝撃――民主主義からの大転換へ
東秀敏
組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防
職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…
山浦一保